ダンナの職場の近くに住む事になったので、

結婚をきっかけにそれまで勤めていた会社を辞めた。


 最初は専業主婦もいいかなと思ったが、

ダンナを待つだけの生活も、帰ってきてからも自室に籠もってしまい

ほとんど会話のない生活にすぐに耐えられなくなって勤める事にした。


 家事を疎かにしない様に(その時は新婚だからそんな気持ちもあった)

家から徒歩で行かれ、残業のない会社を選んだ。

従業員10名位の小さな会社の事務だった。


 家でほとんど会話のない私にとって職場はとても楽しく、

すぐにみんなと仲良くなって行った。


 最初の頃は夕飯を作る為に定時で上がっていた私だったが、

ある日を境に、みんなに付き合って飲む事が増えて行った。


 それは、夜用事があった日だった。

私は仕事を定時で上がり、急いで食事の支度をして家を出た。

何品か用意して、痛みやすい物を冷蔵庫に入れておいた。

テーブルに置き書きをした。


 帰ってくると、冷蔵庫の中の物がそのまま残っていた。

「忘れちゃったの?」と聞くと「出すのが面倒だった」と答えた。

冷蔵庫から出すのが面倒?言い様のない怒りと諦めが湧き出した。

食事を作る事に感謝されないのだと思った。

それならもう用事がある時は作るのを止めようと決心した。