日本記者クラブの会見の書き起こし、これで最後です
ヤフーニュースの原文を元に加筆修正しています。
まとまって抜けてるというか、省かれてる?部分は赤字にしています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180227-00010007-houdouk-spo
(ニュース原文)
https://youtu.be/yYVyJH4nkPw
(元動画)
司会 : 島田
時間が少なくなって来ました。はい、その後ろのかた。

羽生
さらっと答えられるようにがんばります・・。
河北新報 岩滝
――ソチの後に仙台市内でパレードがありました。今回も検討していますが、パレードへの期待や、メッセージはありますか?
羽生
ぜひ、仙台でお金を落としてください(笑)
やっぱりパレードをするにはたくさんの費用がかかって、そして、どれだけ特別な支援があってのことかって事は非常にわかっています。
それを強く分かっているからこそ、ぜひ仙台に足繁く・・とは言わないんですけど、仙台に通っていただいて、来ていただいて、是非その杜の都の良さ、そしてそこで何かを買って頂いたり、そこで何かを見て頂いたりする事によって、ちょっとでも仙台の復興に、宮城の復興に携われたらいいなという風にも思っています。
会員 元田
――金メダルを取った時にけがをしていなかったら取れなかったと仰られた、それがどういう事なのかもう少し噛み砕いて教えて下さい。
羽生
はい。えーと、(話を)手早くなんだよね・・。
実は、66年前に連覇をされたディック・バトンさんって方が僕にメッセージを送って下さってて、そのメッセージが、「リラックス」だったり、楽しめ・・「オリンピックの経験を楽しめ」というものだったんですけれども。彼自身、練習をし過ぎて、いい演技ができなかったという風に語っています。
もしかしたらですけれども、僕がけがをしないで万全な状態でオリンピックに向かっていたら、そういう風になり得たんではないかなという風にも思っています。「オリンピックで絶対勝つ」という、こういう気持ちを凄くずっと思っていたからこそ、オリンピック直前にけがをしてしまったり、調子が悪くなって、で・・最終的にボロボロになってしまっていたかもしれないな、という気持ちを込めて、「けがをしなければ無かったかもしれない」という言葉に乗せました。
ニッポン放送 相葉
――モチベーションの変化について。オリンピックの後、4回転アクセルが唯一のモチベーションと発言がありました。自分の夢を突き詰めて、目指している自分になるフェーズは今回の金メダルで達成されて、別の部分のフェーズに移っていると感じますが?

