ダンナのFAX&メール攻撃は続いていたが、

私は私の生活を考えなければならなかった。


 少しの家出のつもりだったので実家に帰ったが、

やはり母と暮らすのは窮屈だった。

自立をするなら、まず職を探し家を探さなければならない。


 長い間専業主婦だった私にすぐ仕事が見つかる訳もない。

とりあえずパートを探した。

だが家を借りるのは難しい。収入がないのだ。

母には内緒だったが、瞬の名義で借りてもらった。


 新しい家の引越は全て瞬がやってくれた。

家出した私に荷物はほとんどなかった。

布団やカーテン、冷蔵庫だけは買った。


私は新しい家に移るのに全く喜びはなかった。

全く何もやる気が起きなかった。

家の掃除も全て瞬がやってくれた。

生活雑貨も揃えてくれた。

瞬がいなかったら生活ができなかっただろう。


 そんな失意の中で新生活が始まった。