KANOの勧め | 岐路に立つ日本を考える

岐路に立つ日本を考える

 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 1月24日公開の台湾映画のKANOを早速見てきました。これは必見です☆

 昨年5月に台湾に行った時に、すでに台湾で大ヒットしていて、台湾の方たちから絶対に見るべきだと言われていたのですが、本当に見てよかったです。

 宣伝によってすでにご存知の方も多いと思いますが、この映画は日本統治時代の台湾を描いた映画です。当時弱小チームだった嘉義農林(かぎのうりん、略称「嘉農」)が日本人鬼監督の厳しい指導のもとで台湾代表として甲子園に出場し、一大旋風を巻き起こしたという史実がベースとなっています。

 この映画を見るにあたっては、当時世界最大のダムであった烏山頭ダム(うさんとうダム)と、このダムの貯水を利用した農業灌漑施設である嘉南大圳(かなんたいしゅう)が、八田與一(はったよいち)技師の監督のもとに作り出されたことを、事前知識として知っておいたほうが良いかと思います。これが水害防止にも大きく役立ったと同時に、台南地域の農業生産高を飛躍的に高めました。農業用の灌漑面積が香川県全体にほぼ匹敵する15万ヘクタールだと聞けば、いかにすごいものを作っていたかがわかるかと思います。そんなわけで、八田與一は台湾では今なお非常に敬愛されているのですが、台湾映画ですので、このあたりの概要を観客が当然知っていることを前提に作られている感じがします。この八田與一の話が嘉義農林の話と組み合わされて映画が展開しています。

 この映画は当時の日本と台湾との関係を、台湾の人たちから見て違和感がないように作り上げられているというところが特徴的ではないかと思います。これを見ていると、日本人の中に台湾人に対して差別的な見方をしている人たちもいたけれども、日本人と台湾人の区別など意に介さない人もいっぱいいたということがわかります。また、いわゆる欧米型の植民地ですと、租界と呼ばれる、現地の人たちの自由な立ち入りが禁止されている区域があり、そこで欧米人たちは安全に暮らしている状態となったわけですが、台湾には日本人の租界地がなく、台湾の人たちの中で日本人が普通に暮らしていたことがわかります。

 常に全力を尽くすことを不器用に求めた監督と、それに逆らう気持ちを持ちながらも監督に従っていって、監督の求めた美しい姿に徹することができるようになった選手たち。選手たちが甲子園で見せるその成長ぶりには、誰もが感動できるのではないかと思います。そしてそこには民族の違いを超えて人間としての成長を素晴らしいと思える感動があります。そしてこの崇高な精神は日本精神(リップンチェンシン)として、台湾の人々が敬愛している精神性を表しているものでもあるかと思います。

 この映画を通して、台湾の人たちが日本に対して抱いている気持ちを見たような気がします。その気持ちに今の私たちは応えた生き方を見せているのだろうか。戦後の「反省」の中で、そうした大切な精神性をも失ってきているのではないだろうか。そんなことまで考えさせられました。

 ぜひ、多くの人に見てもらいたいと思います。


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