昨晩は、不眠治療の研修会に出てきました。

 

近年、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、長期使用していくと徐々に効かなくなっていくこと、認知症症状を引き起こすこと、転倒骨折(特に高齢者)のリスクを高めることから、新規にベンゾジアゼピン系を処方したりしないこと、高齢者には基本的に投与しないことなどが徐々に広まっている状況がありました。

 

そこで厚生労働省が安易な睡眠薬(ベンゾジアゼピン系睡眠薬)の漫然とした投与を防ぐため、来月より睡眠薬の量や薬剤を調整することなく長期処方する場合は、その処方料を減算するという指針を示しました。研修会の目的は、適正使用を学ぶためでした。

 

不眠の診断基準についても再確認しました。十分な睡眠環境が整っているにもかかわらず週3日以上の不眠症状を認め、日中の日常生活に支障をきたす場合を言います。翌日の仕事や勉強に支障はきたさないが眠れない、それがストレスという方の場合は、睡眠薬の対象にならず、まずは睡眠の環境調整や心理教育が必要だということ。これには、専門医などで対応するしかないというものでした。

細かい薬の使い方はまた別の機会に述べたいと思います。特にみんクリ院長の専門である腎臓病患者様や透析患者様においては、さらなる慎重さが必要です。

 

昨晩、出席して思い出したエピソードがあります。

旦那さんのいびきがうるさくて眠れないという悩みを持った患者様が来院されました。しかし、睡眠薬には抵抗があるとのこと。

酸棗仁湯という漢方薬を処方して様子を見てもらいました。すると、いびきが気にならずに寝られることが多くなったとのことでした。その方は、コーヒーや紅茶を午後に飲んだ日も眠れなかったそうですが、最近眠れるようになったとのこと。

酸棗仁湯は体力のない方や高齢者にも使いやす漢方薬の一つです。

このように、いわゆる睡眠薬とは異なる漢方薬でも不眠の悩みを改善することができます。

 

睡眠障害がある方に、色々な選択枝があることを再確認致しました。

 

                         みんなの内科クリニック人形町・水天宮