「聖女の救済」 | Promised Land -帰りたい何処か-

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わたしにとっての「約束の地」はどこなのか?

その答えを今探しています。

確か昨年の秋頃二冊同時出版された、東野圭吾のおなじみ「ガリレオ先生シリーズ」。
今では、福山雅治主演の「ガリレオ」がとても有名になっているので、
図書館で予約を入れようとしたら、ものすごく待たされることが発覚し
(多分当時の時点で半年待ちくらい?)、当分諦めようと思うこと早7ヶ月。



その後、事故前に友人宅に遊びに行ったとき、その本棚に「ガリレオの苦悩」と
「聖女の救済」の二冊を発見。
友達は、「もうとっくの昔に読んだから、よかったら貸してあげる」と嬉しい一言嬉しいラブラブ!


本を借りて数週間後に事故を起こした私。
初めのうちは寝たきり(本当に一日中眠っていた日もあった)だったものの、
有給休暇休業が終わりに近づくころには、寝っころがって本を読むくらいはできるようになった。
で、まずは「聖女の救済」から読んでみた。



男が自宅で殺害されたとき、離婚を切り出されていた妻には完璧なアリバイがあった。
だけど、捜査をしていくうちに、やはり妻・綾音が一番犯人としての可能性がある。
でも、決定打がどうしても見つからない。

迷宮入りしそうになっていたが、湯川准教授の科学的考察に基づいた推理と、
草薙・内海両刑事らの尽力で、最後には彼女の犯行が明らかになった・・・・。


最初のころの「ガリレオ」シリーズの作品に比べると、「容疑者Xの献身」もそうだけど、
とても構想が良く練られているし、描写や話の展開も丁寧だけど、かつテンポよく進んで、
読んでいてとても面白かった。


私もドラマの「ガリレオ」はちょこちょこ見ていたので、今回読んだ読んだときには
湯川先生として福山雅治を、内海刑事として柴崎コウを思い浮かべるのかな、と思っていたが
不思議なことに全く思い浮かばず、それぞれ私の中での従来の「湯川学像」が浮かんでいた。

 (内海刑事は、「ガリレオ」がドラマ化してから誕生したキャラなので、それこそ
  柴崎コウが浮かぶかと思ったけれど、本を読み進めていくうちに、テレビの内海薫像とは
  ちょっと異なる、冷静かつ捜査に対して執念深い聡明な女性、という像を自分で作っていた。
  柴崎コウ演じる、かわいいけどやや頼りない内海刑事とはちょっと異なっていた)


被害者の「結婚して1年経っても子どもを産まない女とは別れる」という主義は、
なんかいただけない。女性を本当に愛しているのか、と言いたくなるような嫌な奴だと思ったむかっ
1年経ってできない人はいくらでもいるし、それを最初から結婚の条件にするような男、最悪だと思う。
お互いを大切に思って結婚し、その結果として子どもを授かる。
望んでいても授からなかったときは、二人で生きていけばいいじゃない。
子どもを成すためだけの結婚なんてまっぴらごめんだし、こんな男とは私なら絶対に結婚したくない。
この男は以前にも、同様の理由で恋人を捨てている。(彼女は自殺した)


確かに殺人は絶対に許されないことだけれど、ここまで女性を軽視し傷つける犯人を殺した綾音に、
私は少し同情した。