平成27年度税制改正大綱(法人税、消費税、その他) | 体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

香川県高松市で会計事務所(税理士・会計士)をやっている公認会計士・税理士です。●棚卸●事業承継●M&A・組織再編●贈与・相続のコンサルティングをしています。会計・税務に関することなら、お気軽にお問い合わせください。

 20141230日に、平成27年度税制改正大綱が公表されました。

 まだ、閣議決定していませんが、法人税、消費税及びその他関連の主な内容は以下のとおりです。

<法人税>
(1)法人税の税率の23.9(現行25.5)への引き下げ(平成27年4月1日以後に開始する事業年度について適用)
(2)
欠損金の繰越控除制度等の見直し

 平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する繰越控除をする事業年度又は連結事業年度について、その繰越控除前の所得の金額又は連結所得の金額の100分の65相当額(現行100分の80相当額)とする。
ロ平成29年4月1日以後に開始する繰越控除をする事業年度又は連結事業年度について、その繰越控除前の所得の金額又は連結所得の金額の100分の50相当額とする。
 なお、中小法人等については、現行の控除限度額(所得の金額又は連結所得の金額)を存置する。
(
)上記の改正は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
 一方、青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間を10(現行9年)に延長する。
(
)上記の改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額について適用する。

(3)受取配当等の益金不算入制度の見直し
① 益金不算入の対象となる株式等の区分及びその配当等の益金不算入割合を次のとおりとする。
(
現行)

完全子法人株式等(株式等保有割合100) 100分の100
関係法人株式等(株式等保有割合25%以上) 100分の
100
上記以外の株式等 100分の50

(改正案)
完全子法人株式等(株式等保有割合100) 100分の100

関連法人株式等(株式等保有割合3分の1超) 100分の100

その他の株式等 100分の50

非支配目的株式等(株式等保有割合5%以下) 100分の20

(4)外形標準課税の拡大
① 法人事業税の税率の改正

資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という。)1億円超の普通法人の法人事業税の標準税率であるが、付加価値割のウェイトを増やし、それぞれ平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度及び平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。
(5)
地方拠点強化税制の創設
 地域再生法の改正を前提に、次の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)
 青色申告書を提出する法人で地域再生法の改正法の施行の日から平成30年3月31日までの間に地域再生法の地方拠点強化実施計画(仮称)について承認を受けたものが、その承認の日から2年以内に、その地方拠点強化実施計画に記載された建物及びその附属設備並びに構築物で、一定の規模以上のものの取得等をして、その事業の用に供した場合には、その取得価額の15(その地方拠点強化実施計画がその法人の同法の特定施設(仮称)の同法の特定地域(仮称)から同法の大都市等(仮称)以外の地域への移転に関するものである場合には、25)の特別償却とその取得価額の2(その地方拠点強化実施計画がその法人の特定施設の特定地域から大都市等以外の地域への移転に関するものである場合には、4)の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする。
 なお、地域再生法の改正法の施行の日から平成29331日までの間に地方拠点強化実施計画について承認を受けた法人が取得等をしたものについては、その特別償却とその取得価額の4(その地方拠点強化実施計画がその法人の特定施設の特定地域から大都市等以外の地域への移転に関するものである場合には、7)の税額控除との選択適用ができることとする。
(
)上記の「一定の規模以上のもの」とは、一の建物及びその附属設備並びに構築物の取得価額の合計額が2,000万円以上(中小企業者にあっては、1,000万円以上)のものをいう。
 また、雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)について、次の見直しを行う。
.青色申告書を提出する法人で地域再生法の改正法の施行の日から平成30年3月31日までの間に地方拠点強化実施計画について承認を受けたものが、その承認の日から2年以内の日を含む事業年度において、その地方拠点強化実施計画に従って移転又は新増設をした特定施設である事業所における増加雇用者数(法人全体の増加雇用者数を上限とする。)に次の場合の区分に応じ次の金額を乗じた金額の税額控除ができる措置を講ずる。
(
)現行の適用要件を満たす場合 50万円
(
)現行の適用要件のうち雇用者増加割合が10%以上であることとの要件以外の要件を満たす場合 20万円
(
)上記イの措置の適用を受ける場合で上記イ()に該当する場合には、現行の雇用促進税制の適用の基礎となる増加雇用者数から、この措置の適用の基礎となる増加雇用者数を控除する。
.青色申告書を提出する法人で地域再生法の改正法の施行の日から平成30331日までの間に地方拠点強化実施計画(その法人の特定施設の特定地域から大都市等以外の地域への移転に関するものに限る。)について承認を受けたものが、その承認の日から2年以内の日を含む事業年度(以下「対象年度」という。)において上記イの措置の適用を受ける場合には、対象年度のうちその適用を受ける事業年度以後の各事業年度(その特定施設である事業所における雇用者数又は法人全体の雇用者数が減少した事業年度以後の事業年度を除く。)において、対象年度のうち当該事業年度以前の各事業年度のその特定施設である事業所における増加雇用者数の合計数に30万円を乗じた金額の税額控除ができる措置を講ずる。
(
)上記ロの措置は、事業主都合による離職者がある場合及び風俗営業等を行っている場合には、適用しない。
 ただし、上記イ及びロによる控除税額は、当期の法人税額の30%から現行の雇用促進税制による控除税額と上記①の税額控除制度による控除税額との合計額を控除した残額を上限とする。

