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イタリアは財政悪化を食い止める目的で2011年の9月から付加価値税(日本の消費税に類似)が増額となり、2011年の12月には不動産税(日本の固定資産税に類似)を導入し、年金支給年齢を引き上げるなど、総額で330億ユーロ(当時のレートで約3.4兆円)規模の緊縮政策を実行する方針を固めました。当時の首相のモンティ氏は、緊縮は痛みを伴うが、イタリアにとっては不可欠なものだと力説していました。
しかしながら、2012年6月には消費減退によって付加価値税の税収自体が2006年以来で最低となるまで落ち込んでしまいました。モンティ政権の方針により、付加価値税はさらに2%引き上げられることになっていたのですが、すでに付加価値税率を引き上げても付加価値税収が減ってしまうほどの不景気ですから、このさらなる付加価値税の増税は延期になりました。
2013年4月には、新しく就任したレッタ首相は、「財政規律は重要」としながらも、「緊縮策だけではイタリアは死んでしまう」と指摘し、景気回復に向けて減税路線に転換する方針を表明し、付加価値税の増税を撤回しました。それどころか、ついに先日、不動産税の廃止により、5200億円の減税を実施することになりました。
不況下で増税するというのは、需要が不足している中でさらに需要を押し上げる下げる政策を実行するということですから、経済成長を押しとどめ、国民経済を疲弊させることはもとよりわかっていた話でしょう。しかし、イタリアは自国通貨建てではないので、財政政策を存分に発揮できる環境にはなく、そんな厳しい制約の中で苦労してきたことが伺えます。
さて、この件に関連して大変面白いのは、不動産税廃止で連立与党の間の合意ができそうだというニュースが流れた段階(8月28日)で、イタリア国債の利回りが大きく低下していることです。増税しないと利回りが急上昇して国債が破綻すると騒いでいるどこかの国の政治家は、このニュースさえ知らないのかと、嫌みの一つも言いたくなります。
ともあれ、イタリアのこのような経験を、私たちは活かすことはできないのでしょうか。財政再建のために最も大切なことが経済成長だということは明らかなのに、日本の成長力を削ぎ落とすような消費税増税をまたもや実行しようとしています。
今からでも遅くありません。安倍総理はイタリアの経験に学んで、消費税増税を勇気を持って撤回すべきだと思われる方は、ブログランキングへの投票をお願いいたします。
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