「義君。私も、皆みたいにもっと外見に気を遣った方がいいのかな?」

今年受験生の義君は、この辺でも進学校と誉れの高い高校を受験するらしく毎晩遅くまで勉強をしている。
そんな事気にせず、私は義君部屋によく入り浸っていたりする。
今もベッドに寝転びながら、勉強しているその背中に話しかけた。
解いていていた数学の問題から顔を上げ、
私の方に振り向いた義君は不思議そうな顔をする。

「急にどうしたの。何かあった?」

私は、入学してからこれまでの事を義君に話した。

「確かに、お前の友達目立ってるもんな。俺の学年でも有名だし。梨緒奈の友達はその事について何か言ってる?」

梓や美由宇は周りに私たちがどんな風に見られている事や、
私が自分の外見のせいで梓たちに負い目を持っている事を知っている。

だけど、二人は「気にする事ない」って何時も言ってくれる。
見た目で友達作ってるわけじゃないって何度も繰り返し言ってくれて、
変わらず友達をしてくれるのが、すごく嬉しい。

「周りの事なんて気にするな。お前や友達が良ければ、それで良いんだから。
 それに外見なんて見せかけなんだから、中身が伴わないと意味ないよ。
 梨緒奈は、自分が思った通りにすればいいんだ」

義君が言ってくれた事が嬉しかった。
私は、私だもんね。
見た目じゃないよね?

皆みたいに少しオシャレをしようか、って言ってみたものの自信がなかった。
ずっと自分の顔を隠して生活してた私にとって、今更顔を出したり、制服のスカート丈を短くするのは勇気がいる事だったから。
でも義君が、梓や美由宇が、私の大好きな人たちが分かってくれてるなら、良いと思える。

うん。無理する事ないよね。
私は、私だ。
気にする事ないし、まだこのままでいいんだ。

やっぱり、義君は私の大好きな人。
こんなにも、私の気持ちを軽くして、温かくしてくれる。
いつか、何時なんてはっきりわからないけど、
いつか、義君にこの気持ちを伝える事できたらいいな。



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