ファイナルアンサー?
さて少し前にプロスペックスから新作が発売されたのは、時計好きの間では有名な話です。いわゆるファーストダイバー現代解釈版のリニューアルという位置付けのSBDC10Xシリーズです。
肌感ではかなり人気を博していると感じますし、私自身今回のはすごく良いと思っています。
SNSではすでに結構な数の購入報告を目にしており、皆さん幸せそうです。
これが国産ダイバーズのファイナルアンサーとなるのか見てみましょう。
SBDC 105 / SEIKO PROSPEX
Ref:SBDC105 / SPB147
ケース径:40.5mmケース厚:13.2mm
重量:111g
ケース素材:ステンレス・スティール
風防:サファイア・クリスタル
裏蓋:ステンレス・スティール
ベルト素材:シリコン
バックル:ピンバックル
防水性:200m潜水用防水
価格:110,000円(税抜)
バリエーションが複数展開されている中で私が一番気になったのはこの茶 x 金の組み合わせが渋いSBDC105です。
上の写真は公式HPから引用していますが、相変わらずその魅力を3割程度しか伝えていません。
実物は、綺麗なブラウンのサンレイ文字盤にゴールドの針とインデックスが配され、その上にはアイボリーの夜光がたっぷり乗っており、ヴィンテージ感あふれる外見です。
ベゼルのインデックスもゴールド系の配色で統一感があり、色使いに関しては一番お洒落だと思います。
ファンにはお馴染みの62MASファーストダイバーにインスパイアされた新生SBDC10Xシリーズは先代のSBDC05X系に比べてよりオリジナルに忠実です。
何よりの改良点はサイズの見直しでしょう。
42.6mm → 40.5mmへの変更は英断以外の何物でもありません。厚さも13.8mm → 13.2mmへとスリム化しており、装着感は格段に向上しています。
意匠もよりファーストダイバーに近付いており、針やインデックスの形状もオリジナルに忠実です。
外装とデザイン関しては格段の向上を果たしていると評価します。本当に格好良くなりました。
ケースに関しては造形は良いですがサテン仕上げが甘く、映り込みがある点は惜しいです。ここは価格なりというところでしょうか。
しかしエッジの角を落としてそこだけポリッシュしている所なんかは良いですね。
あとはベゼルがフラットでやや幅広な点は、オリジナルと比べるとやや異なりますが、それとてこの時計単体を見れば気になるものではありません。
またこのセイコー独自のソフトな質感のシリコンベルトが良いんです。埃がつきやすいという声もありますが、SBDC105に付いてくるものに関しては細かい凹凸があるので、それ程でもないんじゃないかと思っています。
型番:Cal 6R35
ベース:Cal 6R15
巻上方式:自動巻
直径:27.4mm (ベースキャリバー)
厚さ:5.20mm (ベースキャリバー)
振動:21,600vph
石数:24石
機能:センター3針デイト
精度:日差 -15/+25秒
PR:70時間
搭載するのはセイコーの新世代型キャリバー6R35です。プロスペックスでも多くのモデルで採用されていますが、どうやらセイコーの販売マニュアルには高精度・ロングパワーリザーブを謳うように書いてあるようです(推測)。
店員さんは異口同音にこれをアピールしますが、ETAのC07系など見て見ぬ振りという事でしょうか。
あっちは同価格帯にCOSC認定(日差 -4/+6秒)、80時間PR、さらにはシリコン製ヘアスプリング&フリースプラング・テンプとか有りますけどね。
まあスウォッチがチートだという事で彼らを除けば、この価格でこのスペックのムーブメントは確かにそうあるものではありません。
一方で当然のように審美性は皆無ですが、ダイバーズモデルは全てソリッドバックなのでそこは気になりませんね。
否定的に聞こえたかもしれませんが、機械もちゃんとアップデートされているという点はもちろん評価ポイントです。
<左SBDC103 / SPB145、右SBDC101 / SPB143>
新作はバリエーションも豊富でかなり悩ましいです。オーソドックスなグレー文字盤に使いやすいブレスレットを合わせたSBDC101、そこから少し文字盤を茶系にアレンジしたSBDC103。
この二つなんてかなり微妙な差しかないのですが、103はブティック限定のモデルです。価格はどちらも税抜13万円。ブレス代2万円と考えれば105との差額は妥当でしょう。
しかしブレスモデルは180gとかなりのヘビー級です。私には手持ちのケープランド(150g)でさえ重くて仕方がないので180gの腕時計となるとかなりの修行になりそうです。。
そもそもダイバーズ顔な時点で私の中ではカジュアル専用なのでブレスレットである必要性はありません。なので軽いシリコンストラップの105で良いですし、文字盤もこっちが好みです。
<SBDC107 / SPB149>
最後のバリエーションがブルーグレー文字盤を持つSBDC107です。こちらは5,500本限定のモデルで、ブレスレットの他にブルーグレーのシリコンストラップが付属してきて税抜14万円です。
5,500本ってかなり多いですね笑
当面なくなる心配はしなくて良さそうです。
しかしこの色は他にない独特の色味で良いですね。更にブレスとシリコンストラップが両方ついてくるというのが非常に嬉しいので、この107もかなり有力な候補です。
今作はコレクション全体を通して落ち着いたトーンで纏められており、デザインディレクター(そんな役職あるのか知らんけど)が変わったのかな?というくらいセンスが良くなっています。
ちょっとした差なんですが、それでここまで好事家の評価が高まるというのは面白いですね。
私にとってはセイコーダイバーの最大の欠点は大きすぎるサイズであったのですが、今回はそれを改善してきている点が大変魅力的です。
デザインもよりクラシックになりましたし、サイズも適切となれば、価格は多少高くても良いです。給付金もあるし。
本来なら外人にも大ヒットしたであろうこのモデルですが、インバウンド需要がなくなったのはセイコーとしては辛いでしょうね。
ともかく、私がセイコーをこんなに褒めるのは珍しいと自分でも思うのですが、今回のSBDC10X系はかなりお勧めです。
2020年の夏はこれでファイナルアンサーかな?