小学校高学年の頃、『教室にお菓子なんか持って来たら、あかんのに…。』と思ったけど、クラスの女子がチョコレートを持って来ているのを見た。

一人だけでなく何名かの女の子が持って来て、見せ合っている。綺麗に包装され、リボンが付いてあるものもあった。きっと親に買ってもらったのだろうか。

給食後、教室の片隅で何名かの男子がチョコを受け取っていた。中には複数の男子に渡している子もいた。

僕より≪番付≫が下の良宏君に幾つかのチョコが集まっていた。彼は男の僕から見ても、しゅっとした男前で勉強も出来たが、相撲は僕の方が強く、番付は、僕がずっと上だった。

『えっ?なぜ僕には、くれへんの?』と子供心にひがんだ。だって、わざわざ学校にお菓子を持って来たなら、普通は、みんなで分けて食べるだろうと思ったから。

今から思えば小学生の女子は男子より、ずっとませていた。ひょっとしたらチョコも手作りだったのかも知れない。

私は、小学生の頃は勿論、中学まで≪バレンタインデー≫の存在さえ知らなった。そして初めてチョコを貰ったのは高校に入ってからだった。

高校生ともなると半ば大人。突然、女の子に呼ばれ、ついて行くと、思ってもみなかった女子が待っていて、少し涙ながらにチョコを手渡され、とても重く感じた。

高校時代は、クラブ活動に明け暮れ、異性と付き合う余裕は無かった。いや、正直なところ、女性との付き合い方が分らなかったせいもあるが、あまり前向きになれなかった。

ホワイトデーのお返しに当時、愛用していたペンタックスで接写した額入りの魚の写真をあげた。

何度か二人で話す機会はあっても、それ以上進展することは無く、2年にクラスも変わり、自然に話もしなくなった。

2年の時にも別の人からチョコを貰った。クラブ活動が終わるまで体育館の前で待っていられるのもプレッシャーで先輩や後輩に恥ずかしかった。何度か一緒に映画や食事に行ったが結局、以前と同じ様に恋人関係にまで発展すること無く、高校3年間が終わった。

あとにも先にも本命チョコを貰ったのは、この2回きりだった。貰えただけ、ましだ。

勿論、妻から貰ったことはあるが、それは結婚してから。独身の頃は、バレンタインデーと言えば、むしろ私の方が後に妻となる人にせっせとプレゼントした。

去年のバレンタインデーは、久々に平日。それまでの3年間はずっと週末にかかり、チョコレート会社は義理チョコの売り上げが伸びなかった様だ。私も義理チョコの恩恵を受けなかった。

女性にとっては職場やサークルで義理チョコを配らなくても済むので、バレンタインデーが休日であることは嬉しい筈だ。

GODIVAは「義理チョコをやめよう。」と言う新聞広告を大々的に掲載した。その高級チョコレート会社にしてみれば、義理チョコにかけるお金を高価な我社の本命チョコに…と言う狙いなのかも知れない。

信じられないが、恋愛を面倒に感じる若者が増えているのでチョコの売り上げも減っているし、プレゼントはチョコ以外と言うのも一般的になっている。

義理チョコの習慣は少なくなっても男は、幾つになっても貰えれば嬉しいもの。

今年のバレンタインデーも幸いにも平日。私も何人かの女性からお菓子を貰った!!…と言っても釣りの釣果を差し上げている人たちからのお返し。その内の1人は、私の為に魚型のクッキーを作って来てくれた。

一番喜んだのは妻。会社で嫌われていない様なので安心しただって(笑)。トホホ。

2018.02.14