この時点で左足のトラブルはトップシークレット。
思い切って本人に訊ねてみた。

Q.今日けっこう足を気にしてましたよね。
羽「はい」
Q.ケガのことって放送終わったら言っても大丈夫何ですか?

羽「言わないかもなー。分かんないその…、言わないかも知れない」

羽「まあねあのー、グランプリシリーズですかね始まる前からちょっとずつ違和感感じてたんですけどね。
まあだんだん痛くなって来て」

羽「まあでも今ちゃんと歩けてるし(笑)
まあここまでしっかりやって来たんで本当にありがたいです」
Q.場所は左足の?
羽「左足ですね。足首…かな」

Q.自分って強い人間ですか
羽「いや弱いです。めちゃくちゃ弱いです。
弱いからこそそこで遮断しないと出来ないんですよ。そこまで持ってけないんですよ。
強ければ周りが何言おうと、周りがどんな環境であろうと関係なく自分を作り出せると思うんですよ。
ただ自分が作り出せない理由は多分弱いからだと思うんですよね」

Q.つらい時はどうやって乗り越えるんですか?
羽「なんも乗り越えようとしないです。辛いものは辛い。もう認めちゃう。
辛いからもうやりたくないんだったら、もうやめればいいし。それでいいと思ってます僕は」

世界選手権はアメリカ・ボストンで開かれた。
3月30日
世界選手権ショート



解説
「4回転のトゥーループ、トリプルトゥーループ!」
「決めた!!」
ショートプログラムは圧巻の滑り。

2位に大差をつけて首位に立つ。
優勝は確実に思えた。
だが。
4月1日。フリー。

解説
「4回転サルコウ」

解説「4回転サルコウ…で転倒ですねー」

フリーで大きく崩れ王座奪還は果たせなかった。

試合後。

コンコン!


インタビュアー
「お邪魔します」
羽「はいっ」
羽生が語ってくれた胸の内。

世界選手権で惜しくも2位に終わった羽生結弦。
もう来期を見据えていた。
羽「はっきり言って僕はもうこのままでは絶対終わらないし。
もう本当に次の目標に向けて。自分の結果どうのこうのじゃなくて。自分の理想、自分がしたい事、自分のスケートをもっと高めたいなと思ってます」

羽「もうだから全部スケートに活かしたいって。もうあのースケートと自分の生活って言うのは割り切れないけれども。割り切らなきゃいけない所も多分あると思うんで」

羽「もう本当にそのメリハリをしっかりつけて、自分の中でもそのスケートと言うものを心から楽しめたらなと思います」
インタビュアー
「これからも頑張って下さい」

羽「ありがとうございます」
インタビュアー
「ありがとうございました」

羽「はいっ」

進化を続ける21歳。
目の前には誰も見たことのない荒野が広がっている。



☆☆☆☆☆☆
羽生くんがケガの事を言わないのは、我慢強いからだとか、ケガを言い訳にしたくないからだとかの積極的な姿勢から来るのだと思っていました。
でも周りの声が気になるから言わない、その声に影響されるから言わないという消極的理由もあるのだと知って、それはちょっとした驚きでした。
しかも、もうそれは羽生くんの中ではしっかり自己分析が出来ている問題で。
辛いものは辛い。
なんも乗り越えようとしない。
私が少し前に見た、ストレスの消し方と言う文章には確かに「辛い事を辛いと認める事でストレスを消せる」と書いてありました。
羽生くんはスポーツ科学とか、心理学とか勉強してるようだからそれを学んで実践しているのか、それとも実体験のなかから編み出したスキルなのか。
自己をどう扱うかに本当に長けた人だな、と思います。
困難にぶつかった時に、絶対に逃げ道を探さない。
受け止め、もがき苦しんでも今の自分に出来る最善以上の事をやる。
なかなか真似は出来ないけれども、とりあえず羽生くんが今までやって見せてくれたものを、苦しい時には思い出してます。
情熱大陸もっともっと見たかったな。
2時間くらいあっても良かったし、前後編でも良かったな~。
(*^_^*)