とある冬物語 | 綴り

綴り

毎日の綴りです。

ある冬のそれは夜空のきれいな日のこと

私は考えていた

好きになった人のことを



好きになってしまうということの怖さを

好きという感情がどれほどの力を持っているかを


生きる力の源

それが人の愛だと思う

でも好きが愛に変わるにはすごく大きな力が必要で

とっても困難なこと


それが叶うってことがどんなに大変なことかを

思い知らされていた

・・・

そして好きだった人にあっさり振られた

嫌いだと言われた

嫌いと言われたことはこれまでもそれからも

同性からも異性からもたった一度きり

最初で最後だった

そんなに自分は嫌なことをしでかしたのか

そんな罪悪感にさえ苛まれるようなふられ方だった


自己肯定感

それを持てなくなると

人はうまく歩けなくなる

それを私は養うことが出来なかった

そうしてこのちょっとした恋愛事が私にもっと人として

生きている価値をなくさせた


でもそれから考えた

いっぱい考えた

どれだけ考えただろう

なぜ嫌いと言われたのか

もしかしたらそんなに意味はないかも知れない

でも考えて考えて


それから・・

10年後・・

その答えに出逢う

私はその人に対して一期一会の礼儀を間違えた

すべてこれで納得出来た


好きという言葉を向けるのは失礼であった

そういう事だった


いい加減だったから

すべてに

投げやりになっていたんだ

何もかも

生きることが嫌になっていたし

人生なんてどうでも良かったんだ

でも彼はそうじゃなかった

しっかり先を見て生きている人だった

だからいい加減な私は嫌いと言われる

当然だった


それから私は生きることに真面目になりました

しっかり生きるということ

生きていて悔いは残さないということ

例え今日後悔があったとしても

明日は悔いのない日を過そうと思える生き方をしていること


今では私はもう中学生の子供のお母さん

昔の失恋も笑って話せる

いじめに在っていたあの時代の卒業アルバムを

開くことさえ嫌だったのに

子供を生んで何とかやっとこさ開くことが出来るようになり

その時代を思い返せるようになった

辛かった時代を笑って話せるようになった


あの日のように今日の夜空もとても綺麗だ

なんて良い夜だろう

あと一日で年を越える今日はなんて良い日なんだろう

なんて静かでなんて穏やかで

そしてなんて大切な一日なんだろう


そんなとある冬物語

これは誰かの物語

きっとどこかで誰かが泣いたあの日の物語


今年一年ありがとう





桜 歩美