中国のプロパガンダ戦に敗北した新追悼施設構想の提起 | 岐路に立つ日本を考える

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 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
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「靖国参拝前提に検討も 新追悼施設で首相補佐官」との報道が流れました。

 礒崎陽輔首相補佐官は12日のフジテレビ番組で、首相の靖国神社参拝を前提に、靖国神社とは別の新たな国立追悼施設を検討することもあり得るとの認識を示した。「靖国神社を国のリーダーがお参りしなくても良いとの話にはならない」とした上で、新施設に関し「自民党内にも軍人、軍属以外の戦争犠牲者がきちんと祭られていないとの意見もあり、検討してもいい」と述べた。
産経新聞の記事

 首相補佐官の発言ということは、安倍総理も同じ考えに立っているということなのでしょう。総理の新追悼施設否定発言はブラフだったと考えるべきです。ことは重大です。

 誤解を恐れずに言いますが、新たな追悼施設を考えるというのは、頭から排除しなければならないものだとは私は思いません。各地の空襲被害者などの軍人・軍属以外の戦争犠牲者を含めて弔う国立追悼施設は、国民感情の観点からしても考える余地のあることだと私は思っています。しかしながら、このタイミングでこの話が出てくれば、先月の総理の靖国参拝に対する諸外国の強い反応と絡めた関係を疑われるのは必然です。そうした疑いを持たれることを避けようとするなら、このタイミングでこのような話を持ち出すような無神経なことを政府が自ら提起することはありえません。つまり、総理の靖国参拝に対する諸外国の反発が予想以上に強く、特に米国から厳しい態度を取られ、妥協の産物としてこのような話を政府サイドが持ち出すに至ったと考えるべきでしょう。「靖国神社を国のリーダーがお参りしなくても良いとの話にはならない」などというのを真に受けるべきではありません。

 このような話が出てくることは、要するに、中国の仕掛けてくるプロパガンダ戦に日本が屈服したということを表していると考えるべきでしょう。目先の対立を避けるために、原理原則をねじ曲げるような態度を、日本はいつまで続けるのでしょうか。そしてこの流れでいけば、2月22日の竹島の日の記念式典への安倍総理の出席がまたしても見送られることになる可能性すら高くなってきたと思われます。

 中国が様々な手段を講じてマスコミをコントロールしていることから、我々は目をそらすべきではありません。中国は自国の市場の大きさを幻惑材料として使いながら、相手国や相手国のマスコミに警告を発することを普通に行います。フランス政府の対応に対してカルフールのボイコット運動を起こしたことなど、記憶にある方もいるでしょう。中国に批判的な記事を書く記者のビザを発給しないなど、取材に制限を加えるような処置も、日本のマスコミに対してだけでなく、全世界のマスコミに対して行われています。中国国内で取材をしたくてこの圧力に屈しているのは、決して日本のマスコミだけではありません。

 批判的記事が載ると、それに対してしつこく抗議して、マスコミ側が嫌気が差すように仕向けていくところもあります。ネットの普及によって広告料が減っている中で、広告料を大盤振る舞いすることによって経済的に従属させる戦略も展開しています。合法的な風俗にも隠しカメラが用意されていて、マスコミ関係者や外交官が利用した時にゆすりのネタとして利用することさえ行っています。

 さらに中国は中共のイデオロギーに沿ったわかりやすい解説文を毎日各マスコミに流し、マスコミに対して説明する会見も毎日開き、記者を丸め込む戦術も展開しています。ドイツのアルゲマイネ紙が中共と主張がほとんど変わらないような辛辣な靖国参拝批判の論説を載せたことにショックを覚えた方も多いようですが、中国のこうした地道なマスコミコントロールがまさに力を得ていることに気がつくべきです。

 そうしたトータルな中国の動きに対して、あまりに世間知らずの対応しか取っていないのが、我が日本ではないでしょうか。彼らが仕掛けてくるプロパガンダ戦術を徹底的に分析し、これに十分カウンターを効かせるような処置を、日本の側もとらなければなりません。

 私たちが今求めるべきは、とにかく首相が靖国に参拝するといった最終結果ではなく、後々日本の首相や天皇陛下が何の気兼ねなく参拝できるような環境整備ではないでしょうか。政府がそのために最大限の努力をしている姿を、国民ばかりでなく世界の人々に対してもわかるように示し続けることだと私は考えます。

 竹島の日の式典への総理の出席についても、私は同様に考えています。中韓に駐在の欧米の特派員を招待するということが報道されたのは昨年末でしたが、もっと早くやるべきではなかったでしょうか。そしてこうした特派員に対する継続的な情報提供を続けていくべきではなかったでしょうか。さらにこうした特派員たちと人的な関係をどんどん深めるような継続的な処置も行っているべきではなかったでしょうか。中国外交部と同様のスポークスマンを外務省も用意して、日々情報発信を行うべきではなかったでしょうか。竹島に関する短い動画を公開したのはそれ自体としては評価しますが、公開しただけに終わっていないでしょうか。こうした動きの累積によって、竹島に関する外国メディアの報道が明らかに日本寄りになっているという環境を作り出さないで、竹島の日の式典への総理の出席を行えば、「右傾化」と「軍国主義復活」の象徴として世界中で取り上げられることになりかねません。

 様々な手を打つことによって世界の世論が日本の主張が正論であると認めていく環境を整えていくことが、日本政府が今何よりも重視すべきことだと考えます。最終結果を焦ることなく、わだかまりなく総理の靖国参拝や竹島の日の式典出席が実現できる環境整備のために最大限の力を向けることこそ、日本政府に求められることだという見解に同意頂ける方は、ブログランキングへの投票をお願いいたします。


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