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・4才でスケートを始めた少年は、やがてオリンピックを志す

荒「1994年生まれでしょう」

羽「はい」

荒「だから多分初めてこう、意識をして見たオリンピックって言うのがソルトレイクシティ・オリンピック?」

羽「はい」

荒「実際に自分がオリンピックを目指し始めた、現実に捉え始めたって言うのはいつぐらいですか」

羽「あの頃スーパーファイナルとかってあったじゃないですか」

*2000-2001GPファイナル「スーパーファイナル」
上位二人が決勝戦(第2フリー)を行い最終順位が決定

羽「予選、ショート、フリー、で、最後になんかもう1個フリーがあってって言うのがあって」

荒「ファイナル…うん、フリー2回だった」

羽「そうそうそう。そう言うの見てて、先ずそう言うのに出たいな、ってずーっと思ってたんですけれども。ソルトレイクシティを見てから…絶対出たいなこの舞台って思い始めて。あの舞台はなんか全く違っててー。確かに試合数は、演技数は少ないかも知れないけれども、そこにかける思いの強さって言うのが、小さいながらも凄い感じてて。あ~、その舞台に絶対出たいなってずっと思ってました」

荒「オリンピックに、まだ出場する前の段階で感じるオリンピックの最大の魅力って何?」

羽「全ての選手がその4年間をかけてくる、本当に自分の競技人生を懸けてくるって言う所は、他の、まあ他の試合全ての選手が一生懸命で絶対やってると思うんですけれどもー、やっぱりオリンピックへの思いって言うのはやっぱり全然違うんだなって、あのー、周りの選手からは凄く感じます」

荒「そのー、初めてのオリンピックを、もうあと半年後に控えてる訳ですけどもー、今一番ソチオリンピックで目指している事?」

羽「やっぱり、あのー、僕の中でですけれども、確かにオリンピックは一つの試合としてある訳だし、そのシーズンは絶対4年間ずっとある訳でー、そのオリンピックのためだけにシーズンがある訳じゃないのでー、あのー、まあそれはそれで一つの試合としてしっかりやりたいなって言う思いもあるんですけれども、やっぱりそのオリンピックのためにその前の4年間があるって言う考えもあって。特に今シーズンなんかはやっぱり近いんで、凄い大事な、あのー、期間てなると思うんですけれどもやっぱり、あのー、そこまでの間を凄く大事にしたいなーって」

荒「ふーん」

羽「いつ抜かされるか分かんないし、いつ怪我して終わっちゃうかも分かんないし、やっぱり凄い色んなドラマがある試合だと思うので気を抜かないで一つ一つやって行きたいなって。その練習も試合も全て一つ一つクリアして行って、最終的にそこまでたどり着ける準備をしっかり出来てたら、もう、まあ、演技どうなるか分かんないけれども、もうそれで十分だなって多分思えると思います」

荒「今、18。オリンピックを19で」

羽「はい」

荒「迎えるにあたって多くの選手がね、年齢的にも集大成として捉えて臨む大会になりそうなんですけども」

羽「はい」

荒「羽生選手にとって、自分のスケートキャリアの中で今はどの辺りですか?真ん中を超えた辺りなのかー」

羽「(笑)あのー」

荒「感覚的に」

羽「やっぱりなんか全力でやりたいって思いが凄いあります」

荒「うん」

羽「その…まあこれで終わりじゃないですけれどもー、僕の人生これで終わる訳じゃないしー、こっから更に続いて行くって言えば続いて行くと思うんですけれどもー、オリンピックはあのー、ソチオリンピックって言うのは1回しかないから、だからそのソチオリンピックを凄く大事にして凄く全力でやりたいなって思ってます」

荒「うん」

羽「例えば僕がそのあと、平昌のオリンピックがあったり、そのあともう1個まあ出れる年齢ではあるのでー、もう1個出るとしたとしてもー、やっぱりそれは後悔の無い様にソチオリンピックはソチオリンピックで全力でやりたいなって、出れたら思ってます」


