東ティモールでは住居を探すのに自分で探して、自分で契約を結ぶ事になっているようだ。日本で住居を探そうと思ったら、不動産仲介業者を訪ね、住所がどのあたりで、家賃がいくらか、間取りはどうか・・・といった具合に机上である程度話しが進んだ上で実際に物件を見て決めるという展開である。しかし、ここは東ティモール。何もかもが全く違って面白い。何が違うか。まず、この国には住所というものがない。その為、各家への郵便や配達もない。物の受け渡しは基本的に手渡しをするか、信頼できる共通の知り合いに託すか、後は私書箱というものがあるので、それを所有すれば一応、郵便物は私書箱宛てに届くことになっている。(届くかどうかは日頃の行い次第・・・。)話は戻って住居探しである。日本であればあるだろう不動産仲介業者というのもないので、まずは大家さんを探す所から始まる。どうやって探すか。このあたりに住みたいなぁと思った所を詮索し、ここ良さそう!と思った所を見つけて、そのあたりにいる人を捕まえて、ここはアパートかどうか、貸出しているか、オーナーは誰かを聞くのである。昨日は午後からずっとその作業をしていて、2件の仲介業者らしき人と会う事が出来た。しかしながら値段が高すぎたり、いきなり過ぎてオーナーに会えなかったりと、まだ候補になりそうな物件は見つかっていない。そして、契約の話だが東ティモールの人は算数に弱い。不動産賃貸契約というと、どのくらいの期間の契約か、家賃の中にどんなサービスが含まれるか、日割りで計算するといくらかといったやり取りが出てくるのだが、その概念への蓄積が少ない為にこちらの伝えたいことが伝わらず、なかなか一筋縄ではいかないようである。ただし、救いなのは基本的に親切な人が多く、親身になって現地の人が協力してくれるスタンスであるのはありがたい。週末にかけて先輩隊員が住んでいらっしゃる所で空きがある場所を見せて頂く予定である。日頃から、お金を払ってサービスを受けるのは世界どこでも、言語が違っても身振り手振りで何とでもなると考えていて、実際そういう場面が多いが、賃貸契約等々の細かなものについては、少し難易度が高いのかなと感じている今日この頃。慣習の違いや考え方の違いについて、そこに至る理由への疑問を持って引き続き生活していきたい。
東ティモールの現状について様々な人から話を聞かせてもらった印象をまとめておきたい。この国は今、石油に依存している。オーストラリアが採掘する石油のロイヤリティで収入がある。物価は高いが国や諸外国からの支援があり、生活水準は低いものの国民は生活をしていく事は出来ている様子で飢餓もなく、浮浪者などはみかけない。石油による収入は基金を設立して貯めておくことや将来収益を生む事業に先行投資することで、石油が枯渇した後にも国力が急激に落ちないように工夫をしているそうだ。現状の課題として、医療サービスが不十分であるということ。外貨獲得手段がないということ。インフラ整備が不十分であること、人的資源の蓄積が未熟であることが課題として挙げられる。医療サービスについてはサービスを提供するお金と仕組みはあるものの、運用が上手くいっていない様子で、地域住民へのシステムの浸透やシステムの綻びの修繕が求められているようだ。産業でいくと現状コーヒーが唯一の産業であるが、品質は未だに低く競争力は弱い。また、バナナやココナッツは生産量が多いため、今後の換金作物になり得るかも知れない。品質を高めると同時に販路を探し、諸外国へ輸出していく必要があろう。東ティモールは生活に係る食料や日用品等のほぼ全てを輸入に頼っている。そして難しいのは国内製品よりも海外製品の方が安くて高品質であるという点だ。海外製品ばかりが消費される状況では自国の生産物や産業が育たない。かといって関税をかけて自国の製品に値段を合わせると、貧困層の人達が食べていけないというジレンマが起こる。インフレ政策とセーフティーネット整備を同時に行うことが必要であると思われるが、各省庁横断の政策や複数の事を同時に進めていく事を困難とするこの国において、制度だけ導入しても、運用がうまくいかず、混乱した末に内乱が勃発するという事にもなりかねない。やはり、草の根レベルで繰り返し、繰り返し産業や仕事の為の基礎教育を行うことが近道であるらしい。自身の印象として、東ティモールの人は子供の様な健気さを持っており、人としての魅力度は非常に高い。一方で教養のレベルが低い点や知識として知っていても、行動に結びつかない、あるいは複数の事を同時並行で行う場合に忘れてしまう等々、仕事の基礎となる部分が苦手である為に同じ働きかけを行ったとしても日本で活動するようには上手くいかないと感じた。日本にはこれまでの長い歴史の中で培われた教育があり、いわゆる日本人らしさといわれる「先回りして相手の要望に応えようとするホスピタリティ」が染みついている。また、日本人は人の役に立つ事で自分の価値認められるといった承認欲求が強いが故に自助努力を行うという特徴がある。だからこそ、一を聞いて十を学ぶといった事が可能になるのだろう。そういった違いを踏まえながら、良い部分の日本式を浸透させて行けたら良い。まずは所属先がどういう状態を望んでいるのかを把握し、それが分かったら、何を改善すべきかを考える。それを提案し納得が得られたら、全体としての活動が円滑に回っていくようにマニュアルを作成する。それを元に、やってみせ・・・のサイクルで目指すべき姿に近づいていくという状態まで持っていきたい。何を変えるのか。何をするのか。何のためにするのか。どう良くなるのか。それらを何度でも繰り返し伝え続けたい。

