母から
「増井さんが、英国で亡くなったという記事が今日の夕刊に載っていたわよ」
おばちゃんは、仕事が終わって帰り際に携帯を開けたところでした。
しばらく絶句・・・
どうして英国に増井さんがいらしたのか、なぜ亡くなったのか分からない。
母にメールで状況を尋ねても、
「詳しくはわからない」
ネットで調べたら、増井さんはご趣味の乗馬の大会に出場なさっている間の落馬がもとで亡くなったということが分かりました。
しばらくして、母から薄っぺらい郵便物がポストに届きました。
増井光子さんというのは日本での女性獣医師の走りの方で、わたしがこのお仕事に進む唯一最大の影響を与えて下さった方です。
小学生の低学年のころ、TVで動物にかかわるお仕事をする若かりし増井さんの姿が放映されていました。
あんまりTVを見ない子供だったおばちゃんでしたが、母に尋ねました。
動物と仕事するんだったら、どんな仕事がいいのかな?
すると母。
増井さんは獣医さんよ。
獣医さんは資格のいる仕事だし、あなたも獣医さんになってみたらば?
どうやったらジュウイさんになれるの?
増井さんに聞いてみたら?
そこでおばちゃんは返信用の封筒を入れて、質問状のようなお手紙を増井さんに書き、お返事を待つことしばらく・・・
すると、なんとおばちゃんが切手を張って入れておいた封筒に、増井さんはちゃんとお返事をくださいました。
けして子供向けの優しい感じのお手紙ではありませんでした。
真摯にお答えいただいた、簡潔で正しい大人のお手紙だったように思います。
大切にとってあるそのお手紙を見るたび、お忙しい中そのお手紙を書いて投函して下さった増井さんの姿を想像します。
おばちゃんが学生のときには、出身地にある動物園に三週間の実習に入らせていただき、そこの園長さんをなさっていた増井さんに書かれた著書へのサインを頂きました(*^.^*)
私には増井さんは、ヒトにこびることのないまじめで一途で強いけど柔らかいイメージがある女性で、永遠の憧れの方です。
増井さんが天国で安らかでいらっしゃることを、心から信じています。
そうして母よ・・・
娘に出す手紙のなんと簡素なこと・・・。母の人間性そのもの
でもそんな母をとっても愛しています。
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