羽生
間違いなく今回思ったことは、自分が幸せになった時に、たくさんの方々が幸せになって、そしてその幸せが還元されてまた自分に戻ってきて・・自分がこうやって笑うことによってみんなが笑ってくれる。そんななんか平和な世界・・じゃないですけど、そういう事は凄く感じました。
ただ、それはいつから感じたかって言われたらちょっと明確じゃないのでわかりません。もちろんオリンピックの前から感じていたのは確かだと思います。
それは多分、自分がけがをして一緒に苦しんでくれたファンの方々や家族だったり、自分のサポートメンバーがいたからだと思っていますし。やっぱり・・うん、これまで色々やって来て4回転アクセルとかね、今、色々言っていますけれども、なんかフェーズと言うよりもなんかいっつも徐々に徐々に・・うーん、何て言ったらいいか分からないけれど、さなぎが羽化して来てゆっくりゆっくり羽を伸ばしている段階。それが今の自分かなって思っています。
島田
――まだ羽を伸ばし切っていないという強い意思の表れですか?
羽生
あははは(笑)そうですね。それがすごくゆっくりなんだなと思います。なんか、時には雨に打たれて全然広げられない時があったりとか、そういうものが僕の人生かなって今思っています。
毎日放送 石田
――世界で一番という立場ですが、そうなると孤独みたいなものもついてくるのでは?孤独感を感じることは?どのように向き合っているか?
羽生
はい。じゃ、これは「ある」って言った方が面白いんですかね(笑)?
会場(笑)
へへへ(笑)えー、無くはないです。あるっていうのは・・あるっていう風にはもう言えないけれども、前はすごい孤独だなって、「ああ、誰もわかんないんだろうなこの気持ち」って思いながらやっていました。それは勿論ありました。特にこのオリンピックが終わって・・前回のオリンピックが終わって、それから色んな人にこうやって祝福されればされるほど、「ああ、自分の気持ちってどこにあるんだろう」ってそういうのは凄く思ってました。
みんなが、まわりがあんまりにも幸せになり過ぎてて、僕は・・僕の幸せはなんだろうって。僕が頑張ってきたものって本当に自分に還元されているのかなって、思うこともありました。
でも、今こうやってみんなに特別視されてて、やっぱり何だろう・・「ありがとう」とか、「おめでとう」とかそういう言葉って気持ちが込もってなかったとしても、例えその心の奥底では「このやろう」とか思ってたとしても、やっぱり素直に受け止めるとうれしくなったりするんですよね。
やっぱりそれってすごい幸せなものだと思うし。それが自分を通して世界に・・本当に自分は特別だなと思うのは、こうやって日本だけじゃなく世界に発信できる。それは、やっぱり1人の人間としてだけじゃなくてやっぱり自分がこういう特別な存在になれたからこそ、感じなければいけない使命かな、という風にも思っています。
島田
――まさに包容力ですね。ソチからの4年で、自らの中で「受け止める」ことは成長したという感じあります?
羽生
そうですね。あります。ただ、もちろんその「包容」っていうんですか?受け止める中でやっぱり嫌なことも受け止めたりとか、なんか凄くネガティブな方向に、ね・・受け止めたりって事はたくさんありました。今でもあります。もちろん今の方が多いのかも知れないけど(笑)
でもそういうのも含めて、やっぱり僕にはたくさんの味方がいて、たくさん信じて下さる方がいて。何よりも何よりも自信になっているのはやっぱりすごい実績のある方々が自分のことすごい褒めてて、で、今まで自分が夢みててこういう風になりたいって思っていた人が自分のことを認めて、「彼が本当のチャンピオンだ」とかって言ってくれるこの世界に対して感謝の気持ちしかないですね。うん。
フジテレビ 村山
――孤独との戦いという話もありましたが、我々から見たら手に入れたいものは全て手にしたと見えるが、プライベートでは家族を持ちたいとかパパになりたいとかそういう思いは?
羽生
あははは(笑)はあ~。あははは。これは・・うん、なんて答えたらいいのかがわかりません。
あの、ねえ・・やっぱりここまで応援して下さるファンが・・ファンの方がいて、えー、ファンじゃない方も今回はすごく応援して下さっていて、なんか家族を持ったらねえ・・それこそなんか「裏切られた!」とかって言われるかも知れないし。ふふふ(笑)・・アイドルじゃないですけど。
でも、ねえ、やっぱそうやって応援して下さる方がいるっていうのは凄くありがたいし、あのー、先ほど、ねえ・・普通の人から見たらですけども、僕からの目線じゃなくて!普通の人から見たら、もう手に入れられるもの全て手に入れただろうって。お金や名誉も地位も。
でも、僕にとってはそんなこと全然なくて、実はこうやって地位とか名誉とか、うーん、お金ももちろんそうですけど、結局飾られたものでしかなくて。
自分本来の気持ちとか夢とか、そういうものが全て「満足感に満たされているか?」と言われたらそんな事はないです。やっぱりこれからも一人の人間として普通に生きなければいけないし、たまに特別な存在としてこうやって色んなところに立って、座って、しゃべって、滑って、そういうことを皆さんと色々共有しながら生きなきゃいけない時間も多分あると思います。ただ、それは今しか出来ない事だし。色んな幸せ、色んな葛藤、そういうものを皆さんと分かち合える幸せっていうものを大事にしたいなと今思っています。
島田
――という事はまだしばらくは普通の幸せ、家庭を持つといった事より競技者としての幸せを更に極めると?
羽生
んー、競技者として・・とは言い切れないです。えー、何になるかは僕もわかってないし、何ができるかっていう事も明確には・・具体的になんとなくは思い描いてますけど、明確には何が出来るか分からないですし。ただ、言えることは、やっぱりこうやって金メダルを取って2連覇して帰ってきたっていうことがたくさんの方の幸せになっている事は間違いないし、それができるのが僕しかいなかったっていう事だと思っています。
個人会員 安部
――競技終了後、プーさんが投げ込まれたと思います。その行方は?