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・聞きたいことがいっぱい

羽「すごい聞きたいこといっぱいあるんですけど」

荒「あるんだ。いっぱいあるんだ」

羽「いっぱいあるんですけど」

荒「いいですよ」

羽「いいですか」

荒「もしあればー」

羽「やっぱり僕、オリンピック経験してないんでー。どんなものなのかなって言う、自分の中の不安って言うか、半信半疑と言うかそういうものが凄いあって。あの~何だろうな。練習の時にある程度あの、オリンピックって言うのが絶対意識してると思いますし、そのオリンピックシーズンって言うの凄い、なんかオリンピックに捕られちゃうような感じもあるじゃないですか」

荒「うん。捕らわれすぎちゃう、ね」

羽「だから、あの~、疲れちゃうんじゃないかなって思って。練習中も。オリンピックって考え過ぎちゃって。そういう時ってどうやってますか」

荒「考えないようにやっぱり抑えた」

羽「うんうん、そっかそっか」

荒「て、言うのもあるしー。後はシーズン始まってー、自分がどこにピークを持って行きたいかを、やっぱ勿論オリンピックに持って行きたいんだけど、ピークに持ってかない迄にしてもそこそこで闘わないと、全日本だったりその前だったりを抜け出せなかったりするのでー」

羽「そうですね、そうですね」

荒「そのやっぱバランスが凄く難しくて。凄い抑えて抑えてシーズンをスタートして入ったんだけれどもー、そうしたらファイナルまで行かなかった」

羽「うん」

荒「でもー、そこで焦って1戦目でもう3位だったから2戦目はもう1か2しか無かったの。ファイナル行く手段が」

羽「うん」

荒「だけどー、あんまりそこに捕らわれて、今上げようと、本来思ってなかった所で予想外に上げてしまうと、多分上がったと思うんだけれども違う所にまたピーク下がっちゃうだろうと思って」

羽「あ~」

荒「でー、全日本辺りでピークを持って来たくなかったんで」

羽「うんうん、そっか」

荒「だから自分の中で凄い葛藤あった。これでファイナルまでの道で上げなくて、逃して、逃し続けてたら本末転倒だとなってしまう」

羽「うーん」

荒「だから難しかった。オリンピック行っちゃった時は一番簡単で、行くまでのその作り方は凄く難しくて上手く行かなかったよね。そこまでは。いつでも崖っぷちの状態で」

羽「難しいなって思うのは、その全日本って、もの凄く大変なんですよね」

荒「ふーん」

羽「その確かにオリンピック取らなきゃいけないって思いがあるから、絶対そこで勝たなきゃいけないし、かと言って全日本とオリンピックの間って、結局2ヶ月位しかないから。そこの間で如何にピークを調整するかって、もう絶対下がる訳に行かないじゃないですか」

荒「そう。シーズンの過ごし方って難しいなって思ってた。そのオリンピックシーズンは。やっぱりその時にちょうど真央ちゃんなんかが出て来てー、で、ジュニアから上がって来る子って、大体もう9月頃でグランプリシリーズ入ってるから、ジュニアたちって。もう10月11月出来上がった状態で1戦目来るシーズンだったから。それを分かってて。で、また一緒のグランプリに当たってたんで、でも順位も取らなきゃいけないって言う中で、そのやっぱり上げ過ぎちゃって、自分が失速したくなかったって言うのがあって」

羽「あ~」

荒「自分でも抑えて行かなきゃいけないって言う。そのせめぎあいを自分の中でしている事と。あとは、周りがやっぱり、そう、順位が付いて来ない事によって反応して来るものに自分のメンタルのね、揺るがされる」

羽「うんうん」

荒「て言う事とのやっぱ自分自身がそれを理解して、自分自身を守って行かないといけない部分がありますし。やっぱり色んな事が起こるんだけども、自分がやっぱり考えて軸をぶらせてはいけないな、と。」

羽「あ~、うんうん」

荒「焦りに負けちゃいけない」

羽「抑えよう、って気持ちが絶対あるじゃないですか。で、僕なんか全然抑えるとか抑えないとかそんなの関係なくどんどんどんどん全力でずーっとやってって、で最終的に疲れて怪我してって言う。
調子下がったりしたらー、やっぱり悔しくなっちゃって凄い練習しようと思う事っ