<消費税>
()消費税率(国・地方)10%への引上げ時期の変更等
 消費税率(国・地方)10%への引上げの施行日を平成29年4月1日とする。
 消費税率(国・地方)10%への引上げに係る適用税率の経過措置について、請負工事等に係る適用税率の経過措置の指定日を平成2810月1日とする等の改正を行う。
(2)
内外判定基準の見直し及びリバースチャージ方式の導入
 
電子書籍・音楽・広告の配信等の電気通信回線を介して行われる役務の提供を「電気通信役務の提供」(仮称。以下同じ。)と位置付け、内外判定基準を役務の提供に係る事務所等の所在地から、役務の提供を受ける者の住所地等に見直す。
 国外事業者が行う電気通信役務の提供のうち、当該役務の性質又は当該役務の提供に係る契約条件等により、当該役務の提供を受ける者が事業者であることが明らかなものを「事業者向け電気通信役務の提供」と位置付け、その取引に係る消費税の納税義務を役務の提供を受ける事業者に転換する(リバースチャージ方式の導入)
(
)上記の「国外事業者」とは、所得税法上の非居住者である個人事業者及び法人税法上の外国法人をいう。
.消費税の課税対象である資産の譲渡等から事業者向け電気通信役務の提供を除くとともに、事業として他の者から受けた事業者向け電気通信役務の提供(以下「特定仕入れ」(仮称)という。)を課税対象とする。
.納税義務の対象となる課税資産の譲渡等から事業者向け電気通信役務の提供を除くとともに、国内において行った課税仕入れのうち特定仕入れに該当するもの(以下「特定課税仕入れ」(仮称)という。)を納税義務の対象とする。
 国内において事業者向け電気通信役務の提供を行う国外事業者は、当該役務の提供に際し、あらかじめ、当該役務の提供に係る特定課税仕入れを行う事業者が消費税の納税義務者となる旨を表示しなければならない。
(
)上記の改正は、平成2710月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れ並びに保税地域から引き取られる課税貨物について適用する。

<その他>
(1)会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の廃止
(2)
空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空家等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の対象から除外する措置
(3)
財産債務明細書の見直し
 財産債務明細書について、次の見直しを行い、新たに、財産債務調書として整備する。
 現行の提出基準である「その年分の所得金額が2千万円超であること」に加え、「その年の1231日において有する財産の価額の合計額が3億円以上であること、または、同日において有する国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上であること」を提出基準とする。
 現行の記載事項である「財産の種類、数量及び価額」のほか、財産の所在、有価証券の銘柄等、国外財産調書の記載事項と同様の事項の記載を要することとする。
(
)財産の評価については、原則として「時価」とする。ただし、「見積価額」とすることもできることとする。また、有価証券等については、取得価額の記載も要することとする。
 国外財産調書と同様、財産債務調書の提出の有無等により、所得税又は相続税に係る過少申告加算税等を加減算する特例措置を講ずる。
(
)上記の改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用する。
(4)
いわゆるトリガー税率の見直し
 個人住民税における国内に住所を有する者の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例(いわゆる外国子会社合算税制)等について、特定外国子会社等に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準(いわゆるトリガー税率)20%未満(現行:20%以下)に変更する。