平成25年度税制改正大綱 | 体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

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 本日、2013124日に、平成25年度税制改正大綱が公表されました。
 主なものは、以下のとおりです。


一 個人所得課税
1
所得税の最高税率の見直し
(国税)
現行の所得税の税率構造に加えて、課税所得4,000 万円超について45%の税率を設ける。
(注)上記の改正は、平成27 年分以後の所得税について適用する。

2
金融・証券税制
(国税・地方税)
上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)は、平成25 12 31 日をもって廃止する。

二 資産課税
1
相続税・贈与税の見直し
1)相続税の基礎控除及び税率構造について、次の見直しを行う。
① 相続税の基礎控除
<
> 定額控除 5,000 万円 比例控除1,000 万円に法定相続人数を乗じた金額
<
改正案> 定額控除 3,000 万円比例控除600 万円に法定相続人数を乗じた金額
② 相続税の税率構造
<
>

1,000 万円以下の金額 10
3,000
万円 〃 15
5,000
万円〃 20
1
億円 〃 30
3
億円 〃 40
3
億円超の金額 50
<
改正案>
1,000
万円以下の金額 10

3,000
万円 〃 15
5,000
万円以下の金額 20
1
億円 〃 30
2
億円 〃 40
3
億円 〃 45
6
億円 〃 50
6
億円超の金額 55
(注) 上記の改正は、平成27 年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。



3)未成年者控除及び障害者控除を次のとおり引き上げる。
① 未成年者控除
<現 行> 20 歳までの1年につき6万円
<改正案> 20 歳までの1年につき10 万円
② 障害者控除
<現 行> 85 歳までの1年につき6万円(特別障害者については12 万円)
<改正案>85 歳までの1年につき10 万円(特別障害者については20 万円)
(注)上記の改正は、平成27 年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。

4)相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造について、次の見直しを行う。
20 歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産に係る贈与税の税率構造
<現 行>
200
万円以下の金額 10
300
万円 〃 15
400
万円 〃 20
600
万円 〃 30
1,000
万円 〃 40
1,000
万円超の金額 50
<改正案>
200
万円以下の金額 10
400
万円 〃 15
600
万円 〃 20
1,000
万円 〃 30
1,500
万円 〃 40
3,000
万円 〃 45
4,500
万円 〃 50
4,500
万円超の金額 55
② 上記①以外の贈与財産に係る贈与税の税率構造
<現 行>
200
万円以下の金額 10
300
万円 〃 15
400
万円 〃 20
600
万円 〃 30
1,000
万円 〃 40
1,000
万円超の金額 50
<改正案>
200
万円以下の金額 10
300
万円 〃 15
400
万円 〃 20
600
万円 〃 30

1,000万円 〃 40
1,500
万円 〃 45
3,000
万円 〃 50
3,000
万円超の金額 55
(注)上記の改正は、平成27 11日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。

(5)小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを行う。
① 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を330 ㎡(現行 240 ㎡)までの部分に拡充する。
② 特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする。
なお、貸付事業用宅地等を選択する場合における適用対象面積の計算については、現行どおり、調整を行うこととする。
③ 一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものについて、被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分を特例の対象とする。
④ 老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用する。
イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
ロ 当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。
(注)上記①及び②の改正は平成27 年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用し、上記③及び④の改正は平成26 年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。


(6)相続時精算課税制度の適用要件について、次の見直しを行う。
① 受贈者の範囲に、20 歳以上である孫(現行推定相続人のみ)を追加する。
② 贈与者の年齢要件を60 歳以上(現行65 歳以上)に引き下げる。
(注)上記の改正は、平成27 年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。