羽生
森に帰りました(笑)。
会場(笑)
羽生
あのー、凄くこの言葉は好きで、別にギャグとかじゃなくて「森に帰った」っていうのが一番ファンタジーでいいかなって思ってるんですけど。
個人会員 安部
――東京マラソンでは、設楽選手が一億円をもらいました。花束とかプーさんとかがお金であったらと私は思いましたが、どうですか?
羽生
あ~。ははは(笑)
いやあ、だって・・。正直、凄くリアルなこと言いますよ。だって・・、まず現地に来てくださっている方ってまずチケットを取るために相当なお金を使っていらっしゃると思いますし。
フィギュアスケート観戦って結構高いんですよ。だから、あのー、ファンの方の特集とか僕、結構されたりして見てもいるんですけど、本当に一部の方の声しか届いていない。それを凄く捻じ曲げた特集をする局もあるんですけど(笑)
会場(笑)
でも凄く言えることは、ファンの方々が全て来てる方々ではないので。見えない方のサポートっていうか、見えない方の応援も凄く大事にしたいなあっていう風には思っています。だから、ねえ・・だって高校生の方とか大学生の方とかそんな大金払って韓国に来れないし、何より倍率が凄く高いので。取りたいって言って予約しても取れなかった方もたくさんいると思うので。そういう方々にも感謝が届くような演技ができれば、幸せが届けられればという風に思っています。
だから、プーさんを買ったお金とかチケットを買ったお金とかが飛んでるっていう風に思ってます。経済が回ってるんだったらそれで十分です。へへへ(笑)
島田
――始まる前に揮毫(きごう)を書いてもらいました。「自分自身を貫く」と書いてくださいましたが、その心は?

羽生
昔、自分がオリンピックに行く前、夏なんですけど、今シーズンの夏なんですけど「いまを貫け」っていう風に自分に言葉を出しました。
それは、絶対にけがをしていないとは言えなかったし、けがじゃなくても病気だとか調子が悪かったりしたとしても、その「今」っていうものはやっぱり揺るぎないものなので、それを貫いてほしいというという風に思いました。
これは、自分・・羽生結弦のために書いたわけではなくて、羽生結弦がこれまで色々やってきた中でちょっとでもみなさんが夢を叶えるきっかけになるように書いたものです。
是非、あの、自分を貫いていると何かしら言われることは沢山あると思いますし。もちろん家族に心配されたり、逆に家族に文句云われたりとか、本当に信じてる人に裏切られたりもするかも知れません。ただ、そうやって自分自身を貫く事によって後悔は絶対しないと思います。その後悔をしない生き方をしてほしいなあと思って書きました。
島田
羽生さんからの世界への贈る言葉ということが分かりました。
恒例の記念品の贈呈です。ネクタイこの色を羽生さん選ばれました。

