元ダンナはとにかく普通の真面目な人間だった。
友達付き合いが長く、その延長で結婚をした。
友達のまま結婚生活を送れるのだと信じていた。
しかし、結婚するとダンナの態度が変わった。
傍から見ると、とても優しい穏やかな人だった。
付き合っている時は私もそう思っていた。
結婚してみて、初めて短気で怒りっぽい人だと知った。
気に入らない事があるとすぐに怒鳴るのだ。
私は母にずいぶん厳しく育てられた。
怒られる事もたくさんあった。
しかし私が悪くないのに怒鳴られる事などなく、
怒鳴り声に慣れていない私はそれだけで恐怖を感じたものだった。
結婚するまで実家にいたので、私が帰ると家には誰かがいた。
その日あった出来事を家族で話すと言うのが日課だった。
ダンナは一人でやる趣味がとても多かった。
ギターを弾いたり、バイクに乗ったり。
結婚した途端、私と一緒に何かをするより自分の趣味に走る様になった。
遊びに行こうとか何かをしようとか言うと、
「結婚したのにどうして行かなくちゃいけないの?
毎日一緒にいるんだからそれでいいだろう。」と言った。
毎日本当に寂しくて、どうしようもなかった。
幸せにやっていると信じてる母を思うと実家にも帰りにくかった。
結婚から2ヶ月経って、初めて家に帰った。
最初は明るく話していたが、段々涙が出て大泣きしてしまった。
母は驚いていた。それはそうだろう。
幸せな新婚生活を送っていると思っていた娘が泣いているのだから。
夫婦で何かできる事を考えようと言って、麻雀を提案してきた。
ダンナが麻雀が好きなので、それを夫婦ですれば共通の話題も増えるだろうと思ったのだ。