9月20日(金)、国立特別支援教育総合研究所主催の特別支援教育推進セミナーに参加しました。コロナ禍以降、オンラインでの視聴も広がり、専門分野の研究大会なども参加しやすくなりました。ありがたいことです😊


今回のテーマは、「インクルーシブ教育システムの構築とICT」。近畿ブロックの実践発表でした。通常学級に在籍している読み書き困難なお子さんの事例が取り上げられ、取り組みについて詳しく紹介されました。


ICTを使った個別最適化された学習に取り組むときは、『試行錯誤することも含めて支援していく必要がある』ということがいわれていました。どのように学習を進めていくかについて決めていくときも、お子さんと対話を通して合意していく、いわばコーチングのようなかかわりも大切とのことでした。本当にその通りだなと感じました。


いくらタブレットを取り入れた学習が便利でも、学校で、クラスのみんながいる教室で、自分だけが使えるか? 悪目立ちしてしまうのでは...と、抵抗感をもつお子さんは多く、「便利でも使えない...」という声はよく聞かれます。


例えば、板書をタブレットで撮影する、ノートを音声入力でとるなどは、読み書き検査を受けた専門の医療機関からよく提案を受けます。しかしながら、発達特性のあるお子さんは繊細な子も多く、なかなかその提案を実行できないのです。とても難しい問題です。多様性を認め合えるクラスの雰囲気なども影響があるのだと思います。


実践発表のなかでは、当該クラスの担任の先生だけが個別に取り組むのではなく、学年全体、そしてだんだんと学校全体の課題として取り組む様子が紹介されました。支援を、「点」ではなく「面」で支える構造にすることがインクルーシブ教育につながると言われていました。学校全体で取り組む課題としての合理的配慮は、小学校から中学校、中学校から高校や大学へといった移行段階においても、切れ目なく支援を繋げていくことができる、というお話を聞き、こんな学校が本当にあるんだ〜と感銘を受けました。


支援を受けたお子さんたちも、自己権利擁護(セルフアドボカシー)がだんだんできるように変わっていき、「こんな支援がほしい」、「この支援は今はなくても大丈夫」など、自分から発信できるようになったとのことです。周りの大人から十分な支援を受け、自分なりの学習方法で力をつけていくと、自尊感情も育っていくのだと感じました。


それから、今回よく聞かれたワードが「アセスメント」でした。子どもの見取りはとても大事です。検査だけに頼るのではなく、学習の様子や普段の生活場面でも、子どもの様子を注意深く見て、何に困っているか、どのように支援すればその子は学習にアクセスできるのか...といったことを、よく観察しなければ、よりよい支援は提供できないと、改めて認識しました。私の感触だと、不登校の陰に書字困難や読字困難、計算困難、いわゆるLDが隠れていることが一定数ある気がしています。早く気づいてあげたいですね。


また、パターナリズム的な考えで、よかれと思って苦手な読み書きを克服させようとする教師もいるようで、現場の先生方がそのような誤った考え方に陥らないように、LDについて知っていただきたいと思いました。


総括をされた東京先端科学技術研究センターの近藤武夫先生のお話も、とても参考になりました。あとでしっかり資料を読み返して復習したいと思います😊






この特別支援教育推進セミナーは11月にも開催されるので、また別の事例などで実践方法のヒントなどいただきたいと思います。