初めての妊娠は不安だらけだった。

つわりがひどく、体調も優れなかったが急に仕事も辞められなかったので

出産ギリギリまで働いていた。


 職場にいる時はレモン味の飴やガムを噛んで何とか凌いでいたが、

家に帰ると玄関で倒れ込む程だった。


 そんなひどい状態だったが、ダンナは優しい言葉一つかけてはくれなかった。

食事が作ってないとわかると、自分だけ外食したり買いに行って勝手に食べていた。

気持ち悪いので何も食べられないが、一言位聞いてくれればと思う余裕もなかった。


 掃除もできないので、家の中は荒れて行くと、

「何もできないなら仕事辞めれば?」と言った。


 ある週末、いつもの様に実家に行く予定だった。

つわりがひどくて起き上がれないので、今日は無理だと伝えた。

するとダンナは、私の枕元で、自分がどんなに麻雀をやりたいか、

楽しみにしていたか、もし行かれないなら他の予定を入れれば良かった、

と1日中怒っていた。

 反論する元気もなかったが、決して忘れることのない出来事だった。


 奥さんが妊娠中のダンナさんがこれを読んでいるとは思えないが、

男性は妊娠中、出産後は必要以上に優しくすべきである。

でなければ一生恨まれる事を覚悟した方がいい。


 妊娠中に優しさの欠片も感じなかったダンナだが

出産後も全く優しくなかった。


 出産の時、何故か3日間有給休暇を取った。

私の為にと嬉しく思ったが、ただ自分がゆっくりしたかったらしく、

毎日来ては病室のソファーで寝ていた。


 「ミネラルウォーターを買ってきて欲しい」と頼んだら

「重いから嫌」と断られた。

 「ティッシュを買ってきて」と言ったら

「どこに売ってるからわからない」と言われた。


 病院から家まで徒歩5分。

間に薬局もスーパーもコンビにも何でもある。

私はダンナに頼む事は諦め、母にお願いすることにした。