
世界の頂点に上り詰めた瞬間、羽生さんは意外な言葉を口にしました。



羽「こうやってオリンピックのゴールド・メダリストになれたかも知れないですけれども」


羽「(被災地の)復興に直接手助けになる訳ではないので」

羽「あの、すごい…凄い無力感と言うかそういうものも凄い感じますし」

羽「何も出来てないんだなって感じもちょっとします」

あれから、4ヶ月。



羽生さんは被災したリンクに再び立ち、“花は咲く”を舞う決断をしました。





羽「(被災地のために)自分が何が出来たんだろうってのを、凄い今まで感じてました」

羽「まあ今も感じてますし」

羽「ただ、こうやって少しでもその被災地のためになる活動をこうやって出来るのであれば」

羽「あの、どんどんして行きたいなと言う風に思ってたので、いいきっかけになったなあと言う風に思ってます」

振り付けは、仙台で活動を行っている安部奈々美さん。
羽生さんを小学生の時から指導して来ました。


安部「見た?」
羽「はい、見ました」
安部「どんなイメージだった?最初聞いて」

羽「歌詞のイメージですけど」
安部「うん」

羽「取り敢えずなんか、過去を振り返ってるのと、けっこう今があるのと」
安部「うん」

羽「でも、今はほんのちょっとで、どっちかと言うと未来」
安部「未来だよね」

羽「で最終的にはその、“決意に満ちた”とかって言うのもあるし」
安部「うん」

羽「なんか、しっかりと未来に向けて行ける」

羽「…ようなイメージかな?」
安部「素晴らしい」

羽「んふふふ(笑)」
安部「ふふふ(笑)」




演技は、傷ついた花を拾い上げるところから始まります。






この花は、震災の犠牲の象徴。


羽「最初っからもう、こう?」
安部「片手の方がいいかな?」


尊い犠牲に捧げる祈りです。




安部「この花に気持ちを込める感じで」

安部「“変わりたい”」

安部「“自分も”」

安部「“いた”で花の方見る感じ」

羽「こう来てー」



安部「花の方に意識を持っていく感じが欲しいから」

羽「はい」



羽「へっ


羽「思ったより近かった


羽「ははっはは(笑)」
☆☆☆☆☆☆
羽生くんにとって、震災はまだまだ全く終わっていない事を知った時は本当に胸が痛みました。
金メダリストになっても、それが直接手助けになっているわけではない、無力と言ったことも意外な発言でした。
皆が喜んでいる事との、この落差はどこからくる?
それは羽生くんが自分を個人だと思っている(いた)ところに理由がありそうだと思う。
羽生くんは好きなスケートをやって来ただけだと思っているけれど、その結果いつの間にか“個人”ではなく、圧倒的人気と影響力を誇る世界的スケーターと言う“公人”になっている自覚がなかった。
ソチ以降、激変した自身の状況にもかなり戸惑いを感じていたようです。
しかし羽生くんも最近は、それが自分の役割なんだと自覚が出てきたように思います。
自分を道具として使って欲しい、僕というネットワークを使って何かを発信して欲しいと言う発言はその自覚の表れだと思う。
あなたがいたから生まれている事がある。
あなたがいたから出来る事がある。
あなたと言う存在に心から感謝しています。
゚+。(*′∇`)。+゚