今年の24時間テレビのテーマは「告白」
羽生選手が喘息である事をテレビで話すのは初めてのことです。
けれど、羽生くんのその「告白」は喘息の子供たちだけではなく、
多くの人が捕らわれている、人と比べる事での悩みを
さらりと覆して見せた感動の名言でした。
前半のインタビューの部分を書き起こしました。
【2017/8/26放送 24時間テレビ「告白~勇気を出して伝えよう」】より
水卜アナウンサー
「さあ、続いては4年連続で24時間テレビに出演して下さっています、フィギュアスケートの羽生結弦選手。今年は、スーパースターの郷ひろみさんと一緒に夢のスペシャルショーです」
ソチオリンピック金メダリスト羽生結弦22歳。

(2012年9月フィンランディア杯)
4年前の試合で、ある異変が起きた。
演技冒頭から4回転ジャンプの大技を2回成功させた羽生だが・・

フィニッシュのあとリンクに倒れ込んでしまった。
羽生に何が起きたのか。
今回、初めてテレビで告白した。

羽生「こんにちはー」


羽生「(普段の)半分も息が吸えない感じ。酸素が、全然入って来ない感じにはなります」

羽生「いつも持ち歩いています。いつ発作が起きてもいいように」

羽生「2歳から喘息を持ってます」

子供の頃、喘息の発作が起きると夜も眠れず、幼稚園にはほとんど通えなかった。
成長するにつれ症状は改善されたが、今なお発作で練習が出来なくなる事も。
しかし羽生は、喘息を言い訳にはしない。


羽生「ま、苦しいは苦しいですけれども、僕ら喘息持ちの選手たちからしてみたら、多分それが普通なので」

羽生「自分が喘息持ちだから、こんなにも競技がしんどいとかそういう思いはほとんどなかったです、今まで」

日頃から、マスクをつけて予防薬を飲むなど、発作を防ぐため細心の注意を払っている。

だが、今年3月の世界選手権でも試合の2週間前、羽生は再び喘息の発作に襲われている。

羽生「痛くなるし、息吸えないし」

発作の事は伏せて試合に臨んだ。

演技冒頭は、羽生が世界で初めて成功させた4回転ループ。
次々と4回転ジャンプに挑んだ。疲れの出る演技後半にも。4回転を4度成功。喘息を感じさせない完璧な演技だった。

自らの世界最高点を塗り替え優勝。
喘息と向き合いながら世界で勝ち続けている。
そんな羽生選手と同じ境遇の少年がいると聞いて会いに来ました。
水卜「こんにちは~、はじめまして」

池葉宙(いけば そら)くん、中学1年生。
宙くんの部屋であるものを見つけました。

水卜「これ、見てもいいですか?」
宙くん「大丈夫です」
水卜「すごい」
宙くん「いや、全然すごくない」
水卜「うそ~」
宙くんは、フィギュアスケートのジュニア選手。
関東の大会で3位入賞を果たすなど、ひたむきにスケートと向き合っています。しかし、羽生選手と同じ喘息を患っているんです。
宙くん「咳き込んだりとか、呼吸がしにくくなったりとか」
4歳の時・・、苦しい咳で一睡もできない日々が続き病院へ。
医師「宙くんは、小児喘息です」
患者数は、国内だけで43万人以上。

この病気のため、小学校の運動会も出られたのは一度だけ。
でも、小学校4年生の時スケートをやりたいと自ら言って習い始めました。

影響を与えたのは、もちろん。
水卜「スケートを始めようとしたきっかけ、一番好きな選手は?」
宙くん「羽生結弦選手」
水卜「即答だもんね」

2014年、宙くんの地元、千葉県で行われたアイスショー。郷ひろみさんの名曲に乗せて滑る羽生選手を生で見て感動しました。
宙くん「すごいジャンプも高くてカッコ良かったです」
水卜「羽生選手の話している時本当に嬉しそうだもんね」
週に6日練習を頑張っている宙くん。
でも、喘息との闘いは終わりがありません。
お母様「息が出来なくなってリンクから上がってきてしまったりとか。続けて行くのが無理かなと思う事もたくさんあってですね」
そんな宙くんにエールを送るべく、あるプレゼントを。

水卜「今日は宙くんに見ていただきたいものがあるんです」
羽生(うん、うん)

