これも、義母の塗り絵。


細かい配色、

色づかいのセンスが秀逸!


丁寧な仕事ぶり。


義母にこんな才能があったなんて

周りの人も義母自身も

今まで

知らなかったんじゃないかなぁ




クローバークローバークローバークローバークローバークローバー





12月1日(水)



義母が、施設長や家族を脅して

力づくで勝ち取った外出の権利。



その権利を行使して

水曜日、

義母は念願のダンスサークルに

行きました。



と、言っても

義母ひとりで施設の外に

出すのは

やはり危険だと判断して




私が、連れて行ったのですが…




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行きの車の中で、

義母は、有頂天でした。




車の窓から

懐かしい街並みを眺めては




色付いた木々に歓声をあげたり

馴染みのある通りに喜んだり




久しぶりに味わう外の世界に

少々、興奮気味でした。




そうよね…

4ヶ月ぶりの"娑婆"ですものね…




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この日の目的である


①ダンスサークル


②銀行


③デパートの補聴器売り場


④スーパーでの買い物



②の銀行までは、

予定通りに進みました。




しかし、




③のデパートの駐車場に

着いた頃から

義母の様子がおかしくなってきました。




地下の駐車場に着いて

車を降りる時から

足元がふらつき始めました。



私が支えていないと

転びそうになります。




私の腕にしがみついてきます。




ハンドバッグも

持てなくなりました。




わずかな段差に

つまずきます。




義母の脇から腕を差し込み

抱えるようして

一緒に歩きます。




なんとか

デパートの入り口まで

歩いて来て




案内所のお姉様に

車椅子をお借りしました。




お義母さん、

車椅子で行こうね、

この方が楽チンだよ〜




義母は素直に

車椅子に乗ってくれました。




現役バリバリの義母のプライドは

この際、捨てたようです。




補聴器売り場に行き

義母の補聴器を見せたら




売り場の人が

さぁーっと引くぐらい

汚れていたんです。




これじゃ

聞こえなかったでしょ?




完璧に詰まっていますよ

って、言われてしまいました。




サ高住に入って4ヶ月。

1回もメンテナンスしてなかったから

補聴器も汚れまくっていたんですね。





知りませんでした。




今後は、

本人が来なくても

代理の人が補聴器を持ってくれば

お掃除してくれるそうです。




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義母にお昼ご飯を

食べさせなくては…




義母を車椅子に乗せたまま、




デパートの中に

どこか昼食が食べられるところは

ないかしら〜と探していたら




介護食を色々と揃えている売り場が

目につきました。




このデパートは、

若者向きではないかわりに

高齢者に必要な物が

揃っているようで…




新しい発見、




へー、




こんな売り場があったんだ!




知らなかった。

助かるわ!




と、レトルトの介護食を

あれこれと買い込みました。




これは、私の父へのお土産です。




おや?



義母の口数が少ない。

車椅子に乗って

ぼーっとしている。




お義母さん、

大丈夫?


お腹すいたでしょ?


何、食べようか?


久しぶりにダンスして

疲れちゃった?



義母は、




グラタンが食べたい。



そう言いました。




へー?

珍しい。

お義母さん、ミルク嫌いなのに。

グラタン、食べたいんだ〜




と、妙なことに

感心していたら




おあつらえ向きに

洋食を食べさせるレストランが

同じフロアにあったので

そこに入ることにしました。




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席に着くとお義母さんは、




ふうっとため息をついて




嫁子さん…


アタシ、体が

おかしいよ。



頭がふらふらするし

息苦しい。



と言って、

自分で胸をさすっています。




お義母さん、具合悪い?


帰ろうか?



と聞くと、



大丈夫だと言います。



だけど、胸をさすりながら

あー、おかしい

あー、おかしい


と何度も呟くのです。



そして、



嫁子さん、


アタシ、

もうダンスは

出来ないね…



1曲、ルンバ踊っただけで

こんなに

体がおかしくなるんだから



もう、


ダメだってことだよ…



なんだろ…



こんなふうになったの

初めてだよ。



頭がくらくらするんだよ。


首も痛いし、


肩も凝ってきた。




と言って、

首や肩を動かしています。




運ばれて来たグラタンを



熱っついよ〜と言いながら

ふーふー息を吹きかけて

冷ましながら

少しずつ食べ始めました。




良かった💦

食べられのなら大丈夫。

おおごとではないようです。




きっと、目が回ったのね。



よく、大人になってから

遊園地のコーヒーカップとか

ぐるぐる回る乗り物に乗ると



目が回って

気持ち悪くなりますよね。



多分、義母は

ルンバで回転して

目が回ったんでしょうね…



ダンスのお相手の男性に

リードされて

その時は、いい調子で

嬉しくて

踊っちゃったけど



体はそれについていけなかったのね。




もやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもや




義母は

私の目を見て

キッパリと言いました。




嫁子さん、


アタシ、もうダンスは

出来ないって分かった。



外に出るのも

怖いって分かった。



あそこで

暮らすしかないんだね…




もやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもや





力づくで勝ち取った外出の権利。




たった一回で




義母は自分から手放します。




これで良かったんだと思う。




自分で行動して

自分で不可能だと自覚して

自分で納得したのだから。




誰か他人に




危ないよ〜

無理だよ〜



と言われてもダメなんです。



自分で納得しないと。




義母は、きっと

もう外に出たいって言わないでしょう。




ダンスサークルも

自ら封印するでしょう。




最後に撮った

ダンスのお仲間の写真を

義母の携帯に送ってあげました。




義母は、それをちらっと見て、




みんな年取ったね、ですって😅




THE END




もやもやもやもやもやもやもやもやもやもや





④のスーパーマーケットは

諦めました。




帰りの車の中でも




義母は

ずうっと目をつぶっていました。




あんなにお喋りな人なのに

一言も喋らず

大人しく目をつぶったまま。




疲れたんだね。




義母の衰えを

まざまざと見せつけられたようでした。




もやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもや






サ高住に着いた義母は



出迎えてくれた施設長さんに




アタシ、学んだよ。


もう、外に出るのは

無理だって。



ここに居ますから

よろしく

お願いします。




そう言って、


さっさと部屋に戻って

ベッドで横になってしまいました。




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その後、



私はこの日の外出の顛末を

施設長さんに報告しましたよ。



施設長さんは

こうなる事を

予想していたみたい。



一回、やってみれば

諦めるって

分かっていたみたい。




そして、

今後は夫婦別々の時間を

持てるように工夫します、

って、おっしゃっるの🤭




うちの義両親だけでなく



他の入所者さんからも



夫婦一緒に居る時間を

減らしたいから



夫婦別々の催しを

考えて欲しいっていう

要望があるんですって!




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夫婦って

何だろうね…




何十年も共に暮らしていても



最後は



鬱陶しくなるの?



私もそうなるの?



親の姿を見て



自分の行く道が



うっすら見えて来た。




年を取るって

切ないよ。





続きます。