世界遺産登録勧告に対する韓国の言いがかりに真正面から反論せよ! | 岐路に立つ日本を考える

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 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 松下村塾、韮山反射炉、八幡製鉄所など23施設からなる「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録される見通しとなりましたが、これに対して韓国が猛烈な反発を見せています。韓国政府はこれらの遺産のうち7施設に、朝鮮人約6万人が強制徴用されたと主張し、「人類の普遍的な価値を持つ遺産を保護するという世界遺産条約の基本精神に違反している」として批判しているわけです。尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が非難声明を出したのに加えて、国会の外交統一委員会も非難決議を採択しました。

 これに対して下村博文文部科学相「近代産業遺産群は1910年以前の話。そこに強制的に朝鮮の方の労働が行われたとかいうことではない。時代が全然違う。韓国の懸念は当たらないということを丁寧に説明していきたい」との姿勢を示したと報じられています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150505-00000001-asahi-int

 確かに今回の近代産業遺産群の認められた功績は幕末から明治にかけてのことがらであって、朝鮮半島が日本の一部となってともに先の大戦を戦った時期の話ではないでしょう。しかしながら、この下村大臣の反論は私は反論として適正なものではないと思います。時代がそれより下っていようとも、多くの朝鮮半島の人が奴隷のように連れてこられて非人間的な労働に強制的に従事されたことがある施設であるとすれば、韓国の人たちの国民感情からすれば、そのようなものが世界遺産に登録されるということには複雑な気持ちが生まれることは当然であるとも思うからです。

 問題は彼らが強制連行だとか強制徴用だとか強制労働だとかと言っていることが、戦時においては当然の国家総動員体制の中での勤労動員にすぎず、本土に住もうが朝鮮半島に住もうが関わりなく国民の義務として課されていたことに過ぎないという点です。本土の若者たちが徴兵制によって戦地に送られている中で、本土には若年労働力が大いに不足しました。軽作業であれば女性たちでも従事できますが、炭坑労働などの重作業には女性をあてがうことなどできません。それで国民徴用令に基づいて朝鮮半島から労働力が動員される必要性があったわけです。

 米国では黒人兵が最前線に送られ、黒人兵が消耗した後に白人兵が進軍するというスタイルで戦争を遂行していました。もし戦前の日本が本土の日本人だけを大切にする国家であったならば、朝鮮半島の若者たちを真っ先に戦地に送り込んだだけでなく、彼らを最前線にまず立たせたことでしょう。しかしながら、日本は朝鮮半島を徴兵の対象から外し、志願兵にしてもごくわずかしか採用しない方針を採用しました。志願倍率は50倍を超えることもあり、採用されなかったことを苦にして自殺する若者までいました。彼らは戦争の最前線に送られる代わりに、国内の労働力として勤労動員されたにすぎないのです。

 従って、問題の本質は、なぜ下村大臣がそのことに正確に言及しないのかという点にこそあります。相手の立場を思いやった発言のつもりなのかと思いますが、そうした日本的な優しさの発露が誤解を押し広げる役割を果たすことに、未だに気付いていないのでしょうか。慰安婦問題のように、全く事実とかけ離れたことがあたかも真実であるかのように流れていく恐れが強くあることに対して、下村大臣はもっと敏感であるべきではなかったでしょうか。

 もちろんマスコミにも問題があります。単なる勤労動員にすぎなかったことを、その事実に照らして報道することをしないからです。しかしながら、マスコミのいい加減な報道について問題視するのであれば、マスコミが付け入る隙をできる限り小さくするのは当然のことではないでしょうか。その基本に、未だに政治家も役人も気付いていないとすれば、それこそが大問題だと言わざるをえないでしょう。


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