羽生「見ていただきたいものがあるって!えへへ(笑)」

なんと、練習の拠点カナダに滞在中の羽生選手と、サプライズ生電話。
水卜「こちらでございます」

宙くん「!」

羽生「こんにちは、羽生結弦です」
宙くん「…ちは」

羽生「ははは(笑)びっくりしてるね」
羽生「どうしたらいいんだろうね、これね、緊張するよね」

宙くん「羽生選手のジャンプが好きです」
羽生「ああ、ありがとうございます。そっか、何のジャンプが好き?」
宙「トリプルアクセル」
羽生「お~、嬉しいね~」

一番得意なジャンプを誉められて嬉しそう。
水卜「喘息を元々持っていてそれをこう、一緒に闘いながら練習をしているそうなんです」

羽生「せきいっぱい出る?」
宙くん「はい」
羽生「つらいね。僕もそういう経験すごくあったし、今もあるんだけど」

羽生「みんなと違う経験してるかも知れないけど、、」

羽生「自分にとっては普通じゃない?」
宙くん「うん(笑)」

羽生「だから、別に人と比べる必要はないよ」


羽生「自分がそれが普通だと思うんなら、それを克服するためにいっぱい頑張ればいいと思います」
宙くん「はい」

羽生「今、何がんばってる所?」
宙くん「今は、ダブルトウループやってます」
羽生「ダブルトウループ頑張ってるんだ」

水卜「いつか宙くんと一緒に練習するなんて事もできるでしょうか?将来」
羽生「今度じゃあ帰った時にしましょう、ちょっとだけ。ね!」
水卜「今言ってくれたよね」
宙くん「それまでにダブルトウループを頑張って跳びます」

羽生「楽しみにしてます!」

羽生「バイバーイ」
水卜「どうでしたか?」

宙くん「カッコ良かったです!」
水卜「カッコ良かったね~。私に会った時そんなにテンション上がってなかったじゃん」

喘息は普通のこと。人と比べる必要はない。
その言葉は、宙くんの大きな励みとなった。
☆☆☆☆☆☆
この24時間テレビの羽生くんの言葉は、私自身にとっては
人生観を変えるような贈り物となりました。
生まれつき心臓に穴がある私ですが、そこそこの事は普通に出来てました。
でも、全然無理な事がありました。
それは、中学校からの、冬場の体育で学校の周りを走る1㎞ほどのマラソンです。
走り始めて200メートルほども行かないうちに、息苦しさと動悸で走れなくなり、あとはぜーぜーと荒い息で走るともいえない状態でゴールに向かいました。
それまで、100メートル走以上連続で走ったことなどありませんでした。
3回目か、4回目の授業で私は先生に「走れない」と訴えました。
先生は、「がんばろう」とか、「一緒に走ってあげるから」と言ってくれましたが、どうしても無理だと言うと先生は諦めて、あとから友達に聞くと「あの子は自分に負けた」と言っていたそうです。
先生は、私の病気を知りませんでした。
私も中学校からはみんなと同じようにしていいと言われていたので、「自分に負けた」って言われたら、そうなんだろうか?とも思い、この言葉はこれよりあとのあらゆる場面で心に食い込みました。
主に体力面で人と同じ事が出来ない時、出来ないのは身体のせいなのか、心の弱さに負けているからか判別がつかない。
そして、人と同じ事が出来ないから自分は人よりダメだと思っていました。
全ては「健康な事が当たり前」「出来て当たり前」だと思っていたからです!
けれど、羽生くんは喘息持ちで、苦しくて、でも
「自分にとってはそれが当たり前」
「人と比べる必要はない」
と言うので、びっくりしました。
そうなんだ・・自分にとっては人と同じように走れないのは当たり前。
人と同じほどの体力がないのが当たり前。
それを人と比べる必要はない。自分を責めることもない。
今まで、色んな方がこれと同じような事をテーマに話された事があったと思います。
けれど、羽生くんの言葉はスッと心に入って来ました。自分基準で自分の位置はゼロであっても、マイナスではないんです。
羽生くんの言葉にどれくらい励まされたか、本当にもうこんな話が聞けるなんて、感謝です。感謝しかありません。
その上で、羽生くんはそこからどうすれば良いかも教えてくれました。
「それを克服するためにいっぱい頑張ればいいと思う」
そう、みんなが出来ている事、私は少しずつ練習すれば良かったのかなって思いました。
練習しても、出来るとは限らないけれど、
そうして準備する事が「みんなが出来る事」への近づき方だったんじゃないかと、今になって気がつきました。
ありがとう!
弱さを持っている人たちに、羽生くんの言葉も行動も物凄い勇気と希望を与えてくれました。
羽生選手!
本当にありがとうございました!