羽生
地味だ。ふふふ。
島田
シックな大人の色調ですね。
羽生
そうですね。なんか間に青とか白とか入ってるんですけど、なんか凄くスケートっぽくていいなって思って選ばさせて頂きました。
ありがとうございます。
(会場全体へ)
ありがとうございました。またよろしくお願いします。
☆☆☆☆☆☆
このパートが一番、羽生くんの心の中が垣間見えて
どきっとするところが多くありました。
平昌にいた時に会見で「嫌われたくない」という
本心を打ち明けていましたが
ここでも嫌な事を受け止めたという言葉が。
ANAの報告会でも「バッシング」という言葉が出ていました。
そして、一番気になったのが原文に無いこの部分・・
もちろん家族に心配されたり、逆に家族に文句云われたりとか、本当に信じてる人に裏切られたりもするかも知れません。
家族に心配される、家族に文句云われる
そういう事はあった事でしょうね。
だったら「本当に信じてる人に裏切られた」も
羽生くんが経験した事を言っているのかな?
そうだったら・・(´;ω;`)
ただ、逆に力強い言葉も増えて
たくさん信じてくれる人がいるとか
僕にはたくさんの味方がいるとか
そういう言葉も発しています。
ソチのあと変わって行った心境も話してくれています。
成長の過程を「羽化して羽をのばしている様」に
例えたところは美しかったです。
自分の気持ちや自分がやった事だけを言うのではなくて
いつも必ず回りの人や、ファンや、被災地の人の事が絡み、
みんなが幸せであって欲しいという気持ちが伝わって来ます。
バッシングなどについて急に口にし始めたのは
それについてたくさんの人に知って欲しい
ファンじゃない一般の人たちも自分に注目している今だからこそ
多くの人に知ってもらってその事を考えて欲しい
そして、最終的にはそういう不毛な争い事がなくなり
みんなが幸せになって欲しいんじゃないかなと思います。
この会見、これまで抱えていたものを
結構言ってやったっていう感じがありつつ
しっかりとした答えを即座に出して行くところが
さすがだなあとしか言えません。
“地に足がついた妖精”って誰でしたか・・言っていましたね。
今までで一番ぴったりな表現!
うまい~~
あと、別の会見で、他競技で見てて面白かったものを聞かれて、
「カーリングと、パシュートと、スキージャンプと・・」って
その場にいた全選手の競技を上げたのなんか、
「旅館の名女将のような気づかい」
ってネットで言われてました(笑)
羽生くんは、本当に身も心も端正な人だなって
そう思います
◆写真は動画からのスクショです。ありがとうございました。

ヤフーニュースの原文を元に加筆修正しています。
まとまって抜けてるというか、省かれてる?部分は赤字にしています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180227-00010007-houdouk-spo
(ニュース原文)
https://youtu.be/yYVyJH4nkPw
(元動画)
司会 : 島田
時間が少なくなって来ました。はい、その後ろのかた。

羽生
さらっと答えられるようにがんばります・・。
河北新報 岩滝
――ソチの後に仙台市内でパレードがありました。今回も検討していますが、パレードへの期待や、メッセージはありますか?
羽生
ぜひ、仙台でお金を落としてください(笑)
やっぱりパレードをするにはたくさんの費用がかかって、そして、どれだけ特別な支援があってのことかって事は非常にわかっています。
それを強く分かっているからこそ、ぜひ仙台に足繁く・・とは言わないんですけど、仙台に通っていただいて、来ていただいて、是非その杜の都の良さ、そしてそこで何かを買って頂いたり、そこで何かを見て頂いたりする事によって、ちょっとでも仙台の復興に、宮城の復興に携われたらいいなという風にも思っています。
会員 元田
――金メダルを取った時にけがをしていなかったら取れなかったと仰られた、それがどういう事なのかもう少し噛み砕いて教えて下さい。
羽生
はい。えーと、(話を)手早くなんだよね・・。
実は、66年前に連覇をされたディック・バトンさんって方が僕にメッセージを送って下さってて、そのメッセージが、「リラックス」だったり、楽しめ・・「オリンピックの経験を楽しめ」というものだったんですけれども。彼自身、練習をし過ぎて、いい演技ができなかったという風に語っています。
もしかしたらですけれども、僕がけがをしないで万全な状態でオリンピックに向かっていたら、そういう風になり得たんではないかなという風にも思っています。「オリンピックで絶対勝つ」という、こういう気持ちを凄くずっと思っていたからこそ、オリンピック直前にけがをしてしまったり、調子が悪くなって、で・・最終的にボロボロになってしまっていたかもしれないな、という気持ちを込めて、「けがをしなければ無かったかもしれない」という言葉に乗せました。
ニッポン放送 相葉
――モチベーションの変化について。オリンピックの後、4回転アクセルが唯一のモチベーションと発言がありました。自分の夢を突き詰めて、目指している自分になるフェーズは今回の金メダルで達成されて、別の部分のフェーズに移っていると感じますが?

