黄昏のアヴニール
クリアしました。
いろはなさん作。
40分程。
相変わらずプレイヤーを引き込む一連の流れがスムーズで美しい。
ツクトリで作ることの技術・それからお話作り・キャラ作りとしての技術がびっくりするぐらいに高くて驚きっぱなしでした。
だってね、色鮮やかなマップに動きがスムーズなキャラクター。
台詞回し、そこから感じられる世界観。
SEのタイミングや音量はまるでアニメを視聴しているみたい。
説明がいらない。キャラクターの言葉と動きが全てを理解させてくれる。
国の情勢、緊張感の描きかたも見事。
画面の移動や暗転の使い方も自然で観ていてどこにも「ひっかかり」がない。
つまりずっとスムーズに物語のなかにいられる。
全5話。起承転結も明確で、各話の中で構成される場面も集中が持つ適度な長さだなのもプレイヤーが引き込まれている要素の一つ。
本当見習いたいぐらいでした。
道中、二人が名前を呼びあうシーンが本当に素敵。その後の逃避行も。
時間の経過により、言動に二人の成長が感じられる。別々の場所、対立する場所にいても思いが通じ合っていて、未来に向けて行動するのも最高だ。
ただ、本質の部分は変わらないのもいい。寝坊するところとかね。
個人的にキャラクターの生の声、リアルな自分に向けた葛藤と願いの台詞が心に刺さる。
少しネタバレになるのだけれど
物語終盤シャルロットのシーン。
平和になりつつある国。獣人と人間の子供が仲良く遊んでいる様子をみての独白が最高。
以下台詞をそのまま抜き出します。
ネタバレ注意。
(・・・その未来に、
私もキトラといれたいいのに)
(でも・・・・)
(そう思っているのは・・・私だけかもしれない)
(このまま、
ずっと会うことができなかったとしても・・・)
(「どこかで元気に生きいてくれたら、
それだけで良い」)
(そんな風に思えない私は・・・)
(本当に・・・自分勝手な女だなぁ・・・・)
・・・ここまで。
最高ではないか。この葛藤がもうズバンっっと刺さる。本当にいいこだなぁ。
ここにはちゃんと自分の気持ちと、キトラへの思いが込められている。
いろはなさんの描く物語は『愛』に満ちている。
慈愛・友愛・或いは慈愛、いつくしむ心。
今回は恋愛の要素を、と聞いていた。
この描きかたも見事。「愛」であった。
物語序盤、前半から途中は恋。
シャルロットが逃避行で何を見ていたか、のあたりまで。それ以降がまさしく愛よ。
「好きになる」ではなく「愛する」とはどういうことか、が物語を通して描かれる。
そして、国のために奔走する人々も。
ジャーナリズムはこうあるべきだし、組合も。
そして、自分を知るということ。シャルロットの上の台詞と行動は「愛をなんぞや」と百万言語るより雄弁で説得力に満ちている。
キトラの逞しく精悍な成長も頼もしい。
序盤に見られた優しさはそのままに、強く大きくなった。過去の傷や葛藤に打ち勝ち、未来を見据える立派な男。シャルロットと同胞たちの未来を想う強さ故に手に入れることができたモノではなかろうか。
最後の再会。ようやく「おかえり」「ただいま」願いの成就。この台詞の重み。
感動だぁ・・・。
これからも二人で手を取り合い支えあってほしいと感じる物語でした。
「映画をみているようだ」がぴったりの、愛に満ちたお話。
是非とも皆様も手にとってくださいませ。
本当に面白かったです!