◆写真は自宅テレビの画面撮りです。

羽生選手が喘息である事をテレビで話すのは初めてのことです。
けれど、羽生くんのその「告白」は喘息の子供たちだけではなく、
多くの人が捕らわれている、人と比べる事での悩みを
さらりと覆して見せた感動の名言でした。
前半のインタビューの部分を書き起こしました。
【2017/8/26放送 24時間テレビ「告白~勇気を出して伝えよう」】より
水卜アナウンサー
「さあ、続いては4年連続で24時間テレビに出演して下さっています、フィギュアスケートの羽生結弦選手。今年は、スーパースターの郷ひろみさんと一緒に夢のスペシャルショーです」
ソチオリンピック金メダリスト羽生結弦22歳。

(2012年9月フィンランディア杯)
4年前の試合で、ある異変が起きた。
演技冒頭から4回転ジャンプの大技を2回成功させた羽生だが・・

フィニッシュのあとリンクに倒れ込んでしまった。
羽生に何が起きたのか。
今回、初めてテレビで告白した。

羽生「こんにちはー」


羽生「(普段の)半分も息が吸えない感じ。酸素が、全然入って来ない感じにはなります」

羽生「いつも持ち歩いています。いつ発作が起きてもいいように」

羽生「2歳から喘息を持ってます」

子供の頃、喘息の発作が起きると夜も眠れず、幼稚園にはほとんど通えなかった。
成長するにつれ症状は改善されたが、今なお発作で練習が出来なくなる事も。
しかし羽生は、喘息を言い訳にはしない。


羽生「ま、苦しいは苦しいですけれども、僕ら喘息持ちの選手たちからしてみたら、多分それが普通なので」

羽生「自分が喘息持ちだから、こんなにも競技がしんどいとかそういう思いはほとんどなかったです、今まで」

日頃から、マスクをつけて予防薬を飲むなど、発作を防ぐため細心の注意を払っている。

だが、今年3月の世界選手権でも試合の2週間前、羽生は再び喘息の発作に襲われている。

羽生「痛くなるし、息吸えないし」

発作の事は伏せて試合に臨んだ。

演技冒頭は、羽生が世界で初めて成功させた4回転ループ。
次々と4回転ジャンプに挑んだ。疲れの出る演技後半にも。4回転を4度成功。喘息を感じさせない完璧な演技だった。

自らの世界最高点を塗り替え優勝。
喘息と向き合いながら世界で勝ち続けている。
そんな羽生選手と同じ境遇の少年がいると聞いて会いに来ました。
水卜「こんにちは~、はじめまして」

池葉宙(いけば そら)くん、中学1年生。
宙くんの部屋であるものを見つけました。

水卜「これ、見てもいいですか?」
宙くん「大丈夫です」
水卜「すごい」
宙くん「いや、全然すごくない」
水卜「うそ~」
宙くんは、フィギュアスケートのジュニア選手。
関東の大会で3位入賞を果たすなど、ひたむきにスケートと向き合っています。しかし、羽生選手と同じ喘息を患っているんです。
宙くん「咳き込んだりとか、呼吸がしにくくなったりとか」
4歳の時・・、苦しい咳で一睡もできない日々が続き病院へ。
医師「宙くんは、小児喘息です」
患者数は、国内だけで43万人以上。

この病気のため、小学校の運動会も出られたのは一度だけ。
でも、小学校4年生の時スケートをやりたいと自ら言って習い始めました。

影響を与えたのは、もちろん。
水卜「スケートを始めようとしたきっかけ、一番好きな選手は?」
宙くん「羽生結弦選手」
水卜「即答だもんね」

2014年、宙くんの地元、千葉県で行われたアイスショー。郷ひろみさんの名曲に乗せて滑る羽生選手を生で見て感動しました。
宙くん「すごいジャンプも高くてカッコ良かったです」
水卜「羽生選手の話している時本当に嬉しそうだもんね」
週に6日練習を頑張っている宙くん。
でも、喘息との闘いは終わりがありません。
お母様「息が出来なくなってリンクから上がってきてしまったりとか。続けて行くのが無理かなと思う事もたくさんあってですね」
そんな宙くんにエールを送るべく、あるプレゼントを。

水卜「今日は宙くんに見ていただきたいものがあるんです」
羽生(うん、うん)