羽生
間違いなく今回思ったことは、自分が幸せになった時に、たくさんの方々が幸せになって、そしてその幸せが還元されてまた自分に戻ってきて・・自分がこうやって笑うことによってみんなが笑ってくれる。そんななんか平和な世界・・じゃないですけど、そういう事は凄く感じました。
ただ、それはいつから感じたかって言われたらちょっと明確じゃないのでわかりません。もちろんオリンピックの前から感じていたのは確かだと思います。
それは多分、自分がけがをして一緒に苦しんでくれたファンの方々や家族だったり、自分のサポートメンバーがいたからだと思っていますし。やっぱり・・うん、これまで色々やって来て4回転アクセルとかね、今、色々言っていますけれども、なんかフェーズと言うよりもなんかいっつも徐々に徐々に・・うーん、何て言ったらいいか分からないけれど、さなぎが羽化して来てゆっくりゆっくり羽を伸ばしている段階。それが今の自分かなって思っています。
島田
――まだ羽を伸ばし切っていないという強い意思の表れですか?
羽生
あははは(笑)そうですね。それがすごくゆっくりなんだなと思います。なんか、時には雨に打たれて全然広げられない時があったりとか、そういうものが僕の人生かなって今思っています。
毎日放送 石田
――世界で一番という立場ですが、そうなると孤独みたいなものもついてくるのでは?孤独感を感じることは?どのように向き合っているか?
羽生
はい。じゃ、これは「ある」って言った方が面白いんですかね(笑)?
会場(笑)
へへへ(笑)えー、無くはないです。あるっていうのは・・あるっていう風にはもう言えないけれども、前はすごい孤独だなって、「ああ、誰もわかんないんだろうなこの気持ち」って思いながらやっていました。それは勿論ありました。特にこのオリンピックが終わって・・前回のオリンピックが終わって、それから色んな人にこうやって祝福されればされるほど、「ああ、自分の気持ちってどこにあるんだろう」ってそういうのは凄く思ってました。
みんなが、まわりがあんまりにも幸せになり過ぎてて、僕は・・僕の幸せはなんだろうって。僕が頑張ってきたものって本当に自分に還元されているのかなって、思うこともありました。
でも、今こうやってみんなに特別視されてて、やっぱり何だろう・・「ありがとう」とか、「おめでとう」とかそういう言葉って気持ちが込もってなかったとしても、例えその心の奥底では「このやろう」とか思ってたとしても、やっぱり素直に受け止めるとうれしくなったりするんですよね。
やっぱりそれってすごい幸せなものだと思うし。それが自分を通して世界に・・本当に自分は特別だなと思うのは、こうやって日本だけじゃなく世界に発信できる。それは、やっぱり1人の人間としてだけじゃなくてやっぱり自分がこういう特別な存在になれたからこそ、感じなければいけない使命かな、という風にも思っています。
島田
――まさに包容力ですね。ソチからの4年で、自らの中で「受け止める」ことは成長したという感じあります?
羽生
そうですね。あります。ただ、もちろんその「包容」っていうんですか?受け止める中でやっぱり嫌なことも受け止めたりとか、なんか凄くネガティブな方向に、ね・・受け止めたりって事はたくさんありました。今でもあります。もちろん今の方が多いのかも知れないけど(笑)
でもそういうのも含めて、やっぱり僕にはたくさんの味方がいて、たくさん信じて下さる方がいて。何よりも何よりも自信になっているのはやっぱりすごい実績のある方々が自分のことすごい褒めてて、で、今まで自分が夢みててこういう風になりたいって思っていた人が自分のことを認めて、「彼が本当のチャンピオンだ」とかって言ってくれるこの世界に対して感謝の気持ちしかないですね。うん。
フジテレビ 村山
――孤独との戦いという話もありましたが、我々から見たら手に入れたいものは全て手にしたと見えるが、プライベートでは家族を持ちたいとかパパになりたいとかそういう思いは?
羽生
あははは(笑)はあ~。あははは。これは・・うん、なんて答えたらいいのかがわかりません。
あの、ねえ・・やっぱりここまで応援して下さるファンが・・ファンの方がいて、えー、ファンじゃない方も今回はすごく応援して下さっていて、なんか家族を持ったらねえ・・それこそなんか「裏切られた!」とかって言われるかも知れないし。ふふふ(笑)・・アイドルじゃないですけど。
でも、ねえ、やっぱそうやって応援して下さる方がいるっていうのは凄くありがたいし、あのー、先ほど、ねえ・・普通の人から見たらですけども、僕からの目線じゃなくて!普通の人から見たら、もう手に入れられるもの全て手に入れただろうって。お金や名誉も地位も。
でも、僕にとってはそんなこと全然なくて、実はこうやって地位とか名誉とか、うーん、お金ももちろんそうですけど、結局飾られたものでしかなくて。
自分本来の気持ちとか夢とか、そういうものが全て「満足感に満たされているか?」と言われたらそんな事はないです。やっぱりこれからも一人の人間として普通に生きなければいけないし、たまに特別な存在としてこうやって色んなところに立って、座って、しゃべって、滑って、そういうことを皆さんと色々共有しながら生きなきゃいけない時間も多分あると思います。ただ、それは今しか出来ない事だし。色んな幸せ、色んな葛藤、そういうものを皆さんと分かち合える幸せっていうものを大事にしたいなと今思っています。
島田
――という事はまだしばらくは普通の幸せ、家庭を持つといった事より競技者としての幸せを更に極めると?
羽生
んー、競技者として・・とは言い切れないです。えー、何になるかは僕もわかってないし、何ができるかっていう事も明確には・・具体的になんとなくは思い描いてますけど、明確には何が出来るか分からないですし。ただ、言えることは、やっぱりこうやって金メダルを取って2連覇して帰ってきたっていうことがたくさんの方の幸せになっている事は間違いないし、それができるのが僕しかいなかったっていう事だと思っています。
個人会員 安部
――競技終了後、プーさんが投げ込まれたと思います。その行方は?

