皆さんは、実際の『株価算定書』をご覧になったことがありますか?
昨日書いた、オリンパスが減損処理を行ったアルティスという会社の『株価算定書』が、誰が外に出したのか分かりませんが、ネット上に出ていましたので、これについて簡単に書きたいと思います。
まず、算定しているのは、個人の会計事務所です。
どのような事務所かは存じあげないのですが、上場会社が数百億円で会社を買収する際に、監査法人系などの大手の算定機関ではなく、個人の会計事務所を算定期間として使っているのに、少し驚きました。
自分がもし頼まれたすると、かなり慎重になってしまうと思います。
算定方式は、『DCF法』一本を採用しています。
ただし、『DCF法』による算定上、『継続企業価値(いわゆるターミナル・バリュー)』の計算上、類似会社(1社)のEBITDA(減価償却費+支払利息控除前税引前利益)に対する『ターミナル・バリュー』の倍率を使用していますので、『類似会社比準法』も織り込まれていると言えます。
ここで、『ターミナル・バリュー』とは、『DCF法』で事業価値を算定する場合において、事業計画の最終予測年度以降のフリーキャッシュフローの現在価値のことです。
『インカム・アプローチ』である『DCF法』の算定に、『マーケット・アプローチ』である『類似会社比準法』を織り込む考えもあるのでしょうが、個人的には違和感を覚えます。
それならば、『DCF法』の『ターミナル・バリュー』を『永久成長法』で算出し、それとは別に『類似会社比準法』を算出すればいいのではないかと。
一般的に、会社が提出した事業計画に基づいて『DCF法』による算定を行います。
しかしながら、今回のケースだと、事業計画における税引前利益は以下のようになっています。
2008年 ▲5百万円
2009年 1,481百万円
2010年 2,561百万円
2011年 5,180百万円
2012年 7,006百万円
『DCF法』などの細かな算定方法については、来週以降書きたいと思います。
一般的に、いわゆる『ディスクレーマー条項』として、これらの事業計画について検討はしない旨を入れますが、上場会社による買収で、金額的にも安くはない今回のような場合、個人的にはこの数値を用いることは躊躇してしまう気がします。
皆さんは、どう感じられましたか?