漫画「応天の門」 | よかと君の独立開業日記

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司法書士試験合格後即独者の司法書士事務所開業日記です。

 

  先日、太宰府天満宮宝物殿で開催されていた「応天の門展」に行って、灰原薬先生の漫画「応天の門」を読むようになりました。

 

 若かりし菅原道真が在原業平と組んで、京の都で起きる物の怪の仕業と称される怪奇事件を、今でいう科学的合理主義によりその実体を明らかにし、そこに潜む現実の人間模様の方が物の怪より余程恐ろしいものであることを解き明かしていくという、平安時代を舞台にしたミステリー漫画です。

 

 なかなか面白いです。

 

 

 道真は、世襲貴族である藤原氏の全盛期であった奈良・平安朝において、学問の力によって高位高官に上り詰めた異色の存在です。もっとも、その前から吉備真備など学問の力で一代限りで高位高官に上り詰めたものはいます。

 

 当時の日本は、藤原氏が政治の実権を握りながらも、唐帝国との関係、東北地方の平定など、現実の政治や軍事を全く無視するわけにはいかず、そこで、世襲だけでなく学問の力(実力主義)で人材を重職に登用せざるを得なかった側面があったのでしょう。

 

 しかし、道真が活躍した時代に、東北地方は平定され、遣唐使は道真によって廃止されます。ここで実力主義の必要性は大幅に減退したのであり、それが道真の大宰府左事件につながったと思います。

 

 その後の、道真怨霊事件、それに伴う藤原氏による道真及び子孫の名誉回復は、実力主義を排した停滞社会における人事の有り様(行き過ぎた懲罰人事を排す)を示したものといえます。 

 

 

 菅原道真は、奈良・平安朝のターニングポイントになった人です。この後は、貴族が政治を放棄した時代が続き、現実の現場の政治をしていた武士が貴族にとって代わり、幕府政治がスタートすることになります。

 

 こういう歴史の流れを漫画「応天の門」がどこまで描けるか、今後の連載も楽しみです。