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ウォールストリートジャーナル日本語版に「米政府、靖国参拝後の安倍政権にさまざまな注文」という記事が載りました。記事の一部を抜粋します。
米政府関係者は、安倍晋三首相が中国と韓国を怒らせた靖国神社参拝を繰り返さないことを確約するよう日本に求めており、日本政府がこれまでの第2次世界大戦に関する公式の謝罪を確認することを検討するよう首相に要請すると述べている。(…中略…)米政府関係者は、安倍首相が同首相の政策アジェンダに疑念を抱いている近隣諸国を刺激するような新たな発言や行動を控えることを確約するよう日本側に求めている。日米の一連の外交会合で伝えたという。(…中略…)また当局者らは、戦争中の慰安婦問題についても日本側に何らかの対応を期待している。米政府も緊張に対してますます声高になってきた。(…中略…)キャロライン・ケネディ駐日米大使は23日付の朝日新聞とのインタビューで、首相の靖国参拝を批判した。大使は「米国は地域の緊張が高まることを懸念しており、首相の決断には失望した」と、トップの米外交官としては異例の非難をした。
ウォールストリートジャーナル日本語版の記事
中国・韓国のみならず欧米諸国も、安倍総理の靖国神社参拝を厳しく非難する立場に立つようになったことが、改めて確認された記事だったと思います。そこまで中国・韓国のプロパガンダが世界中に浸透してきているという事実を率直に認め、それに対して日本政府が有効な反撃を何もしてこなかったツケが回ってきていることを、私たちは冷静に受け止める必要があると思います。
ここで私たちが考えるべきは、単に靖国神社参拝に理解を求めようとするだけではダメだということです。日本のことをあまりよく知らない人たちは、日本が過去を反省することなくどんどんと右傾化して軍国主義へとどんどん傾いてきているという、中国が流すプロパガンダにすっかり染まっており、その文脈に合わせて首相の靖国神社参拝を考えてしまっているからです。この認識の前提にくさびを打ち込むような宣伝戦を、我が国は考えないといけないのではないでしょうか。例えば、以下のような主張をすることです。
靖国神社の問題について答える前に、皆さんによく考えていただきたいことがあります。日本がどんどん右傾化して軍国主義の道へと突き進んでいるかのようによく報道されますが、それは事実でしょうか。まず、我が国の国防予算の推移をご覧下さい。
傾向的に国防予算を削減している国というのは世界的にもかなり珍しいのではないでしょうか。その上で考えていただきたいのは、国防予算を削減しながら軍国主義の道へと突き進んでいる国というのは、一体どのような国家なのでしょうか。
これに対して、我が国が軍国主義への道を突き進んでいるという非難を最も先鋭に行っている中国の国防予算の推移もご覧下さい。
中国は建前でも我が国の国防予算の2.5倍程度を計上しており、実質的には我が国の5~7倍程度の国防予算を確保していると思われます。ここまで大きくなっているにも関わらず、国防予算を毎年2桁以上伸ばしていく方針に変わりはないようです。こうした事実を冷静に見た場合に、従来の地域の軍事バランスを崩している国は果たして日本なのでしょうか、それとも中国なのでしょうか。答は明らかでしょう。それなのに、なぜか我が国は軍国主義に突っ走っている国であり、中国は我が国の急激な軍国主義化の脅威にさらされている国であるかのような思い込みが世界中に蔓延しています。国際世論の中に事実に基づかない非常に危険なバイアスが広がっているとは言えないでしょうか。
尖閣諸島の問題も同様です。尖閣諸島は1970年まで、中国政府も日本の領土として認めてきた土地です。そのことは人民日報にも書いてありますし、かつての中国政府が発行した地図でも確認できることです。しかし、ここに海底資源が眠っていることがわかってから、中国政府は突然領有権を主張しはじめました。以前は他国の領土であると認めておきながら、資源が見つかると自国の領土であると頑に主張しはじめるというのは、おかしなことではないでしょうか。にも関わらず、その土地は係争地であって領有権がはっきりしないものだということに同意しないと平和的な国家だとはみなされないのです。実際、このような中国の姿勢はあまり問題にされることがない一方で、日本はこの尖閣諸島の問題を抱えていることによって、軍国主義に突っ走っている危険な国だとみなされることが多くなっています。国際世論の中に事実に基づかない非常に危険なバイアスが広がっているとは言えないでしょうか。
