-六道とは?
仏教の教えの中で説かれる6つの世界。
具体的には
・天道(てんどう)
・人間道(にんげんどう)
・修羅道(しゅらどう)
・畜生道(ちくしょうどう)
・餓鬼道(がきどう)
・地獄道(じごくどう)
の6つを指す
・人間道(にんげんどう)
・修羅道(しゅらどう)
・畜生道(ちくしょうどう)
・餓鬼道(がきどう)
・地獄道(じごくどう)
の6つを指す
仏教では人間の魂は輪廻し続け常に
この六道のいずれかを巡りそれぞれの「苦」に苛まれているという
死することで閻魔が生前の行いを見ていずれかに送るという
仏の教えを学び悟りを開き仏となることで「苦」から解き放たれ
六道輪廻から解き放たれることを「解脱」といい、仏の道はこれを目的とする
【補足】
・地下鉄サリン事件などを首謀した麻原彰晃を教祖とした
オウム真理教も教えの中で「解脱」という言葉を用いていた
なので人によっては胡散臭い印象を持ちやすいが本来高尚な言葉である
六道それぞれの解説
・天道(てんどう)
人間より優れた「天人」が生きる道とされる
天人は長寿で不思議な力を持ち、快楽のままに生きることができる
ただし煩悩からは抜け出せず、仏教も存在しないため「解脱」できない
つまり死後必ずまた六道のいずれかに行くことになる
また「天人五衰」といい、天人が死を迎えるときには
5つの苦悩が付きまとうという
・人間道(にんげんどう)
「人間」が生きる道、いわばこの世界である。
「四苦八苦」が常に付きまとうが楽しみも存在し
仏教に触れることで「解脱」し仏になれる救いがある
・修羅道(しゅらどう)
「阿修羅」を世界の首とする道、それに倣い送られる者も「修羅」と呼ぶ
元々「阿修羅」は天人であったが、妄執と闘いと好む性格から追放された
天道と同じモノが望むままに与えられるが、奪い合いや闘争が絶えることはない
・畜生道(ちくしょうどう)
「畜生」とは仏教で神・人間以外の全て生き物を指し決して悪い意味ではない
生きる苦しみの中で食事・睡眠・姦淫といった目先の快楽に耽ることになる
仏の教えより生物としての力関係に逆らえない為解脱できず救いのない世界とされる
・餓鬼道(がきどう)
「餓鬼」として永遠に満たされない飢えに苦しみ生きる道
生前に自らの貪欲の為に悪行をなしたものが堕ちるとされ
大まかに分けて「一切の食事ができない餓鬼」「特定の物・期間のみ口にできる餓鬼」
「なんでも食べられるが空腹が満たされることは永遠にない餓鬼」が存在する
・地獄道(じごくどう)
生前に重罪を犯した者が閻魔の裁きによって送られる道
「落ちる」と表現されることから生前の姿と思われる
罪の重さにより「八大(八熱)地獄」で途方もない服従期間を過ごすことになる
【解説】
-「外道」
「六道から外れた者」という意味から使われる
最たる語源は「仏の教え(道)と違う宗教を信じる者」を侮蔑して「外道」というが
修行をする身でありながら欲に堕ちた者も「外道」と言い
またそれを「もはや人ではなく妖怪である」とされたのが「天狗」になる
-「天人五衰」
衣裳垢膩(えしょうこうじ):衣服が垢で油染みる
頭上華萎(ずじょうかい):頭上の華鬘が萎える
身体臭穢(しんたいしゅうわい):身体が汚れて臭い出す
腋下汗出(えきげかんしゅつ):腋の下から汗が流れ出る
不楽本座(ふらくほんざ):自分の席に戻るのを嫌がる
また宗派によっては3つ目が「頭上からの光が消える」「瞬きが増える」するものもある
これらは天人・天道の世界でも避けることはできないとされる
-「四苦八苦」
四字熟語として有名だが仏教を由来としている
生きる・老いる・病める・死ぬの4つの苦しみに
・愛別離苦(あいべつりく) - 愛する者と別離すること
・怨憎会苦(おんぞうえく) - 怨み憎んでいる者に会うこと
・求不得苦(ぐふとくく) - 求める物が得られないこと
・五蘊盛苦(ごうんじょうく)- 五蘊(人間の肉体と精神)が思うがままにならないこと