研修を終えて、実家に帰省している。出国までの期間は自宅待機だ。

出国までに地元広島県と広島市への表敬訪問を行い、親しい友人や家族にしばらくの別れを告げる。節目というのは普段目に見えにくいものを表面化させる。これまでずっと一緒に過ごしてきた友人や家族との時間が貴重に感じられるのも、節目あってこそのものだろう。


今日は研修の振り返りについて書いておきたい。

NTCでの生活は本当に充実したもので、出来ることならあのまま、あの場に留まっていたいとすら思うほどの環境だった。衣食住の心配をすることなく、日々派遣の為の語学や知識を学ぶ。そのなかで自身が考える事を人に伝え、考えを聞き、さらに考えを深めていく。これ程にお互いが何をどう感じ、どう考えているかを素直に意見交換できる機会は大人になってからは珍しく、刺激的だった。日々の生活には正直余裕がなかったが、自分自身の感情に素直であれたように思う。本気で話し合える事に喜びを感じ、思い通りにならない語学に凹み、思いがけない別れや不甲斐ない自分に涙し、でも声高らかに歌って楽しむ。そんなことを繰り返しながら少しずつ成長し、任国に近づいていく日々は希望そのものだった。もしかしたら、あそこで感じたような心の動きや体験を世界中の人に感じて欲しくて私達は海外へ行くのかもしれない。


ただ少し視点を変えてみてみると、研修はあくまでプログラムだ。自分が感じた心の動きも、起こした行動もJICAからの誘導であって受け身に過ぎないのかも知れない。任地では自分でプログラムを描き、さらに「お金」を稼ぎながら上記のような幸せを追及して行かなければならない。

それは考えるだけで難しいが、とても面白く遣り甲斐がありそうだ。

場所は違えど意見交換できる仲間もいる。このワクワクした気持ちを楽しみつつ、まずは計画と目標設定から始めたい。

NTCに入所して約一か月になる。規則正しい生活に語学の勉強。所外授業や週末の飲み会。入所時の新鮮さや緊張感と入れ替わりに、心地よい時間も増えてきた今日この頃。寝る前に談話室で班の仲間とごろごろしてみたり、ご飯の時にこれまで話したことない人の隣に座って友達になったり、習ったばかりの拙いインドネシア語で会話を試みたり。良い循環の中で健やかに過ごしている。ここでの生活には希望がある。この研修を経て任地で活動する訳だが、ここでの生活は語学やルール、習慣を含め任地で役に立ちそうな事ばかりなのだ。だからこそ何かに躓いても、何の為にやっているかを思い直すことで、前向きに頑張っていくことが出来る。様々な年代や職種、個性に溢れたこの集団のなかで少しでも多くを学び、自らも発信することで全体へプラスの影響を与えられる存在でありたい。自身のミッションはコミュニティ開発。コミュニティに所属する人が健やかに生きがいを持って生活する仕組み作りを考えていく仕事だ。残りの期間は周りに対して何が出来るか考え、行動で示していく。

いよいよ、二本松にて約70日間にわたる派遣前訓練が始まった。

ここでは主に語学(インドネシア語)と派遣先での行動計画の立て方や在外での生活の為の講義を受ける。ここでの生活はすべてが在外での行動基準が求められる。IDカードの携行から防犯意識に至るまで、ルールが細かく定められており、それを習慣化することが自身の身を守ることになるとのこと。政府系の独法ということもあり、形式的なことも多々あるが、税金を使いながらなのでそれも必要なのだろう。


研修所での生活が始まり5日が過ぎたが、とても快適に過ごしている。朝は体操・ランニングに始まり、規則正しい3食の栄養バランスが整った食事、ネイティブの先生による少人数制の語学の授業、wifi環境、新聞もある。体育館、ジム、音楽室、図書館、自習室も完備で日常生活が快適なのはもちろん、レクリエーションにも困らない。それに加えて研修生は多種多様な職種がおり、それぞれに特技を持っていて、それを全体に役立てようと考える人が多い。話を聞けば分かりやすく教えてくれるし、こちらから話すことにも興味を持ってくれる。利害関係や競争も無いので人間関係は良好だし、話したことがない人も仲間という認識で会話ができる。ただし、どこでもそうだが、我が道を行く変わりものも多く、意見対立するとヒートアップすることもあるそう。気を付けたい。

まだ始まったばかりで何が分からないかわからない状況ではあるものの、語学には苦手意識もあるので、まめに取り組み、うまくセルフマネジメントして習得を目指したい。ただし、それだけにならないように、自身の要請に対して何ができるのか、そういった本来の目的についての情報収集も疎かにならないように気を付けたい。


会社生活では自分の時間が土日しかなかった。ここではすべてが自分の為の時間だ。

有意義な時間を過ごしたい。