私はすぐ自信を失う。あこがれだった通訳・翻訳の仕事を現在しているけど、すぐ自信がなくなる。
TOEICが900点以上でも、実際、外人とスラスラ流暢に会話なんてできない。
翻訳もいちいち辞書で調べないと訳せない。
ああ、自信がない。
周りには、ペラペラ、スラスラ外人としゃべれる日本人の人たちがいる。
ああ、私にはできない。
私は、帰国子女じゃないし、留学もしたことがない。
自信はなくても、翻訳はまだなんとかなる。
通訳は、できない。ほんと、できない。
それなのに通訳・翻訳者として働いている。
今は翻訳ばかりだけど、いつ、通訳を依頼されるかわからない。
ああ、できなかったらどうしよう。
ああ、あれもこれも英語で何て言うのかわからない。
心配だ。
自信なんてかけらもない。
おまけにこの気候で疲れて疲れて何もできない。
ああ、今したいのは寝ること。ゆっくりゆっくり休んでたくさん寝たいのだ。
会社が終わってから、電車に乗っていたら降り損ねて、遠くの駅まで行ってしまった。
降りたところは映画館のある駅。
ふと思いついて、L Change The Worldのレイトショーの券を買い、近所でラーメンを食べてから映画館へ戻って、飲み物とスナックを買って座席に座った。
平日のレイトショーだからお客が少なくて空気はきれいだった。お客もおばさんが大部分でおじさんが少し。
みんな松山ケンイチのファンなのか?
感動して笑ったり叫ぶおじさんがいて腹が立ったが振り返っておじさんのうれしそうにしている様子を見て怒りも消えた。
舞台挨拶などの画像で見る素顔は素朴な好青年といった感じの松山ケンイチだが、Lを演じているときはミステリアスで美しい。あのトレードマークの白いシャツ、白い顔、黒いアイシャドウ。スイーツをつかむときのあの指先の表現、猫背、あの話し方。役作りが素晴らしい。
これからどんなに大物の俳優になっていくか楽しみだ。
松山ケンイチには、他の俳優にない清潔さや誠実さ、温かさが感じられる。
1人で映画を見て、1人で帰宅した。ふとんの中で目をつぶるとLの姿が浮かんできた。