日本の大学に在学中にアメリカに1年留学できることになりました。提携校がアメリカにあったのです。もちろん提携校ですからカトリックの大学でした。

 

ここで初めて、カトリック大多数の中に身を置くことになり、カルチャーショックを受けました。

まず、シスター達の立ち居振る舞いには驚かされました。修道服もベールもなし!普通の服を着ていて外向的で、親切で、気さくな方々でした。日本で会ったシスター達は真面目だったし、何でも話していい、という印象はなかったので新鮮に思ったを覚えています。

寮母だったシスターには大変お世話になりました。留学中に同い年の従兄弟が事故死するというショックなことがあったりして辛かった時には、話を聞いていただきました。

ルームメイトはカトリックでした。大学生ですから馬鹿騒ぎもしましたけれど、日曜日の朝には必ず礼拝に行っていましたし、神を信じていると躊躇することなく言っていました。同年代でカトリック信者に会ったことがなかったので、こちらも新鮮でした。

 

カトリックの家庭に生まれ育った友人達に自分の特定の信仰を持たない身分を説明するのも新鮮でした。私は自分を仏教徒と呼ぶことができず、家には仏壇というものがあるけれど、自分の先祖を大切に思う気持ちに近いとか何とか苦し紛れに言ってました。

 

1年の留学を終える頃には、カトリック信者を特別視することはなくなりました。日本の大学のシスター達に対する「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」的な偏見からも抜け出せました。私の出会った人達はカトリック信者であっても、プロテスタント信者であっても、何の信者であっても、あるいは何も信じない者であっても、私と同じように悩みも、苦しみも、喜びも、悲しみも感じる人間であったからです。