の4つを加えて八苦とし「人間が避けることのできない苦しみ」を指す
-「阿修羅」への補足
「阿修羅」と「修羅」は同一のものである
元々「asura(アスラ)」という名前だったが梵字をそのまま漢字に当てはめ
「阿修羅」と当てられたが中華では「阿」が「~ちゃん」という意味になる為
「修羅」と略されるようになった
そもそも「asu(命)ra(与える)」で生気活性の善神だったが
「a(否定の接頭詞)sura(天)」から「非天」と解釈され「帝釈天」に仇為す戦いの神とされ
現在では天界を追放されて伝承されている
-「畜生道」への補足
仏教に限らず多くの宗教では「動物は神を理解しない」とされるが
実際にはゾウやゴリラ等に仲間の死を悲しんでいると
思われる行動がいくつか確認されており
「畜生は仏を理解しない」というのはあくまで比喩表現ということをお忘れなく
-「餓鬼の種類」
(1)無財餓鬼:一切の飲食ができない餓鬼。施餓鬼供養されたものだけは食することができる。
-炬口鬼/口にしたものが全て炎となって消える
-鍼口鬼/針のような細い口しかなく飲食できない
-鍼口鬼/自らの酷い口臭で食しても吐き出してしまう
(2)少財餓鬼:人の糞尿や屍といった限られた不浄のものしか食べられない
-鍼毛鬼/毛が針のように鋭く、常に自らを刺している
-臭毛鬼/悪臭を放つ毛を持ち腐乱した体に苦しむ
-癭鬼/大きな”こぶ”と病熱や激痛に苦しむ、潰して出た膿を好んで食べる
(3)多財餓鬼、多くの飲食ができる餓鬼。ただしどんなに贅沢はできても満足しない。
-希祠鬼/祠の中に潜み、供え物を欲しがる
-希棄鬼/人の棄てたものを欲しがって食べる
-大勢鬼/その他大勢
となる
-「八大(八熱)地獄」
・等活地獄/殺生の罪。落ちた者同士で殺しあう、死ぬと獄卒によって蘇生される
服従期間は人間時間で1兆6653億1250万年
・黒縄地獄/上記+盗みの罪。高熱の鉄で出来た地面・縄・刃物で苦しむ
服従期間は人間時間で13兆3225億年
・衆合地獄/上記+邪淫の罪。針山・針の葉の林・針の巨象に押しつぶされる
服従期間は人間時間で106兆5800億年
・叫喚地獄/上記+飲酒の罪。大釜や鉄室で熱せられて泣き叫ぶことになる
服従期間は人間時間で852兆6400億年
・大叫喚地獄/上記+詐欺の罪。叫喚地獄より更にすさまじい炎熱で焼かれる
服従期間は人間時間で6821兆1200億年
・焦熱(炎熱)地獄/上記に加え仏教の教えに背く行為
大叫喚地獄より更にすさまじい炎熱で焼かれ八つ裂きにされ続ける
服従期間は人間時間で5京4568兆9600億年
・大焦熱(大炎熱)地獄/上記に加え尼僧・童女などへの強姦
焦熱(炎熱)地獄より更にすさまじい炎熱で焼かれる
服従期間は人間時間で43京6551兆6800億年
・無間地獄/上記に加え父母・聖者の殺害
上記7つの地獄が極楽に思えるような想像を絶する苦痛を絶え間なく受ける
服従期間は人間時間で349京2413兆4400億年
「349京2413兆4400億年=1中劫」であり、未来永劫の「劫」に使われている
別名:阿鼻地獄で「阿鼻叫喚」の語源である
-「八寒地獄」
上記の「八熱地獄」と並んで存在しているという地獄
頞部陀(あばた)地獄
刺部陀(にらぶた)地獄
-寒さのあまり全身にそれぞれ「痘痕」「あかぎれ」が生じるのが由来
頞听陀(あただ)地獄
臛臛婆(かかば)地獄
虎々婆(ここば)地獄
-寒さのあまりそれぞれ「あただ」「ははば」「ここば」と叫ぶことになるのが由来
嗢鉢羅(うばら)地獄.
鉢特摩(はどま)地獄
摩訶鉢特摩(まかはどま)地獄
-「嗢鉢羅(Utpala)」は青蓮、「鉢特摩(Mahapadma)」は赤い蓮を指す
寒さのあまり凍傷で肌がひび割れ蓮のようにめくりあがるのが由来
鉢特摩より下は流血することから赤い蓮の名前が使われる
それぞれ別名「青蓮地獄」「紅蓮地獄」「大紅蓮地獄」とも呼ばれ
「紅蓮」の語源はここから来ている