改めて確認したいのですが、中国が実効支配している土地の一部が本来我が国の領有であるべきだと我が国が主張していることは一切ありません。我が国が実効支配し、1970年まで中国も我が国の実効支配を認めてきた土地に関して、中国政府がそれは中国のものだと主張してきているわけです。それどころか、中国は尖閣諸島のみならず、沖縄自体まで本来は自分たちのものであると主張するようになっています。このような経緯によって、尖閣諸島や沖縄の帰属問題でごたごたに巻き込まれたことによって、なぜか我が国の方が軍国主義に突っ走っていて、中国の方がその脅威にさらされているとみなされるようになってきました。その見方は、両者の立場を完全にあべこべにして考えているということにならないでしょうか。とすれば、やはり国際世論の中に事実に基づかない非常に危険なバイアスが広がっているとは言えないでしょうか。
我が国は首相が毎年変わると揶揄されるほどの民主主義国家であり、我が国ほど独裁政権が誕生しにくい国家はないかもしれません。これに対して中国はいまだに国民に選挙権すら与えていない共産党一党独裁の国家です。三権分立もなく、法治主義さえ確立されておりません。言論の自由や表現の自由もありません。法輪功という中国最大の宗教団体によれば、中国政府の弾圧によってすでに同団体の信者が336万人以上虐殺されたとのことです。規模の真偽はともかくとして、こうした中国国内の人権状況をめぐる深刻な問題が、本来の深刻さを伴って世界中に理解されるということが行われていません。国際世論の中に事実に基づかない非常に危険なバイアスが広がっているとは言えないでしょうか。
さて、靖国神社のことについてお答えしましょう。靖国神社への首相の参拝は、まだ日本がGHQの占領下にあった1951年に時の首相の吉田茂によって行われました。当然ながらこれはGHQが許可を下した上で行われたものでした。そしてその後首相による靖国参拝は1985年まで毎年続けられてきました。こうした日本の首相による靖国神社への参拝について、中華人民共和国の建国の父である毛沢東も、その盟友である周恩来も、一度も問題にしたことはありませんでした。1985年以降中断したのは、中国の世論の急激な変化に配慮してのことであり、これによって日中関係の改善を期待したわけですが、靖国神社参拝をやめても中国による対日批判は強まりこそすれ、弱まることはありませんでした。
靖国神社の参拝に関しては、外国の方にはわかりにくいところもあるかと思いますが、日本人の死生観と絡む話です。生前にどんなことをやっていたかに関わりなく、死んだらすべてが神様となるというのが、日本人の死生観です。亡くなった方の悪口を言うことは、「死者にむち打つ」と表現され、日本では最大級の恥ずべき行為でもあります。靖国神社に祀られている方達は全員平等に祀られているのであり、その中で誰かが優越的な立場にいるといったことが全くないことをご理解いただきたいです。私たちには私たちなりの死生観、宗教意識があるのであり、外国の方々の目に悪しき意図があるように仮に見えたとしたら、それは私たちの持つ死生観、宗教意識をよく理解されていないことに基づくものでしょう。外国の理解を得られない以上、日本人は日本人独自の死生観や宗教意識を捨てなければならないのでしょうか。首相の靖国参拝後に首相の支持率が上昇しましたが、この背景には日本人の基本的心情を外国の方々によって傷つけられていると日本国民が感じているということがあるのです。自然で素朴な感情を否定されたら、誰だって憤るのではないでしょうか。それでも日本国民の素朴な感情は許されないものなのでしょうか。
また、靖国神社の中には鎮霊社というところもあります。ここには戦乱によって命を落とさされた方であれば、日本人ばかりでなく、外国の方も平等にお祀りされている場所です。ほとんど報道されていないのが残念ですが、安倍総理は靖国神社参拝の折に本殿以外にこの鎮霊社にも参拝されているということも、決して見逃さないでいただきたいところです。敵か味方かの区別もなく、全ての戦没者を平等に祀り、慰霊を行っているというところに、首相の真意、日本国民の素直な思いがはっきりとしめされているわけです。日本人の素直な死生観に基づいた行為を、国の代表者である首相が行うのは当然であり、少なくとも外国の方々から行くべきだとか行くべきでないといったことは言われたくないという日本国民の素朴な感情を、どうかこれ以上傷つけないでください。
こうした方向感の話を世界に対して繰り返し発信すべきではないでしょうか。靖国参拝の言い訳レベルの話で終わるとすれば、それは中国の思うつぼです。彼らの野望を打ち砕くためには、彼らのプロパガンダの浸透に焦点を合わせる別のステージに変えて話をすべきだという意見にご賛同下さる方は、ブログランキングへの投票をお願いいたします。
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