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茶番に終わった
示談交渉から1週間後。
弁護士から再び連絡が入った。
「相手側から、
再度示談の打診がありました」
「……誰からですか」
「三人です。
連名です」
文句を言いあっていた三人が、
同じ紙に名前を書いた光景が浮かぶ。
あれほど互いに責任を押し付け合っていたのに、“支払う段階”になった途端、
足並みを揃えた?
「内容は?」
「刑事処分を軽くしてほしい、
民事請求額を減額してほしい、
というものです」
やっぱり、と思った。
「ご主人は、
仕事を失う可能性が高いので分割を希望。
義母は資産を処分する準備をしていると。
女性は……養育費を抱えているため
支払能力が限られると主張しています」
聞いていて、
胸はもう痛まなかった。
ただ冷静に、
“交渉材料”として聞いている自分がいた。
「どうしますか?」
私は少し考え、赤ちゃんの寝顔を見た。
あの夜。
泣きながら家を出た自分。
壊れた結婚生活。
疑い続けた時間。
全部が頭をよぎる。
「……条件次第です」
弁護士が静かに相槌を打つ。
「刑事の取り下げはしません」
「ただし、民事は
現実的に回収できる形にしなければ、、、。
逃げられることもあります。」
「分かりました。
絶対に逃げられないようにしてください。」
電話を切る。
母が私の顔を見て、ゆっくり頷いた。
もう、情では動かない。
許すかどうかの話ではない。
責任を、形にするだけ。
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