続あしながおじさん。原題は「Dear Enemy(親愛なる敵さま)」

アリス・ジーン・ウェブスター作、遠藤寿子訳(岩波少年文庫)

 

「あしながおじさん」のジュディの大学時代の親友、

サリー・マクブライドが主人公です。

大学を卒業して、結婚したジュディは、自分が育ったジョン・グリア孤児院を

改革しようとします。そして、新しい院長をお願いしたのが、サリーでした。

 

サリーは、大学卒業後、政治家ゴードン・ハロックと婚約していました。

でも、ジュディからの依頼を受けて、何もわからないまま、とにかくがんばろう!

と思って孤児院に乗り込みます。

 

孤児院の嘱託医、ドクトル(ドクターの古い言い方)・ロビン・マックレイ氏は、スコットランド人で、とても頑固。サリーとはぶつかってばかりです。

100人以上の孤児、古参のうるさい評議員、頑固なドクトル…

 

それでもサリーは、お嬢様育ちゆえの世間知らずを武器に、持ち前の

親切心と向上心で、次々と孤児院改革を行います。

気難し屋で人を寄せ付けないドクトル、でもサリーは避けずに、

「おはようございます、敵さま!」と呼んで、食い下がっていきます。

 

ギンガムチェック一種類しかなかった服を、

孤児たちが自分の好きな服を3着まで選べるようにしたり。

ドクトルと2人で、孤児院の食事を改善したり。

 

もちろん、孤児の反抗にあったり、うまくいかないこともあります。

仕事に煮詰まったとき、サリーはドクトルに電話をかけて、二人で近くの丘までピクニックに

行き、元気を取り戻すのでした。

 

ある事件が起きて、お互い惹かれあっていることに気付いたサリーとドクトル。

サリーの婚約者は?ドクトルの家庭は?

ある晩、孤児院が火事になり、取り残された孤児を助けるために、火の中へ飛び込んでゆくドクトル!そして…

 

これらのことが、サリーからジュディ、ゴードン、ドクトルにあてた手紙の形式で語られます。

もちろん、作者が描いたかわいい挿絵もあります。

 

私がこれを初めて読んだのは10歳くらいの時でした。もちろん、登場人物の心の動きはわからないことばかりでしたが、大人になった今、ああそういうことだったのか…と、腑に落ちることがあります。

 

Wikipediaには、この物語が書かれた当時、常識として通っていたが、今は否定されている精神疾患や遺伝問題への言及や、差別的表現が多いので、新訳の発刊は困難とあります。確かに、問題の部分があります。今、私たちが当然と思っていることも、100年たてばどうなるかわからないのだなあと感じます。

 

そして元気なサリーはずっと、私の憧れです。社会とは、仕事とは、人のつながりとは、なんて、子ども時代にはうすぼんやりとしかわからなかったけれど、こういうこともあるんだ…と、視野が広がった気がしたのでした。とても大事な本です。