先日久しぶりに電車に乗った。

駅のホームで電車を待っていると、
改札の向こうにいる若いカップルがふと目に入った。
何だか帰るのが嫌なような、もっと傍に居たそうな、名残惜しそうな…
そんな雰囲気。

そして電車が発車する合図が聞こえた途端、
彼氏が慌てて改札に入り、猛ダッシュで電車に向かって走って行った。
そんな彼氏の後ろ姿を、電車が発車するまで寂しそうに彼女は見ていた。


何でもない光景だけど、まるで若い頃の自分たちのようで、
あんな頃もあったと懐かしくなった。

もはやあんな頃があったことを、すっかり忘れてた。

1秒でも傍に居たくて、帰りたくない、そんな気持ち。
今でもあの頃と変わらないつもりでいたけど、やっぱりもう違うと気付いた。
あんなに恋にうかれて。
ドキドキして明日が楽しみで眠れなくなるような、何の不安もない毎日。

どんな気持ちだったか、子育てに追われてもう忘れてしまった。
きっと彼もとうの昔に忘れてしまったんだろう。
いつまでもあの頃のままの気持ちでいたいのに。
恋愛と結婚はやはり違うから、無理なのかな。


忘れてしまった代わりに手に入れた気持ちは、一体何だったんだろう。

今夜も1人。
彼が私のことを思い出すことは、朝までないだろう。
連絡すら入れてこないんだから。
これがあの頃ならきっと、沢山メールをくれてたはずなのに。

おやすみなさい。