辻村深月著、講談社文庫。

前回の「凍りのくじら」に続き、何気なく「ぼくのメジャースプーン」を買ったら、辻村氏の作品を読むオススメの順番、というチラシが挟まっていました。どうやら店員さんが作ったものらしく、「凍りのー」の次は、この「スロウハイツの神様」になっていました。

これがまた傑作でした。
上下巻という長編ですが、世界を把握し始めたら、続きが読みたくてしょうがなくなりました。いつもは読書時間は通勤電車の中が殆どなのに、今回は家でもわざわざ読んでしまった。

クリエイターたちが集まるスロウハイツには、超売れっ子の作家から、まだまだ卵の漫画家・作家まで、6人は相互に刺激しあいながら夢を叶えるべく暮らしている。それぞれに大事な秘密を抱えながら。この秘密が絡み合い、いい味を出していくんです。

悪意というものは世の中に溢れていて、人はいつだって苦しめられる。
でも、愛だってちゃんと存在しているのだ。

登場人物たちは、夢や人間に対してちゃんと考えを持っている、生きることに真面目。きっとそれは辻村さんの美学。ズルさを見せる人物に対して主人公が放つ、「それは、自分で手に入れなければならない」という言葉が印象的でした。

クライマックスで、どうしてこんなに泣けてしまうのか説明できませんでした。でもたぶん、これが愛だからなんだろうと思います。

もう一度、作中に絡められた伏線を探すために読み直したいです。