以前こちら↓の記事で紹介した遊戯王のパワー9(10種)を解説&紹介。
 
簡単に言えば「OCGで最初に禁止になった10枚の紹介」。
※カードの画像は初出のものを使用していますが、テキストは公式データベースを参考に最新テキストで紹介します
 
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お注射天使リリー (地)☆3
【魔法使い族/効果】ATK/400 DEF/1500
①:このカードが戦闘を行うそのダメージ計算時に1度、2000LPを払って発動できる。このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ3000アップする。
(2015’01のリミットレギュレーションでは無制限カード)
 
レベル3でありながらLPを2000払うことで攻撃力が3400まで上昇し、青眼の白龍をも戦闘破壊できるモンスター。2000LPというのは決して少なくないが、それを補って余りある性能でLP消費を加速させた。
 
とても強力な効果だが、とにかく封入が厳しく、採用率はさほど高くなかった。その分シングル価格がとんでもなかった1枚でもある。
 
……しかしながら禁止になった直後の制限改定であっさり制限になったり、「パワー○」として並べるにはいささか他のカードと比べ劣ると言える。ちなみにこのカードを除くとMTGの本家「パワー9」と同じ9枚になる。
 
 
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 サイバーポッド (闇)☆3
【岩石族/リバース/効果】ATK/900 DEF/900
リバース:フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。その後、お互いにデッキの上からカードを5枚めくり、その中のレベル4以下のモンスターを全て表側攻撃表示または裏側守備表示で特殊召喚する。それ以外のカードは全て手札に加える。
 
リバースするとフィールドのモンスター全て破壊するだけでも強力なのだが、デッキの上から5枚を、下級モンスターなら場に特殊召喚し、それ以外は手札に加える。1枚で展開と手札補充が可能であり、「メタモルポット」のように手札を捨てる必要がなく単純に手札が増えるというのが強い。自分のモンスターも破壊する点と相手にも展開・手札補充させるという欠点がある。
 
これだけだとハイリスク・ハイリターンな強力カードで済むのかもしれないが、このカードのリバース効果を何度も使用し高速でなおかつ高い安定性でデッキ破壊を行う【デッキ破壊1キル】が誕生したことで禁止カードとなるまでに至った。その後一度制限復帰したが、「ヴィクトリー・ドラゴン」を使ったループ、コンボ、1ターンキルデッキのパーツ集めに【デッキ破壊1キル】のギミックが使われたことで一年半後に再び禁止カードになった。

ちなみに「特殊召喚できないレベル4以下は手札に加える」という裁定が出ている(21/09/09)
 
 
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ファイバーポッド (地)☆3
【植物族/リバース/効果】ATK/500 DEF/500
リバース:お互いの手札・フィールド上・墓地のカードを全て持ち主のデッキに加えてシャッフルする。その後、お互いにデッキからカードを5枚ドローする。
 
ポット系その2、リバースすると除外されているカード以外を全てデッキに戻し互いに5枚ドローする。「対象に取らない全体デッキバウンス+手札補充」を行うので、普通に使ってもリセット、手札補充、墓地のカードの再利用、相手の戦略の妨害など出来ることは多い。
 
上記の「サイバー・ポッド」と共にコンボデッキに採用された。当時のカードプールではこのカードの効果が通ってしまうと、その後は好き勝手されるしかなくなるのもこのカードの強みだろう。【デッキ破壊1キル】のようなリバース効果を再利用することに特化したデッキでは実質的にマリガン(手札の引き直し)が無限に行えることになる。 
 
 
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八汰烏 (風)☆2
【悪魔族/スピリット/効果】ATK/200 DEF/100
このカードは特殊召喚できない。召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた場合、次の相手ターンのドローフェイズをスキップする。
 
遊戯王でドロースキップの恐ろしさを世に知らしめた凶悪カード。【混沌帝龍八汰ロック】が有名だが、むしろこのカードの凶悪さは「逆転の目を潰す」「このカードの直接攻撃が1度通るような状況は2度目も通りやすい=永続的なドロースキップが容易」な点にある。
 
そこまでせずとも「ドロ-スキップ」は非常に凶悪で、ハンデスの一種とされ、いくつかある種類の中で一番性質が悪いと言われる。
 
またスピリット共通効果から返しのターンで除去されにくいのも強さに拍車をかけた。後述の「ハンデス三種の神器」で相手を不利な状況に追い込んでから、このカードでドローロックを狙う【八汰スタン】【八汰ロック】が流行し初代禁止カードにふさわしい実績で禁止カードに。
 
後に登場した「八汰烏の骸」は「八汰烏が禁止から帰ってくることはない」事を暗示していると言われている
 
 
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いたずら好きな双子悪魔 通常魔法
1000ライフポイントを払って発動する。相手は手札をランダムに1枚捨て、さらにもう1枚選択して捨てる。
 
