ふんわりふわふわ雲のように -2ページ目
自動車、カーレースみたい。
猛スピードで走っている、楕円形のコースのカーブでは、追い抜き合戦。
インコースに入るとタイヤから火花が散る。
上から見下ろしている。
あれ、反時計回りなんだね。
カーブを終えたところに真っ暗闇がある。
そこに落ちたらおしまい。

自動車の運転席の後ろに座っている。
運転席で運転していたのはお父さん。
気配は感じるけれど、姿は見えない。
真っ暗闇のコーナーを通り過ぎた。
あれ、まだ周るの?終わりのはずなのに。
反対側のコーナーを通過。
直線の後、真っ暗闇のコーナーに差し掛かる。

まさか、まさかね。

そう思った瞬間。
コーナーを周りきらずに真っ暗闇の中へ飛び込んだ。
落ちていく。落ちていく。真っ暗闇に落ちていく。

ずっと緊張していたので、喉がカラカラで張り付いている。
声はでないかな。
「あ、あ」声が出た。
「お父さん」返事はない。
「悲しいよ。お父さん・・・」

その瞬間、目が覚めた。
時計を見ると、夜中の2時57分。
MOMOちゃんがめずらしく横に座っていた。そして、顔を舐めてくれた。


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お父さんは私を迎えに来たのですか?
あのまま、真っ暗闇に落ちたら、お父さんの元に行くのだったのですか?
私のことが心配ですか?

姉が抱えている問題。
母が抱えている問題。

それぞれの問題だから、いくら巻き込まれそうになっても、私は大丈夫です。
手を貸すことはできても、離れているし、時間もかけられないから。
自分の生活を優先します。
だから、電話で泣き付かれても、脅されても、責められても私は大丈夫。
私は私。私の問題ではない。彼女たちに起きている問題だとわかっているから。
ちょっとだけ悩むけれど、振り回されてはいませんよ。

お父さん。心配しないでください。
私には支えてくれるお友達がたくさんできました。
見守ってくれる、MOMOちゃんもいます。

だから、安心してくださいね。

三七日が過ぎました。
七七日(四十九日)までは、あの世とこの世をさまよっているんですよね。
顔を見たかったな。

一月の終わり、聖路加国際病院で受診しました。

問診票を書き、待っていると、呼ばれました。
研修医の方でしょうか。若くてかわいい先生です。

問診票の内容を確認します。
やはり、おじさん、おばさんまでのがん歴を細かく聞かれました。
前回困ったので、今回は事前に母に確認したので、ほぼ間違いなく伝えたでしょう。

マンモグラフィーを撮ってきてください。終わったら、待合室でお待ちください。

マンモグラフィーを撮りにいくと、検査室の前の画面に受付番号の順番が表示されていました。
これは、待ち時間にストレスがなくていいですね。

マンモグラフィーも痛くない。
痛いのは健康診断の時だけなんだぁ。

あと、感動したのは、検査技師さんが撮影するとき、部屋から出ずに、プラスチックのガードの向こうにいること。
撮影の都度、取り残されるより、安心感がありますね。

待合室にもどり、置かれている本を読んでいました。
「乳がんと言われたら読む本」そのまんまですね。

中には、聖路加国際病院のブレストセンター長の山内先生が書かれた章がありました。
帰ってから、さっそく購入しました。

長い時間まっていると、きれいな女性が呼びにきました。
診察室に入ると、先生でした。

尹先生。
先生自ら、待合室に呼びに来てくださるんですね。

お手紙を読みました。
私も手術が必要だと考えます。

術式ですが、家族性のがんの可能性もありますので、全摘して再建も考えてみてください。
希望があれば温存もできます。

先ほど、待合室でちらっと読んだのですが、温存して放射線を当てたあとは、再建したくても、皮膚が引き連れてむつかしくなることってあるんですか?

そういうケースもありますね。

しっかり勉強して、納得できる術式を選択しましょうね。

では、手術日を決めましょう。

えっ?ほかの検査はないのですか?

手術日を決めて逆算して間に合うように検査します。
MRIとエコーと血液検査、循環器も受診していただきます。
主治医の先生の紹介状があったほうが良いのですが、もらえますか?

もらえます。

あと、マンモトームの組織は、借りて見させていただきますね。
病院間でやりとりしますので、大丈夫ですよ。

では、手術日は3月のこの日は?

ええ、そんなに早くできるんですか?

はい。手術は山内先生と私がペアを組んでやります。

ではお願いします。

手術日を決めて、検査や受信日の予約をして、終了。

んー。術式も決まっていないのに、手術日だけが決まっちゃいました。
今日こそ、どのくらい切らなきゃいけないか聞けると思ったのに・・・。

術式は先生が決めるのではなく、私が決めるのですね。
わっ、大変。
お勉強しなきゃ!