いつも夕食を終えてから息子と2人でガジュマルの散歩に行く。


息子の機嫌次第で散歩時間が変わってくるが、だいたい5分から20分くらいだ。


家の近くの公園でほぼ毎日顔を合わせるご婦人がいる。

わんこはガジュと同じ犬種で、いわゆる犬友さんだ。


息子を見て可愛いとかお利口さんだとか何かしら褒めてくれる。

褒められると嬉しい。


でも、だんだんと距離感がバグりだした。


私のことを根掘り葉掘り聞き出そうとしてきた。

ただの犬友さんには何も話したくないので、やんわりと話を逸らしてきた。

ここで犬友さんが悩みを打ち明けてきた。


「高校卒業してから一度も働いたことがない息子がいる。

とても優しくて、私が疲れてたら肩を揉んでくれるの。

私の作ったご飯を毎回完食してくれる。

優しいが故に人付き合いが苦手で、働きたくても働けない。

今は私と主人がいるけど、いつかはお別れしなきゃならない日が必ず来る。

そうなった時、息子が心配。」


そして


「いつもボクと2人で散歩してるってことはご主人いらっしゃらないのよね?

この際贅沢は言ってられないから妥協も必要かなと思って。うちの息子と結婚を前提でお付き合いしてみない?」


なんっでやねんっ‼︎‼︎


何故私が引きこもりの息子を引き受けなきゃならないんだ⁇


BBAは続けた。


「もし結婚してくれたらボクの面倒は私達が見るから。こんなにお利口だから手もかからないだろうし。ね?」


アホかっ‼︎


黙ってるとBBAは調子に乗り出した。


「使ってない部屋がいくつもあるの。ゆくゆくはボクの部屋もできるんだよ?いいと思わない?あなたは仕事に専念できる。私達がいるから残業しても大丈夫。ね?」


何が[ね?]やねん‼︎


最後にひとつだけ質問した。


「ご子息はおいくつなんですか?」


「今年47?‥‥いや、48かな?」


思いっきりおっさんじゃん‼︎


30年引きこもってるおっさんと結婚するメリットってなんだ⁇

オマエらの介護しろってか‼︎

私も舐められたもんだ。気分が悪い‼︎


目を潤ませながら私を見つめるBBAにこう言ってやった。


「夫に相談します。」


え?って顔をし、何か言いたそうなBBAを置いて帰ってやった。


もうここは散歩コースから外さなきゃね。