消費税増税は財政政策の有効性を明確に示した! | 岐路に立つ日本を考える

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 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。



 今回の消費税増税が日本経済に対して大打撃を与えたことはもはや言うまでもないことですが、ここから私たちが汲み取るべき真実とは何でしょうか。

 これまでアベノミクスは3本の矢を掲げながら、実質的には第2の矢である財政出動を封印しつつ、第一の矢である金融緩和に過剰とも言える期待を求めてきました。異次元とも言われる空前の金融緩和を断行したことは皆さんもよくご存知のところだと思います。その論拠は、現在の日本では財政政策は効果がなくなっていることを前提とし、金融政策が経済政策の中心に位置するべきだとの考えです。ところがそんな異次元の金融緩和の効果を、消費税増税が簡単に押しつぶしてしまったわけです。

 ところでここで確認したいのは、消費税増税というのは明確なる財政政策であるということです。財政政策というのは拡張的な財政政策ももちろんありえますが、緊縮的な財政政策もありえます。そして、緊縮的な財政政策の中には歳出削減も含まれますが、増税も含まれることになります。消費税増税というのは、明確な財政政策の出動であったという事実を私たちはきちんと思い起こす必要があるのではないでしょうか。

 こうして見た場合に、異次元の金融緩和が景気に与えたプラスの影響が実際には大したものではなく、逆に消費税増税という財政政策が景気に与えたマイナスの影響の方が遥かに大きかったということがわかります。とすれば、現在の日本では財政政策は効果がなくなっているとする前提が完全に崩壊しており、むしろ現在の日本では財政政策が実に有効であることを雄弁に物語ったということがいえるのではないでしょうか。

 自民党や公明党は、アベノミクスで株価が2倍になったとその成果を誇らしげに語ります。株価が2倍になったことに何らのプラスもなかったとは思いません。資産効果は消費にも好影響を及ぼしたでしょうし、年金運用が大幅に改善したのもよかったといえるかもしれません。しかしながら、実体経済がほとんど大きくなっていない中で株価だけが2倍になったというのは、本当に健全で永続的なことでしょうか。異次元の金融緩和がこのような歪みを作り出し、それが将来的に壊滅的なダメージを与えうることは、1980年代後半のバブル経済において、あるいは2008年のリーマンショックにおいて、すでに経験していることではないでしょうか。

 金融緩和がある程度必要なことだとしても、それを過剰にしてみても弊害こそあれ、プラスの効果はほとんど望めません。現在の日本で切実に求められているのは有効需要を生み出す積極財政政策であるということが、このたびの消費税増税によって明確に示されました。このたびの衆議院議員選挙において、これを全面に掲げて戦う政党が出現することを期待しています。