【関連記事】
第一弾☆→松田聖子『夏服のイヴ』はなぜ難曲と言われるのか(1/3)【3拍子】
第三弾☆→松田聖子『夏服のイヴ』はなぜ難曲と言われるのか(3/3)【半拍の使い方】

 

こんにちは!


松田聖子さんの『夏服のイヴ』が何故こんなにも
「むずかしい!」と言われるのか。


個人的に思ったことを書こうと思いまして、
前回は「3拍子」について語りました。



今回は全3記事シリーズのうち、
第二弾として「音程」に入っていきます!



難曲要素②:複雑な和音進行



和音とは複数の音から成る音のことを指し、
曲がすっきり終わったと感じる和音の移り変わりがあります。


和音の表記は、
主音と呼ばれる基準音から数えて
音階のうち何番目の音から始まるのか、という考え方で
数字で表します。



主要3和音と呼ばれるのが
Ⅰ Ⅳ Ⅴ(またはⅤ7  ※後述します)

ハ長調で言うならば、


ドから始まるドミソはⅠの和音、
ファから始まるファラドはⅣの和音、
ソから始まるソシレはⅤの和音です。




音の順番が変わっても
表記は変わりません。


つまりミソドでもソドミでもⅠ。


※ソシレの場合、
ソシレファ、と
ソから数えて7番目のファの音を加えることがかなり多いです。
その場合はⅤ7と表記します。



和音の進行にはルールがあります。
いくつか基本的なものをご紹介すると、


①Ⅰ→Ⅴ(Ⅴ7)→Ⅰ
②Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ(Ⅴ7)→Ⅰ
③Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ

などなど。



このように響きを変化させると、
曲を聴いたときに、完結した印象になります。


学校でよく聞いたお辞儀の音は
①のパターンです。



ここにアレンジを加えていくことで
曲の表情が豊かになっていきます。




さて『夏服のイヴ』の基本的な調はニ短調です。

調号はシ♭のみ。



ここに臨時記号を加えることで
意外性をもたせたり、
他の調の響きを借りたりします。




『夏服のイヴ』では頻繁に臨時記号が使われ、
調が揺れ動きます。



和音の進行等の理屈を知らなくても、
人の耳はなんとなく
「この音の次はこの音がくるはず」
と予想を立てています。


それを悉く裏切って、
聴き手に「あれっ」と思わせるのがこの曲。




だから音が取りづらいし、
ちょっと混乱してきます。


「ん?」と思った時には、
元に戻ってたり既に他の調の響きを借りてたり。




これは完全に私の感覚ではありますが、

半音の上がり下がりは確かに難易度上がるとは思うものの
単純に半音が難しいのではなくて

頭がニ短調モードのときに
急に入ってくるイ長調、みたいな和音の進行が
難易度を上げているのでは、思います。






ちなみに他の調の響きを借りる技法はかなり一般的で、
大抵の曲で用いられてます。


例えば悲しげな曲が、最初から最後までひたすら暗いだけ、
ということはないと思うんです。


だいたいはサビの前で盛り上げるために
一瞬長調の響きになったりしてます。



全ての曲は、ジャンル問わず和音の進行に左右されるので
ここのセンスが腕の見せどころになります。



『夏服のイヴ』作曲者の日野氏の凄いところの一つだと思います。
緻密に和音進行が組まれていて、
程よい違和感で人々を惹きつけることに成功しています。




さて今回は「和音」について
掘り下げてみました。


突き詰めるとキリがない要素ですが、

日野氏のこだわりに脱帽!な曲であることが
伝わって入れば幸いです♪


次回はまたリズム系ですが
「半拍の使い方」について語ります!