「押収」「強引な番兵」と並ぶ通称「ハンデス三種の神器」の1枚。他2枚と比べてこのカード1枚で2枚手札破壊できる点で勝る。先攻で使われるだけで後攻は初手3枚からスタートすることになり、「遊戯王は先行ゲー」と評された。
 
余談だがこういったハンデスカードが作られたのは【エクゾディア】が関係していると考えられる。エクゾディア完成には手札が5枚以上必要で、先行でハンデスを使われると非常に厳しい。当時まだ遊戯王に禁止カードの制度がなかった為、こういったカードでゲームバランスを取ろうとしていたのかもしれない、その結果このカードが初の禁止カードになるというのは非常に皮肉な話であるが。
 
成長後とおぼしき「ジェミナイ・デビル」がハンデスメタ効果持ちで登場している
 
 
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苦渋の選択 通常魔法
自分のデッキからカードを5枚選択して相手に見せる。相手はその中から1枚を選択する。相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードを墓地へ捨てる。
 
サーチカードとしては不確定だが、デッキから墓地へカードを送るカードとしては最高性能を持つ。1枚で4枚墓地に送れる上に、墓地に送りたいカードを2枚以上選べば確実にどちらかは墓地に行く、エクゾディアパーツを指定し墓地に送られた残りのパーツを回収するデッキや、「処刑人マキュラ」を絡めたコンボでマキュラを墓地に落とす手段にも使われ、遊戯王における「墓地アドバンテージ」の重要性を世に知らしめた。
 
墓地で効果を発揮するカードが増えた今、このテキストのまま制限解除されることは絶対にないだろう。
 
「実際にこのカードで苦渋の選択をするのは相手」というのは当時よく見られた光景である。
 
 
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心変わり 通常魔法
相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。このターンのエンドフェイズ時まで、選択したモンスターのコントロールを得る。
 
ターン終了時まで条件一切なしで相手モンスターのコントロールを得る。相手が召喚したモンスターを奪って攻撃するもよし、奪ったモンスターをリリースしてアドバンス召喚するもよし、このカードの調整版である「強奪」「洗脳-ブレインコントロール-」が禁止、「精神操作」が制限ということからもこのカードが如何に強力か分かって頂きたい。
 
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サンダー・ボルト 通常魔法
相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。
 
相手の場のモンスターを無条件で表示形式関係なく全て破壊する。モンスターが破壊されるということはそのターン直接攻撃がほぼ確実に通るということになる。「ブラック・ホール」と比べ自分のモンスターが破壊されないのは攻めるに都合が良い。
 
「ブラック・ホール」が現制限、「ライトニング・ボルテックス」が元制限であり、それを踏まえるとこのカードが制限復帰することは難しいだろう……と言いたいが海外では制限カードになっている。
 
そして2019’04のリミットレギュレーションで遂に制限カードに。
 
 
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ハーピィの羽根帚 通常魔法
相手のフィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。
 (2015’01のリミットレギュレーションでは制限カード)
 
相手の魔法・罠カードを無条件で裏表関係なく破壊する。魔法罠を全て破壊するということはそのターン妨害をまず受けないと云うこと、「大嵐」と比べ自分の魔罠が破壊されないのは使うデッキ・状況を選ばないことに加え、自分は魔罠で防御を固めた有利な状況を維持しつつ相手の妨害のみを排除できることにもなる。
 
「大嵐」が制限と禁止を行き来し、「ハリケーン」がしばらく禁止のまま、こういったカードで妨害を取り払ってから一気に攻めるのは定石であり制限復帰は難しい……と思いきや「大嵐」と入れ替わる形でまさかの制限復帰。
 
 
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王宮の勅命 永続罠
このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の魔法カードの効果を無効にする。このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に700ライフポイントを払う。または、700ライフポイント払わずにこのカードを破壊する。
 
初の禁止カードで唯一の罠カード。LPによる維持条件が付いた「王宮のお触れ」の魔法版。魔法カードは「強欲な壺」といった補助から「サンダーボルト」といった強力なカードまであり、それが無効になるということはテンポアドバンテージが失われる。罠カード故に相手の魔法の発動にチェーンして発動することが可能で、適用されてしてしまえば「サイクロン」や「大嵐」で除去されないのも大きい。
 
更にLPを払わずプレイヤーの任意のタイミングで破壊できるので、相手の魔法は使わせず、自分は使いたい時に魔法が使うということが可能。「スキル・ドレイン」や「王宮のお触れ」と比べ幅広いデッキに投入できる。
 
「魔法カードの効果を無効にする」効果の強さを証明する形で禁止カードへ、このカードに限らず魔法カードに関するカードの規制はなにかと厳しい。