家を出て一番驚いたのは瞬だろう。

彼の計画としては、自分が先に離婚して私を迎えに来るつもりだったのだ。


 メールで「家を出たよ」と言った時、ただ「家から出たから電話できるよ」

くらいの軽さだと思っていたらしい。

その後のやり取りで、大変な事だとわかり、翌日会う事になった。


 その日から、私たちの関係は全く違う物になった。

瞬はずっと真剣に考えてくれていたが、私はそうではなかった。

瞬もその事はわかっていて、今後の関係を探っていたところがあった。


 私が家を出た事で(決して瞬の為ではなかったが)

瞬は瞬なりに覚悟が決まって行った。

彼の気持ちを抑える物がなくなってしまったのだ。


 携帯を見られる前には週1~2位のペースだったのに、

週に4~5日会う様になっていた。

そんな時に私が家を出て、5月の連休。

家庭がある人は会わないのが普通だろう。

毎日毎日会ってこれからの事を相談した。


 その時はまだ一緒になろうとかそんな話ではなかった。

私の生活を安定させるにはどうするか、そんな話だった。

彼は一生懸命考えてくれた。

ある日メールをくれた。瞬の愛情を感じた。


 「君は子供達と一緒に暮らすことが最善ではないかな。

もちろん僕等が会える時間は減ってしまうけど。

僕は待てるし、我慢も出きる。

僕が愛した、そして愛している女性は母親なのだから、

僕のことは気にすることはないよ。

それに僕にとってのんのを愛することは、同時に子供達を愛することだし、

のんのの幸せが僕の望みなのだから。」