
小学校2年のとき
うちでウサギを飼うことになったことがありました
僕には妹が1人いるんですが~普段から好みの合わない妹と、このときばかりはその真っ白な毛並みを同時に欲しがって…
必ずエサやりと、小屋の掃除をすることを親に約束して
飼うことにしたウサギでした

生まれて初めてできた毎日の心配事
夜中に猫の鳴き声がすると
外のウサギ小屋まで出て行って、僕がホウキを持ち、妹が懐中電灯を持って、しばらく見張りをしたこともありました

ウサギは声を出さないから…妹と並んでその赤い眼をじっと覗き込んでは、ウサギの声なき声に耳を傾けていました

Mr.Children『花の匂い』のPVには、戦争で引き裂かれたウサギの家族が出てきます
それもあってか、この曲を聴くと、幼い僕らの家族として、数年間を一緒に過ごしたウサギの記憶が蘇ります

「死」と向き合うことなんてそれまでなかったけれど
庭先の植え込みに妹と二人穴を掘り
そこへ横たえた白い亡骸の、何度も撫でつけた毛並みに、ひとすくい…土をかぶせた瞬間に

兄妹揃って涙が溢れたのを思い出します

「どんな悲劇に埋もれた場所にでも…必ず植わっている」と歌われている「幸せの種」
僕らにとってウサギの死は決して「悲劇」ではなく
むしろ家族をそっと繋いでくれていたウサギが、その優しい眼が、土の中で眠る今も「幸せの種」であるように思います
「悲劇」って
愛する人のためじゃなく、他人の思惑に振り回されて、絆も支えも根こそぎ奪われること
あのPVの、ウサギの家族のもとに渡った赤紙(戦争の召集令状)が
もう二度と誰のもとにも届かないようにって、今年も祈ります

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Mr.Children
『花の匂い』
作詞作曲:桜井和寿
アルバム
『SUPERMARKET FANTASY』収録
ベストアルバム
『Mr.Children 2005-2010〈macro〉』収録
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