金融所得課税と1億円の壁! | 体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

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ITmedia ビジネスオンラインによると、日経平均株価は2021年9月24日以降、10月7日まで8営業日連続で下落し、下げ幅は2,700円を超えました。
特に、岸田文雄氏が自民党新総裁に選出されて以降、下げ足が早まったように見受けられます。
岸田氏は、成長と分配の好循環に向けた政策の1つとして、「金融所得課税」の見直しを掲げており、足元の株安はこれを嫌気した反応との声も市場で聞かれます。

金融所得課税とは、株式譲渡益や配当金などの金融所得に課される税金で、現在、税率は一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。

岸田氏は2021年10月4日の記者会見で、改めて金融所得課税の見直しを検討する意向を示しており、今後は年末の2022年度税制改正で、一律20.315%の税率を引き上げる案や、高所得者の負担が重くなるよう累進的に課税する案などについて、議論される見通しです。

なお、金融所得の税率は、前述のとおり一律20.315%に定められています。
そのため、金融所得の割合が相対的に高い高所得者層は、株式譲渡益がいくら大きくなっても、累進的に課税されることはなく、税率は20.315%で変わらないということになります。
このような状況から、現行の金融所得課税は、金持ちを優遇する制度になっているという批判が根強くみられます。

一方、給与所得の税率は、所得が増えるほど累進的に課税され、最高税率は課税所得4,000万円超について設定されている45%です。
このほかに住民税が10%かかります。
そのため、年間所得の増加につれ、給与所得が多く金融所得が少ない場合は所得税の負担率が上昇し、給与所得が少なく金融所得が多い場合は負担率が低下することが起こり得ます。
実際、所得税の負担率は、年間所得が1億円を超えると低下しており、これを「1億円の壁」といいます。

岸田氏は、金融所得課税を見直すことで、1億円の壁を打破し、中低所得者層への配分を増やすことを検討しています。
ただし、金融所得の税率を一律に引き上げた場合、一定程度の税収増は見込まれるものの、増税前の株式売却や株式投資の敬遠につながる恐れもあります。
また、累進課税とした場合、対象を高所得者層に絞ることはできますが、配分の原資となる税収は小さくなるため、具体的な方向性は今後の議論を待つことになります。

なお、岸田氏が改めて金融所得課税を見直す意向を示した10月4日夜の記者会見以降、日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)および業種別株価指数の動きですが、10月6日は両指数で上昇銘柄数と下落銘柄数が拮抗し、業種別では原油高や長期金利上昇の影響もうかがえます。
金融所得課税の見直しは、足元の株安要因の1つと思われますが、市場では比較的冷静な物色の動きもみられます。

おそらく、少し前から盛んに言われており、税制改正大綱も『貯蓄から投資へ』というスタンスですが、これに逆行するのではないかと思いますね。
あとは、実現していない単なる含み益であっても、株価が上昇しているということは消費者のマインドに好影響を与えると思いますので、この辺りもマイナスに働くかもしれませんね。
金持ち優遇と批判されたりしますが、やはり、お金持ちが消費を支えているという面は否定できないのではないかと思っています。
しばらくは、改正しないようなことを発言したりしていますが、個人的には、外国人投資家が減ったり、外国に移住するお金持ちが増えたりするような政策は避けてほしいなぁと思います。

金融所得課税と1億円の壁について、どう思われましたか?