キンシャサの街にはストレート・チルドレンが多い。
キノワ(キンシャサの人々)は彼らのことをシェゲ(Cheguets)と呼ぶ。

キンシャサの街は慢性的な渋滞のため
車はしょっちゅう止まらなければならない。
そこをめがけて、走りよるのがシェゲの子供たちだ。
金をくれと、身振り手振りで車窓越しにおねだりをしてくる。

小銭をあげないで立ち去ろうとすると
車の後部を握り拳でドンとたたかれたりする。
かといって一度小銭を渡すと、車と人をよく覚えていて
翌日からそこを通るたびに子供たちに取り囲まれることになる。

彼らは一日中同じ場所でたむろしている。
学校に通っていないのだ。
ここでは小学校に通うために、月におよそ500~1,000コンゴフラン、
米ドルにして約1~2ドルの学費を払わなければならない。
政府が公務員である教師の給料を払えないので
代わりに父兄から授業料を徴収する必要があるのだ。
途中で払えなくなれば入学後でもすぐに放校処分になってしまう。

学費が払えない貧しい家に生まれた子供は
家の仕事を手伝うか、通りに出て物乞いをするようになる。
最近、シェゲはその数を増やしているように見える。

シェゲは5歳や10歳の子供に限らない。
20歳を超えた青年もいる。
何か騒ぎを起こしたい人間から見ると
シェゲはとても便利な、利用しやすい人間のようだ。
彼らに小額の駄賃をばら撒けば
大挙して抗議デモに参加するし、道路も封鎖する。
銃を持って戦うことすらあるのだ。

仮に命を落とすことがあっても、
貧しい親には子供の死を悲しむことくらいしかできない。
もともと身寄りのない子供も多い。

こうしたシェゲを、なんとかしようとする人もいる。
うちのメイドのナディーヌも
シェゲだった子供を一人養っている。
彼女は、街で金をせびってきたその子に対して
「子どもがそんなことをするもんじゃない」と説教した後
彼に身寄りがないのを知って、自分の養子にすることにしたという。

この国には、人間のあらゆる悲惨があると思うけど
それに真正面から向き合おうとする人たちもいる。
それがせめてもの救いだと思う。(M)