羽生「見ていただきたいものがあるって!えへへ(笑)」

なんと、練習の拠点カナダに滞在中の羽生選手と、サプライズ生電話。
水卜「こちらでございます」

宙くん「!」

羽生「こんにちは、羽生結弦です」
宙くん「…ちは」

羽生「ははは(笑)びっくりしてるね」
羽生「どうしたらいいんだろうね、これね、緊張するよね」

宙くん「羽生選手のジャンプが好きです」
羽生「ああ、ありがとうございます。そっか、何のジャンプが好き?」
宙「トリプルアクセル」
羽生「お~、嬉しいね~」

一番得意なジャンプを誉められて嬉しそう。
水卜「喘息を元々持っていてそれをこう、一緒に闘いながら練習をしているそうなんです」

羽生「せきいっぱい出る?」
宙くん「はい」
羽生「つらいね。僕もそういう経験すごくあったし、今もあるんだけど」

羽生「みんなと違う経験してるかも知れないけど、、」

羽生「自分にとっては普通じゃない?」
宙くん「うん(笑)」

羽生「だから、別に人と比べる必要はないよ」


羽生「自分がそれが普通だと思うんなら、それを克服するためにいっぱい頑張ればいいと思います」
宙くん「はい」

羽生「今、何がんばってる所?」
宙くん「今は、ダブルトウループやってます」
羽生「ダブルトウループ頑張ってるんだ」

水卜「いつか宙くんと一緒に練習するなんて事もできるでしょうか?将来」
羽生「今度じゃあ帰った時にしましょう、ちょっとだけ。ね!」
水卜「今言ってくれたよね」
宙くん「それまでにダブルトウループを頑張って跳びます」

羽生「楽しみにしてます!」

羽生「バイバーイ」
水卜「どうでしたか?」

宙くん「カッコ良かったです!」
水卜「カッコ良かったね~。私に会った時そんなにテンション上がってなかったじゃん」

喘息は普通のこと。人と比べる必要はない。
その言葉は、宙くんの大きな励みとなった。
☆☆☆☆☆☆
この24時間テレビの羽生くんの言葉は、私自身にとっては
人生観を変えるような贈り物となりました。
生まれつき心臓に穴がある私ですが、そこそこの事は普通に出来てました。
でも、全然無理な事がありました。
それは、中学校からの、冬場の体育で学校の周りを走る1㎞ほどのマラソンです。
走り始めて200メートルほども行かないうちに、息苦しさと動悸で走れなくなり、あとはぜーぜーと荒い息で走るともいえない状態でゴールに向かいました。
それまで、100メートル走以上連続で走ったことなどありませんでした。
3回目か、4回目の授業で私は先生に「走れない」と訴えました。
先生は、「がんばろう」とか、「一緒に走ってあげるから」と言ってくれましたが、どうしても無理だと言うと先生は諦めて、あとから友達に聞くと「あの子は自分に負けた」と言っていたそうです。
先生は、私の病気を知りませんでした。
私も中学校からはみんなと同じようにしていいと言われていたので、「自分に負けた」って言われたら、そうなんだろうか?とも思い、この言葉はこれよりあとのあらゆる場面で心に食い込みました。
主に体力面で人と同じ事が出来ない時、出来ないのは身体のせいなのか、心の弱さに負けているからか判別がつかない。
そして、人と同じ事が出来ないから自分は人よりダメだと思っていました。
全ては「健康な事が当たり前」「出来て当たり前」だと思っていたからです!
けれど、羽生くんは喘息持ちで、苦しくて、でも
「自分にとってはそれが当たり前」
「人と比べる必要はない」
と言うので、びっくりしました。
そうなんだ・・自分にとっては人と同じように走れないのは当たり前。
人と同じほどの体力がないのが当たり前。
それを人と比べる必要はない。自分を責めることもない。
今まで、色んな方がこれと同じような事をテーマに話された事があったと思います。
けれど、羽生くんの言葉はスッと心に入って来ました。自分基準で自分の位置はゼロであっても、マイナスではないんです。
羽生くんの言葉にどれくらい励まされたか、本当にもうこんな話が聞けるなんて、感謝です。感謝しかありません。
その上で、羽生くんはそこからどうすれば良いかも教えてくれました。
「それを克服するためにいっぱい頑張ればいいと思う」
そう、みんなが出来ている事、私は少しずつ練習すれば良かったのかなって思いました。
練習しても、出来るとは限らないけれど、
そうして準備する事が「みんなが出来る事」への近づき方だったんじゃないかと、今になって気がつきました。
ありがとう!
弱さを持っている人たちに、羽生くんの言葉も行動も物凄い勇気と希望を与えてくれました。
羽生選手!
本当にありがとうございました!



◆写真は自宅テレビの画面撮りです。