想定外に長い話題になってしまっている「ショパン・メドレー」。
1回め2回め とこの記事にお付き合いいただいていたら、
まだ続くのか?と思われるかもしれませんね;


そんな状況ですが、アレンジメントに選んだ素材と使い方の意味を、
今日も引き続き書き残しておこうと思います。



(5)小枝


アレンジづくりで特に意識していたことのひとつが「曲線と直線の調和」。
この小枝は、その「直線」を表すパーツです。
はじめはシャープなフォルムのリーフや羽を使おうと思っていました。
それが、店頭で白くコーティングされた小枝の束を見てひと目ぼれ。



パトリック選手のスケーティングには、優雅さや滑らかさはあっても、
中性的(女性的?)な柔らかさや丸みを感じることはあまりありません。

背中や腕が描く曲線は、ピンと張りつめた弦をしならせたような重厚感があります。

ですので、素材としても「小枝=木」は完璧。


また、アレンジの右側に配置してある極端に1本長い枝は、振り付けの一部の表現。

プログラムの序盤で左腕を真上に伸ばし、その肘を右手で掴むような仕草をするのですが、
この時の腕の位置や動きがとても美しかったので、そのイメージで挿しました。



(6)リボン


太めのシルバーと、やや細めの黒。
リボンの端はこの2本がほぼ同じ形となるように、鋭い角度で裁ちました。



シルバーはスケート靴のエッジ。
黒は氷に刻まれたエッジの跡が残す陰影。
後ろから見ると結構強烈ですが、いくつものループを創って束ねています。




これは、変幻自在にリンクを滑るパトリック選手の足跡を再現してみたくなったため。
(正面から眺めると、このリボンたちも線のような側面しか見えなくなります)


シルバーは鏡のような光沢のものは避けて、ややつや消しの素材に。
あまりにピカピカしていると、重厚感や荘厳さがなくなりそうでした。



(7)アートリーフ


シルバー、白、黒を基調とするアレンジの中で、このゴールドはアクセントのひとつ。
黄色みが強いゴールドですと、全体の彩りの中で浮いた存在になってしまうので、
いわゆる「白金」に近い色を選びました。
(土台とした布地に縫いつけたゴールドのスワロフスキーと、ほぼ同じ色です)



配色のバランスという意味も多少はありますが、
このパーツだけが、プログラムのイメージと直接関係の薄い、完全な主観的発想。
いまだもったいなくて開けることのできない、あの特別なワイン から来ているのです。


ワインのラベルに描かれているメープルリーフ。それでリーフのパーツ。
リーフの色は、ワインの色。
私がこのアレンジで表現したかったのはプログラムだけでなく、
パトリック選手のイメージそのものだったのだと、このあたりで気づきました。



(8)シュガーピック


リーフのゴールドも、全体の色づかいのうえでやや異質ですが、
黄色みの淡さ、シルバーと共通した光沢色という共通要素から、
主張の強いアクセントカラーではありませんでした。


これに対して唯一の色、明確な有彩色として選んだのが赤のシュガーピックです。
アレンジ全体を引き締めるアクセントカラーの役割とともに、2つの意味をこめています。



[1]劇的に増した情感

 休養に入るまでのパトリック選手の印象は、品格ある技術職人。
 スケーティングや様々な技の巧さにばかり目が行っていました。それが心地よかったのです。
 ですがこのプログラムでは、ショパンの音色が持つ世界観を完全に自身と一体化させて、
 心を、魂を注ぎ込んで、すべての所作を行っているように見えました。


 深く血の通った演技。赤はその色です。
 ただ、烈火のような激情ではなく、内に秘めた静かな炎のような赤。
 そんなイメージにぴったりの、シュガーコートされたピックが見つかってよかったです。 
 

[2]カナダの国旗

 パトリック選手の地元カナダの国旗の色は赤と白、その中心に楓(メープル)の葉。
 白のバラの傍に挿した上3つのピックは、メープルリーフの葉の形を意識して。

 下の2つは国旗の左右の赤。
 定規で計ったように均一に並べると少々ベタな感じがしましたので、このような配置にしています。



 このプログラムは、カナダの観客の大歓喜と、それに応えるパトリック選手の笑顔まで含めて、

 とてつもない感動を呼び起こしたひとつの作品。この赤は非常に大切な存在なのです。




こうしてできあがった「ショパン・メドレー」の花。
真上から見るとこんな感じです。




手先の不器用さを恨めしく(?)思う瞬間も何度もありました。
自分の感じた印象だけで一気に創りあげてしまったので、
傍目から見たら「???」と思われるかもしれませんが、
感動した出来事を忘れないように、形にできたことに大満足。
(ちょうど美しい花風景に出会えて、夢中で写真を何十枚も獲ってしまったような感覚に似ています)



では最後に、やってみたかったショットを。




…もったいなくていまだに飲むことができていなかったワイン。
まだ栓を開けていない状態で残しておいて本当によかったです。(いったいいつ飲めるのか…)


12月11日から、このフィギュアスケートグランプリシリーズの上位成績6名で争われる、
「グランプリファイナル」という競技会が開かれます。

そのときにまた、美しい「ショパン・メドレー」を見ることができますよう。





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