羽生
森に帰りました(笑)。
会場(笑)
羽生
あのー、凄くこの言葉は好きで、別にギャグとかじゃなくて「森に帰った」っていうのが一番ファンタジーでいいかなって思ってるんですけど。
個人会員 安部
――東京マラソンでは、設楽選手が一億円をもらいました。花束とかプーさんとかがお金であったらと私は思いましたが、どうですか?
羽生
あ~。ははは(笑)
いやあ、だって・・。正直、凄くリアルなこと言いますよ。だって・・、まず現地に来てくださっている方ってまずチケットを取るために相当なお金を使っていらっしゃると思いますし。
フィギュアスケート観戦って結構高いんですよ。だから、あのー、ファンの方の特集とか僕、結構されたりして見てもいるんですけど、本当に一部の方の声しか届いていない。それを凄く捻じ曲げた特集をする局もあるんですけど(笑)
会場(笑)
でも凄く言えることは、ファンの方々が全て来てる方々ではないので。見えない方のサポートっていうか、見えない方の応援も凄く大事にしたいなあっていう風には思っています。だから、ねえ・・だって高校生の方とか大学生の方とかそんな大金払って韓国に来れないし、何より倍率が凄く高いので。取りたいって言って予約しても取れなかった方もたくさんいると思うので。そういう方々にも感謝が届くような演技ができれば、幸せが届けられればという風に思っています。
だから、プーさんを買ったお金とかチケットを買ったお金とかが飛んでるっていう風に思ってます。経済が回ってるんだったらそれで十分です。へへへ(笑)
島田
――始まる前に揮毫(きごう)を書いてもらいました。「自分自身を貫く」と書いてくださいましたが、その心は?