2
事業承継税制

1)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、次の見直しを行う。
① 経営承継相続人等の要件のうち、非上場会社を経営していた被相続人の親族であることとする要件を撤廃する。
② 贈与税の納税猶予における贈与者の要件のうち、贈与時において認定会社の役員でないこととする要件について、贈与時において当該会社の代表権を有していないことに改める。
③ 役員である贈与者が、認定会社から給与の支給等を受けた場合であっても、贈与税の納税猶予の取消事由に該当しないこととする。
④ 納税猶予の取消事由に係る雇用確保要件について、経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)における常時使用従業員数の平均が、相続開始時又は贈与時における常時使用従業員数の80%を下回ることとなった場合に緩和する。
⑤ 民事再生計画の認可決定等があった場合には、その時点における株式等の価額に基づき納税猶予税額を再計算し、当該再計算後の納税猶予税額について、納税猶予を継続する特例を創設する。
⑥ 納税猶予税額の計算において、被相続人の債務及び葬式費用を相続税の課税価格から控除する場合には、非上場株式等以外の財産の価額から控除することとする。
⑦ 株券不発行会社について、一定の要件を満たす場合には、株券の発行をしなくても、相続税・贈与税の納税猶予の適用を認めることとする。
⑧ 相続税等の申告書、継続届出書等に係る添付書類のうち、一定のものについては、提出を要しないこととする。
⑨ 雇用確保要件が満たされないために経済産業大臣の認定が取り消された場合において、納税猶予税額を納付しなければならないときは、延納又は物納の適用を選択することができることとする。
⑩ 経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)の経過後に納税猶予税額の全部又は一部を納付する場合については、当該期間中の利子税を免除することとする。
(注)納税猶予税額の全部又は一部を納付する場合の利子税は、「延滞税等の見直し」により、納税猶予期間中の利子税の割合が年0.9%※(現行 年2.1%)に引き下がる。
※ 特例基準割合が2%の場合
⑪ 経済産業大臣による事前確認制度を廃止する。
⑫ 資産保有型会社・資産運用型会社に該当する認定会社等を通じて上場株式等(1銘柄につき、発行済株式等の総数等の100 分の3以上)を保有する場合には、納税猶予税額の計算上、当該上場株式等相当額を算入しない。
⑬ 適用対象となる資産保有型会社・資産運用型会社の要件について、次のとおり所要の見直しを行う。
イ 常時使用従業員数が5人以上であることとする要件は、経営承継相続人等と生計を一にする親族以外の従業員数で判定する。
ロ 商品の販売・貸付け等を行っていることとする要件について、経営承継相続人等の同族関係者等に対する貸付けを除外する。
⑭ 納税猶予の取消事由である「総収入金額が零となった場合」について、総収入金額の範囲から営業外収益及び特別利益を除外する。
⑮ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、所要の経過措置を講じた上、「1 相続税・贈与税の見直し」の施行の日(平成27 11日)以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。

2)その他の措置
① 本制度の活用を促進するため、より一層の普及及び啓発のための取組を行う。
② 相続財産に係る株式をその発行した非上場会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例の適用対象者の範囲に、相続税法等において相続又は遺贈により非上場株式を取得したものとみなされる個人を加える。(再掲)

(注)上記の改正は、「1 相続税・贈与税の見直し」の施行の日(平成2711日)以後に開始する相続又は遺贈により非上場株式を取得したものとみなされる個人について適用する。

3 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
1)概要
受贈者(30 歳未満の者に限る。)の教育資金に充てるためにその直系尊属が金銭等を拠出し、金融機関(信託会社(信託銀行を含む。)、銀行及び金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る。)をいう。)に信託等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者1人につき1,500 万円(学校等以外の者に支払われる金銭については、500 万円を限度とする。)までの金額に相当する部分の価額については、平成25 41日から平成27 12 31 日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さないこととする。
(注)教育資金とは、文部科学大臣が定める次の金銭をいう。
① 学校等に支払われる入学金その他の金銭
② 学校等以外の者に支払われる金銭のうち一定のもの

2)申告
受贈者は、本特例の適用を受けようとする旨等を記載した教育資金非課税申告書(仮称)を金融機関を経由し、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

3)払出しの確認等
受贈者は、払い出した金銭を教育資金の支払いに充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければならない。
金融機関は、提出された書類により払い出された金銭が教育資金に充当されたことを確認し、その確認した金額を記録するとともに、当該書類及び記録を受贈者が30 歳に達した日の翌年315 日後6年を経過する日まで保存しなければならない。

4)終了時
① 受贈者が30 歳に達した場合
イ 調書の提出
金融機関は、本特例の適用を受けて信託等がされた金銭等の合計金額(以下「非課税拠出額」という。)及び契約期間中に教育資金として払い出した金額(上記(3)により記録された金額とする。)の合計金額(学校等以外の者に支払われた金銭のうち500 万円を超える部分を除く。以下「教育資金支出額」という。)その他の事項を記載した調書を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
ロ 残額の扱い
非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額については、受贈者が30 歳に達した日に贈与があったものとして贈与税を課税する。

② 受贈者が死亡した場合
イ 調書の提出
金融機関は、受贈者の死亡を把握した場合には、その旨を記載した調書を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
ロ 残額の扱い
非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額については、贈与税を課さない。

5)その他所要の措置を講ずる。