高コストの太陽光発電の普及には反対! | 岐路に立つ日本を考える

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 産経新聞に太陽光発電に関して、「日本の太陽光市場、世界1位に 今年2兆円規模へ 米調査会社」との記事が出ました。以下に記事を引用します。
産経新聞「日本の太陽光市場、世界1位に 今年2兆円規模へ 米調査会社」

 2013年に日本国内に新規導入される太陽光の発電能力は12年に比べ2.2倍の530万キロワットに拡大、設備販売額や設置費用などを合計した市場規模が198億ドル(約1兆9100億円)とドイツを抜いて世界1位になる見通しとなった。米調査会社IHSが12日までにまとめた。
 昨年7月からの再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で太陽光発電の買い取り価格が高めに設定され、導入意欲が高まっているのが急拡大の理由。新規導入量では中国が680万キロワットとの予測で日本を上回るが、日本は設備価格が海外に比べ割高なため、市場規模では1位になるという。
 日本の今年1~3月の太陽光発電の新規導入量は150万キロワットで前年同期の40万キロワットに比べ急増。今後も拡大が続き13年の導入量は530万キロワットで100万キロワット級の原発5基分を上回る見通し。市場規模は12年比82%増。
 日本は04年まで世界最大の太陽光発電導入国で太陽電池生産量も07年まで1位だったが、近年は存在感が低下していた。


 この記事にはまず誤解を非常に招きやすい表現が使われています。「13年の導入量は530万キロワットで100万キロワット級の原発5基分を上回る見通し」との部分です。この記事を読むと、「ああ、これで原発5基は動かさなくてもよくなったな」と思ってしまうでしょうが、これはいろんな観点から間違っています。

 まず、ここで述べている530万キロワットというのは、太陽光発電を行うのに最も理想的な環境に置かれた場合にこれだけの発電量を生み出せるということにすぎません。夏至の前後で太陽の高度が非常に高くなり、快晴にも恵まれながら、気温は意外と低いといった条件を全て満たした時にのみ530万キロワットの出力が可能だということにすぎません。当然ながら太陽光は天気に大きく左右され、夜間は発電されません。こうした条件を勘案して530万キロワットの出力の太陽光発電で年間で生み出せる発電量をざっと計算してみますと、おおよそ60億キロワット時になると思われます。さて、日本の年間発電電力量は1兆2000億キロワット時ということを考えると、530万キロワット出力の太陽光発電で生み出せる電力量は、日本の年間発電電力量のわずか0.5%にすぎないということがわかります。原発5基分どころか原発1基分の発電量にも及ばないことは明らかです。

 そしてこのわずか年間電力量の0.5%を生み出す能力を増強するために、約2兆円のお金が使われるというのです。ここから考えますと、日本中の電力を仮に太陽光発電で置きかえるとしたら、400兆円ものお金が必要になるという計算になります。こういう計算を行うと、太陽光発電がどれだけコストが高くて割に合わない発電であるかがわかるでしょう。

 そしてこのような高コストのエネルギーへの依存度を高めるほど、日本の電力料金は上がっていかざるをえません。しかも夜間発電は全くまかなえず、天気や時間によって出力が左右される不安定な電力であり、産業用には適さないものでもあります。つまり、太陽光発電が普及していくと、日本の電力はコスト面でも品質面でも産業用に適さないものになっていってしまう危険性が極めて高いのです。こうした事情はもちろん風力でも大差ありません。電力のことは気分に流されないで、冷静に日本の将来を見据えて考えなくてはならないという意見にご賛同頂ける方は、ブログランキングへの投票をお願いいたします。


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