羽生
昔、自分がオリンピックに行く前、夏なんですけど、今シーズンの夏なんですけど「いまを貫け」っていう風に自分に言葉を出しました。
それは、絶対にけがをしていないとは言えなかったし、けがじゃなくても病気だとか調子が悪かったりしたとしても、その「今」っていうものはやっぱり揺るぎないものなので、それを貫いてほしいというという風に思いました。
これは、自分・・羽生結弦のために書いたわけではなくて、羽生結弦がこれまで色々やってきた中でちょっとでもみなさんが夢を叶えるきっかけになるように書いたものです。
是非、あの、自分を貫いていると何かしら言われることは沢山あると思いますし。もちろん家族に心配されたり、逆に家族に文句云われたりとか、本当に信じてる人に裏切られたりもするかも知れません。ただ、そうやって自分自身を貫く事によって後悔は絶対しないと思います。その後悔をしない生き方をしてほしいなあと思って書きました。
島田
羽生さんからの世界への贈る言葉ということが分かりました。
恒例の記念品の贈呈です。ネクタイこの色を羽生さん選ばれました。


羽生
地味だ。ふふふ。
島田
シックな大人の色調ですね。
羽生
そうですね。なんか間に青とか白とか入ってるんですけど、なんか凄くスケートっぽくていいなって思って選ばさせて頂きました。
ありがとうございます。
(会場全体へ)
ありがとうございました。またよろしくお願いします。
☆☆☆☆☆☆
このパートが一番、羽生くんの心の中が垣間見えて
どきっとするところが多くありました。
平昌にいた時に会見で「嫌われたくない」という
本心を打ち明けていましたが
ここでも嫌な事を受け止めたという言葉が。
ANAの報告会でも「バッシング」という言葉が出ていました。
そして、一番気になったのが原文に無いこの部分・・
もちろん家族に心配されたり、逆に家族に文句云われたりとか、本当に信じてる人に裏切られたりもするかも知れません。
家族に心配される、家族に文句云われる
そういう事はあった事でしょうね。
だったら「本当に信じてる人に裏切られた」も
羽生くんが経験した事を言っているのかな?
そうだったら・・(´;ω;`)
ただ、逆に力強い言葉も増えて
たくさん信じてくれる人がいるとか
僕にはたくさんの味方がいるとか
そういう言葉も発しています。
ソチのあと変わって行った心境も話してくれています。
成長の過程を「羽化して羽をのばしている様」に
例えたところは美しかったです。
自分の気持ちや自分がやった事だけを言うのではなくて
いつも必ず回りの人や、ファンや、被災地の人の事が絡み、
みんなが幸せであって欲しいという気持ちが伝わって来ます。
バッシングなどについて急に口にし始めたのは
それについてたくさんの人に知って欲しい
ファンじゃない一般の人たちも自分に注目している今だからこそ
多くの人に知ってもらってその事を考えて欲しい
そして、最終的にはそういう不毛な争い事がなくなり
みんなが幸せになって欲しいんじゃないかなと思います。
この会見、これまで抱えていたものを
結構言ってやったっていう感じがありつつ
しっかりとした答えを即座に出して行くところが
さすがだなあとしか言えません。
“地に足がついた妖精”って誰でしたか・・言っていましたね。
今までで一番ぴったりな表現!

うまい~~

あと、別の会見で、他競技で見てて面白かったものを聞かれて、
「カーリングと、パシュートと、スキージャンプと・・」って
その場にいた全選手の競技を上げたのなんか、
「旅館の名女将のような気づかい」
ってネットで言われてました(笑)
羽生くんは、本当に身も心も端正な人だなって
そう思います

◆写真は動画からのスクショです。ありがとうございました。