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| FujiSankei Business i. 2007/9/15 | |
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米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン問題で新たな金融市場 の撹乱(かくらん)要因が浮上してきた。欧米金融機関の傘下で サブプライム関連の証券に投資していた「投資ビークル(SIV)」と 呼ばれる子会社の経営破綻(はたん)が増加する気配をみせている。 欧米金融当局は市場への流動性資金供給によって金融機関の 連鎖倒産などの不測の事態に備えているが、金融市場はしばらく 綱渡りが続く見込みだ。 (CDO)や資産担保証券(ABS)に投資。購入資金はこれらの 長期証券を担保に組み入れた短期証券の一種、資産担保 コマーシャルペーパー(ABCP)を発行して市場から調達している。 ABCPはもともと償還期間が短いうえ、親会社の大手金融機関が 保証を付けているため調達金利が低い。SIVはこの低コスト資金 を利回りのよい長期証券で運用することで利益を上げてきた。 サブプライム物件を組み込んだ長期証券は格下げされ、価値が 急落。投資した資金を回収できずABCPを償還するための 資金繰りに行き詰まるSIVが出てきた。独ザクセン州立銀行は 8月下旬、傘下にあるアイルランドのSIVの投資失敗で 資金難に陥り、他の州立銀に身売りすると発表した。 欧州中央銀行(ECB)が同24日に400億ユーロ(約6兆3600億円) に上る短期市場への緊急資金供給を実施する異例の事態となり、 SIV問題が、ECBが9月6日に予定していた利上げを断念させる要因 の一つになった。英銀大手バークレイズも、傘下のSIVの資金繰り 悪化に対応した緊急融資を発表した。 ブラザーズは21日までの2週間の間に、米国で発行されている残高 の約半分に当たる4170億ドル(約47兆円)という大量のABCPが 償還期限を迎えると指摘。今後、他のSIVでも資金不足が起きる 心配が高まっている。米連邦準備制度理事会(FRB)やECBなど 欧米の金融当局が市場の安定に向けて大量の資金供給を行う 局面が出てきそうだ。 本体の経営を直撃する危険をはらんでいる。金融機関はSIVへの 保証や運用指示を行うなど事実上の子会社として運営している ものの、本体の財務とは切り離していた。しかし、今後SIVが 破綻すれば大規模な損失処理が避けられなくなる見通しだ。 モルガン・スタンレー、ベアスターンズ、リーマン・ブラザーズなどを 皮切りに金融機関の第3四半期決算発表が始まり、10月下旬に かけ7~9月期決算の金融機関の発表が続く。今回の決算発表で 金融機関が抱えるサブプライム関連の損失処理が確定すると みられていたがSIV問題が浮上したことで、金融機関経営に 対する市場の不安が長期化する見通しだ。 【用語解説】投資ビークル(SIV=Structured Investment Vehicle) 米シティが19年前(1988年)に創設。その後、欧米の主要金融機関 が傘下にSIVを設立し、現在30社前後のSIVが存在するとみられて いる。ABCPの残高は欧州で約5000億ドル、米国で1兆ドル弱。 報道によると、シティは7つのSIVを抱え、価格変動資産は 1000億ドル(約11兆4000億円)に上るという。
英政府と中央銀行のイングランド銀行(BOE)は14日、同国中堅 銀行のノーザン・ロックに対して緊急の救済融資を実施すると 発表した。サブプライムローン問題に端を発した市場の信用収縮で、 資金調達が難しくなったため。今後は資産内容に不安が少ないと される銀行でも資金繰りが悪化する可能性が出てきた。 英中銀が銀行に救済融資を実施するのは1997年に金融政策の 独立性を確保して以来初めて。サブプライム問題が表面化した 8月以降、中銀が個別行に対して直接的な資金繰りの支援に 乗り出すのも初めてとなる。
繰りに行き詰まったことで、世界的に広まった信用収縮が 当初の予想を越えて進んでいることが浮き彫りになって きました。当初は楽観論も出ていたサブプライム問題、 やはり根は相当深そうです。金融工学を駆使して、 世界中に少しづつウイルスをまき散らしたようなもの。 また欧州を発火点として、新たな波乱が起きそうな気配です。 そして、今回の事件は、いくら資産内容が健全な 銀行でも、資金繰りが回らないだけで即アウトになって しまうという怖さを象徴していると思います。 財務基盤が脆弱な中堅企業が豊富な資金力を持つ 大規模金融機関に飲み込まれる例が、これから 欧州を中心に、さらに米国でも、どんどん発生すると 思われます。最後はいつも資金調達力が ビジネスの世界ではものをいうのですね。 |