定期的に来るやつ

健全な時計ヲタを定期的に襲うのが、クレドール欲しい病です。私の場合、数ヶ月に一度の頻度で訪れますので、その時にお金を持っていると終わりです。

クレドールは一言でいえばセイコーグループの綺麗どころ担当であり、グランドセイコー(GS)と並ぶ二大巨頭の一角であります(ガランテとかいうヤツは知りません)。

そして私の中ではクレドール >>>>> GSなんですが、まあそれは単に好みの問題で、薄く軽く美しい時計を愛でるMinority’s Choice にとっては至極当たり前の選好なのです。

ブランドとしては1974年誕生なので、歴史は浅いですが、専用の極薄キャリバーを持っていたりして、国産ドレスウォッチとしては孤高の存在かと思います。


GCBE997 / CREDOR 

Ref:GCBE997
ケース径:37.0mm
ケース厚:6.50mm
重量:90.0g
ケース素材:ステンレス・スティール
風防:サファイア・クリスタル
裏蓋:サファイア・クリスタル
ベルト素材:ステンレス・スティール
バックル:三つ折式Dバックル
防水性:3気圧(30m)
価格:740,000円(税抜)

今、Minority’s Choice が気になっているのはこのGCBE997です。

デザインは超シンプルなスモセコ3針。スモセコダイアルの位置バランスが良く、他にはバー・インデックスとミニッツマーカーというミニマムな構成です。

シルバーサンレイ仕上げの文字盤に、少し仕上げの違うスモセコダイアルの組み合わせでコントラストがついた文字盤は、凛とした美しさを湛えています。

青焼の時分針が挿し色になっており、クールな印象ですね。

出典:Instagram @ck.watt

ベゼルやラグのポリッシュ面は平滑で艶やかであり質はそこそこ高いと思います。ケース全体としても奇をてらった所などまるでないシンプルそのものと言えるシルエットになっています。

ブレスレットは2連リンク風の4連リンクで、ここにもポリッシュされたコマが用意されており、ドレッシーな雰囲気を演出しています。

このモデルは37 x 6.5mmというサイズが素晴らしいです。これ(特に薄さ)がGSとの決定的な違いであって、私がクレドールを推す大きな理由のひとつです。

シンプル過ぎて素っ気ないという声もあるかと思いますし、私もその意見も最もだと思います。微かな色気さえないですもんね。

でも何というか、禅の心的な、そんな静謐(せいひつ)な感じがとても良いと思うのです。


出典:Instagram @ck.watt

型番:Cal 6898
ベース:-
巻上方式:手巻き
直径:24.0mm
厚さ:1.98mm
振動:21,600vph
石数:26石
機能:スモセコ3針
精度:日差 -15/+25秒
PR:37時間

機械式クレドールの魅力は専用ムーブメントの存在です。GCBE997では極薄のスモセコ3針ムーブメントであるCal 6898を搭載しています。

厚さ僅かに1.98mmという手巻きムーブメントはブリッジのパーティングも曲線を使った美しいもので、仕上げもクレドールらしい審美性を備えています。

組み立ては熟練時計師が一人で担当するため、量産に向かない事から玉数が少なく、現行モデルながら現物を見る機会が中々ありません。

なにせセイコー小売の総本山である銀座和光にも置いてなくて、見たいといったら一週間くらいして出てきたのが不動サンプルでした。

Cal 6898は複数モデルに搭載されていますから、自分が欲しいモデルをピンポイントでとなると、現物に出会うのは至難の技のようです。

出典:Instagram @ck.watt

日常生活防水止まりの防水性は高くありませんが、SSケース/ブレスレットなので、夏場でも使えるというのが、個人的には大きなポイントです。

なにせ夏場に仕事で使えそうなブレスレットモデルを、悪名高きフランクミュラー(ブレスが汗などに弱いと言われる旧式タイプ)しか持っていないので、もう一つくらい欲しいのです。

実用面でもう一つ気になるのが異様に小さいリューズです。手巻きムーブメントでこの小さなリューズはきっとめちゃくちゃ面倒でしょう

小さいリューズはティファニーで経験済みですが、本当に大変です。手動のリューズワインダーを買わないとダメでしょうね。

文字盤デザインに関して心残りを言えば、クレストマーク(山の漢字を象ったブランドロゴ)が欲しかったです。あれ凄く格好良いんですよ、私の中では。


とにかくシンプルな美を追求した時計で、そのコンセプト含めて非常に好感なのですが、敢えて文句を言います。

それはブレスレットです。

クレドールに限らず、セイコーの時計はブレスレットに大いなる改善の余地を残しており、ハイブランドに届かない部分としてしばしば取り上げられます。

GCBE997について言えば、2連リンク風の見た目が物足りません。クレドールのような美しさを求めるブランドならば、ブレスレット単体でアクセサリーとして成立するような洗練されたルックスが必要です。

このブレスレットはその他のセイコー製実用時計よりは、ポリッシュリンクを挟むといった工夫も見られますが、もっと根本的なリデザインが欲しいです。




さらに悪いのがクラスプです。大きなクラスプ(上画像の丸囲み)を持つプッシュボタン式三つ折式Dバックルをクレドールに使うなんて正気でしょうか?

ハイブランドのドレスライクな時計において、ブレスレットは連結部分が目立たない様になっているバタフライ式Dバックルが主流です。

大きなクラスプが付いていると如何にも実用時計的な雰囲気がして、クレドールの雰囲気には全然似合いません。

エレガントなブレスレットモデルを欲する私としては、ブレスレットのデザインと質感の物足りなさがどうしても気になります。

やはり多連リンクでしっとりと腕に馴染むような質感で、かつ美しいポリッシュ仕上げのブレスレットが個人的には好みです。

具体的には(手前味噌ですが)、フランクミュラーのブレスレットは、耐久性はともかく見た目は抜群に美しいですし、肌馴染みも良いです。

出典:Instagram @ck.watt

小言を書きましたが、それだけクレドールには期待しているのです。

税抜74万円という価格は決して安くはありませんが、仕上げや極薄マニファクチュール・ムーブメントという事を考えれば、法外とは思いません。

ドレス系で実用性も高いブレスレット時計が欲しければ、デイトジャスト36のジュビリーブレスを買えば即解決なのは承知しているのですが、私はやっぱり重度の人と被りたくない病なのです。

更に言えば、無限にお金があるわけではないので、やっぱりどうしても薄く軽く美しい時計を優先したい。

そうなるとクレドールはかなり良い線いってるんですよね。というか今お金あったらGCBE997買ってるでしょうしね笑

という事で、また数ヶ月後クレドールネタが来ると思います。

では皆さん良い一日を。