青池保子先生の作品も大好きです。

NATOの軍人、エーベルバッハ少佐と、美を愛するエロイカ伯爵が

世界を股にかけて活躍する「エロイカより愛をこめて」

中世ドイツの修道院周辺で巻き起こる騒動を収めるために

元騎士の修道士が奔走する「修道士ファルコ」

どれも、ヨーロッパの映画を見ているように、面白いのです。

 

中でも、ずいぶん昔から、何度も読み込んだのが

「アルカサル―王城―」。

14世紀スペインの実在の王、ドン・ペドロの生涯を描いた作品です。

開始から完結まで24年と単行本の帯に書かれています。すごいなあ…

 

このころスペインは複数の国に分かれていて、ドン・ペドロは

カスティリア国王の正統な世継ぎとして生まれます。

しかし父王は、愛妾とその庶子たちとともに生活し、

ドン・ペドロは母とともに遠ざけられて成長します。

やがて王位を継いだ彼に、庶兄エンリケが反旗を翻し…

 

歴史の流れを忠実に追いながら、王様と最愛の妻マリア、

王に忠実な臣下たちの行動や心情が細やかに

描かれています。

 

時代も国も違うのに、とても魅力的に感じられます。

戦に明け暮れながらも、誇りと熱情を失わない王様。

王を慕い、支えようとする家族と臣下たちの姿。

 

最近、宝塚歌劇の演目として最初の部分が舞台化されました。